そば実践 素庵覚え書き

庵主のホビーライフをそば打ち・そば屋さん・出前サロン・陶芸・釣りなどを通してご紹介します。

ハンドブック「江戸ソバリエ」のこと 続き

2019-10-06 | うんちく

 オフィシアルハンドブックの中の「老舗の旦那衆が語る江戸蕎麦の文化」をピックアップして①~③と纏めましたが、前回に続いて適当にまとめてみました。

藤村和夫氏は元有楽町更科四代目店主ですが、藤村氏は現役を退きお店がないということで、自由闊達な率直な話がありましたので面白く、ピックアップしてご紹介します。

④お蕎麦をすすり込むコツ:お猪口を持ち、お蕎麦をお汁につけて必ずお猪口を持ち上げてたべる。
お蕎麦を口の中に含んで、すすりながら上の前歯で中に送り込みます。
送り込みながら、のどの奥できゅっと締める。

⑤お蕎麦は、背筋を伸ばして食べることになっている。
それでなければ、粋ではない。
背中を丸めてたべるのはうどんです。

⑥更科のお蕎麦は、お大名のところへ行きましたから、水がカサカサに切れているため、そのまますすり込もうとすると、のどにひっかかってしまうため、お汁にお蕎麦をつけてかき回して食べる。
これは汁が薄いか濃いかというよりも、お汁のあたりがきついか、きつくないかということで、やぶさんのお汁でお蕎麦をかき回して食べたら、お蕎麦がその場で佃煮になっちゃう。

⑦お蕎麦の量は、お店によってまちまちで、規格はない。
お蕎麦をちょっととって、計らないでポンと出しても目方はまずは狂わない。
それが技術というものだ。

⑧汁取りこそ秘伝中の秘伝。
 今は、技術が伴わないで高いだけのお蕎麦が多い、ことにお汁の技術が下手。
暖簾のある店以外で、「どこそこの有名店で3年修行しました」なんていう人にはお汁は取れない。
3年くらいいても誰も教えてくれない。15年くらいいるとようやく・・・・でしょう。
暖簾のお蕎麦屋では、旦那がみな汁をとっている。
ですから味は滅多に変わらない。
材料が変わることがあっても、同じ味に仕上げている。
盗むというより、やっているうちに覚える。
「汁のとりかたは、お前が生まれた時から教えてある。
毎日食べているから、味は判っているだろう。
同じ味にすればいいのだから簡単だよ」。
お汁というのは、実は毎日中身が違う。
絶対に同じ味にはならない。
それを同じ味にごまかす。それが技術です。カツオブシは自然物ですから、そこから出る出汁の濃度も違ってきます。
「返し」も三日目、四日目、五日目と変わります。
お汁も一日目、二日目、三日目・・・・。
不景気で「今日はお客が来ない」ということでお汁が古くなると、途中で味醂を少し足したりしてごまかす。

⑨蕎麦湯は美容効果も抜群。
そば湯は1750年以降、お茶代わりに。
熱くて濃くないと。信濃はお蕎麦の名所であることから、蕎麦湯を「お信濃湯」といい。蕎麦湯は蕎麦粉を湯にといてわざわざこしらえるのではなくて、もともと廃物利用。
お客様の少ない、ひまな蕎麦屋の蕎湯はおいしくない。

⑩薬味のこと。一本のネギを包丁で切るとどうしても割れるため、何本もネギを抱えて、まな板を使わないで切る。
大根おろしをよく絞って、そこに唐辛子を入れて、あおこ(青のりの粉末)を入れると自家製のわさびが出来ちゃう。(?)
本物のワサビかどうかを見分ける方法は、お湯の中にちょこっと入れてみる。
辛くなくなったら本物。偽物はお湯に入れても辛い。わさびは、蕎麦の上に載せてたべるもの。

⑪香りがするお蕎麦としないお蕎麦は何故?:粉のせい。篩が細かくなってあまり細かく振るうために香りが飛んじゃう。
お蕎麦は余計な脂肪がなく、高たんぱく低カロリーで、お蕎麦にない栄養は、ビタミンA、Cとカルシュウム。
そこで盛りそばに海苔をかけてざる蕎麦にして、汁に卵を落とす。
玉付きで食べると、栄養バランスの取れた完全食。
お蕎麦はプロティンスコア(必須アミノ酸の含有率の基準となる数値)が高くて、お米の五倍の価値がある。

 

詳しくはオフィシアルハンドブック「江戸ソバリエ」マキノ出版 @1300+消費税をご覧ください。

藤村和夫 昭和5年東京生まれ 元有楽町四代目店主。60年隠居。「蕎麦屋のしきたり」(NHK出版)「蕎麦なぜなぜ草紙」(ハート出版)「そばの技術」(食品出版社)蕎麦つゆ江戸の味(ハート出版)だしの本(ハート出版)その他多数。

 

ともかく藤村氏の経験に基づいた著作は、生きた知識として参考になります。

 

 

 

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