そば実践 素庵覚え書き

庵主のホビーライフをそば打ち・そば屋さん・出前サロン・陶芸・釣りなどを通してご紹介します。

「蕎麦無限」のこと

2019-10-12 | うんちく

今まで読んだ本の中からピックアップして再読してますが今日読んだ本は、太野祺郎さんの「蕎麦無限」平成16年3月発行です。

著者は、サラリーマンのころから勤務先の仲間と、山登り、蕎麦の食べ歩きを楽しんでいて、自身でも蕎麦を打つ方のようです。
山登りは、全国をまたにいわゆる300名山を中心に登っておられて、その付近のお蕎麦屋さんを訪ね歩いておられ、その数は1500店とかで、この本の巻末には、まだ行っていないお店も併せて486店が掲載されています。

本の構成は2部構成で、第一部はそば談義で日本のそばの歴史や最近のそば店の流れ、美味しい蕎麦の条件などが書かれ、第2部は蕎麦紀行ということでエリア別の訪問のそば店を、店の描写や印象やそばの味や汁だけではなく、日本酒の銘柄やお味のことや、店主の蕎麦打ちやそば粉の考えかたや自家製粉、粗挽きか、生粉打ちかや店主の子弟関係などが紹介されています。

庵主自身は、いろんなジャンルの本を横断読みして得た知識が中心で、原典などを読んだわけではありませんが、自分で作ったのは年代別にまとめた年表くらいです。
この本では「日本人と蕎麦」のコーナーで書かれていますが、断片的に得た知識の整理整頓や正誤を正すことに役立ちました。

お店の紹介の中で、たまたま庵主が一度行ったことがあるお店の紹介がありました。
そのお店の使っているそば粉は、日本でも有数のそば粉を使っていて、自分自身かなりの期待を持って訪問したこともあってか、どうも期待感との温度差を感じていたことがありましたが、同じお店の紹介の中のニュアンスはまさに庵主が訪問した時に感じたことが赤裸々に描かれていました。

その部分だけをご紹介しますと
”そば工房の暖簾を掲げる町営の施設で、平成8年にオープンした。農家の主婦たちが交代で打っている。金砂郷は昼夜の気温差が大きく、霧がかかって美味しいソバが出来るといわれている。金砂郷は最近一種のステータスとなり、その粉を使用するそば屋が増えている。店内は昼時だったのでけっこう混んでいるが、入り口近くの囲炉裏を囲んだいす席に座れた。ガラス越しに回転する石臼が見える。食券を購入して十割そばをまった。金砂郷の石臼挽きの粉、生粉打ちという条件は揃っているが、何となくしっくりしない気分であった。それは店の雰囲気によるのだろうが、食券制といい、店作りといい大衆食堂の感じなのである。感性にあふれた職人が気合を込めて作る雰囲気とは違う。待望の蕎麦は中くらいの太さで形は綺麗に整っていた。十割らしく嫌味のない口当たりである。しかし何となくよそよそしい。親しみというか呼び掛けてくるものがない。冴えがない。蕎麦が冴えていれば客は一瞬にして瞠目する。その驚きがない。そばは八割方原料で決まるといわれているが、原料の活かし方も重要である。一人の職人が試行錯誤して見つけた原料の活かし方こそそば屋の生命線である。”

自分は具体的に把握して書く能力を持ち合わせのがなかったのですが、流石作家で的確に「感じ」を捉えて書かれていました。
自分が感じたことがまんざら嘘ではなかったと、つい嬉しくなりました。

巻末の紹介のお蕎麦屋さん486店のうち、356店は訪問しておられ、そのうちこの本の中で何店紹介されているかは判りませんが、どこのお店に行くのが良いかに迷う場合は、ぜひこの本の情報を読んでいかれるのがいいのではと思います。
蕎麦屋さんの情報は、約15年前のことですので、訪問の際には確認する必要があります。

蕎麦無限 太野祺郎著 展望社 @1600∔税 

 

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