なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

永久気管孔

2024年06月10日 | 呼吸器疾患

 6月6日(木)に地域の基幹病院整形外科から左大腿骨頸部骨折の66歳男性が当院回復期リハビリ病棟に転院してきた。

 昨年度からの整形外科再開設から、リハビリ病棟に骨折術後の患者さんの入院が増えている(脳血管障害よりも多くなった)。大抵は高齢者で内科疾患の合併が多く、主治医は整形外科だが、内科も担当医として入ることになっている。

 この患者さんは整形外科医が、リハビリの指示は出すが、主治医は内科にしてほしいと希望された。主治医整形外科でも、実質は内科医が治療となることが多いので、これまでの方式でいいと思ったが、下記の事情でいやだったのだろう。

 

 10年前に下咽頭癌の手術を医療センターで受けて、永久気管孔がある。今年の2月に喀痰による閉塞で(一時的に窒息して)肺炎で基幹病院呼吸器内科に入院していた。

 今回も入院時(か直後)に右下葉肺炎があり、呼吸器内科が肺炎の治療をしていた。ABPC/SBT投与で軽快治癒したとある。喀痰が絡む時はネブラーザー吸入と喀痰吸引をお願いしますとなっていた。

 気管と食道は分離しているので誤嚥ということはないはずだが、前頸部に大きな孔ができていて、気道粘膜の乾燥から喀痰に血液が混じることもあるそうだ。気管自体の脆弱性と感染を防御すべき上気道の働きがないことから肺炎を来してしまうのだろう。(食道発声で会話は可能)

 

 もともと車椅子生活で手術してもADL改善が見込まれないことと、肺炎併発で術後に全身状態が悪化する可能性があることから、手術はせず保存的治療となっていた。

 先方の整形外科で荷重の指示を出していたが、当院の整形外科医の見解では、そもそも骨癒合が得られず偽関節になると見込まれ、荷重の指示も違う(強すぎる)ということらしい。まあリハビリの指示はお任せになる。

 

 この患者さんは2017年に脳出血(右被殻出血)を来して、基幹病院脳神経外科で血腫除去術を受けている。その後当院の回復期リハビリ病棟に転院してきたので、今回が2回目7年ぶりになる。

 60歳代で当院としては若い患者さんだが(80歳代、90歳代が中心なので)、さまざまな疾患を経てきているのだった。

 

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誤嚥性肺炎

2024年06月09日 | 呼吸器疾患

 5月28日に施設入所中の73歳男性が誤嚥性肺炎で入院した。新任の先生が担当して入院となった。

 脳梗塞とクモ膜下出血の既往があった。頭部CTで慢性硬膜下水腫を呈していて、脳室が圧排されていたが、これは保存的に経過をみるしかないようだ。

 胸部X線・CTで右下葉背側に浸潤影を呈していて、誤嚥性肺炎と判断された。当院としては誤嚥性肺炎は一番多い入院病名だが、抗菌薬はセファゾリンを使用していたので、ちょっと気になっていた。間違いではないかもしれないが、通常使用することはない。

 入院後にどうなったかと経過をみると、問題なく軽快治癒していた。もともと発熱がなかったが、酸素吸入も中止となり、炎症反応も軽快した。(白血球17500→7400、CRP7.4→1.1)陰影も軽減している。食事摂取もできるようになった。

 経過順調でセファゾリンでもいけるということになっていて、ちょっと驚いた。では使用するかというと、しないと思う。アンピシリン/スルバクタムをもっぱら使用しているが、当院はセフトリアキソン(口腔内嫌気性菌にも効く)を使用することが多い。

 

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急性心筋梗塞

2024年06月08日 | 循環器疾患

 6月5日(水)はその日内科外来に出る先生が休みで、若い先生が代わりに出ていた。再来の人数は少なかったが、新患が意外に多く、診察が丁寧なので12時近くになってもまだ新患の患者さんが残っていた。年配の先生が12時に手伝いに出て、新患の患者さんを診てくれた。

 52歳男性が起床時(午前5時半)から続く胸部圧迫感で受診していた。これまでも5分以内の胸部圧迫感があったが、その日は長く続いているということだった。喫煙者でタバコを吸った時に症状が出ることもあった。

 症状からは、ふだんは狭心症の症状で、それが急性心筋梗塞になったと判断される。身体所見としては異常がなかった。

 不完全右脚ブロックだが、ST上昇は判読できる。心電図では、Ⅱ・Ⅲ・aVFで軽度だがST上昇を認めた。Ⅰ・aVLでSTが軽度に低下していた。胸部X線では心不全の所見はなかった。

 血液検査ではトロポニンIが107.5(<26)と上昇していたが、CK-MBなどの心原性酵素は正常域だった。白血球12000・CRP0.2と急性期の所見がある。

 血圧は149/93mmHgで、おそたくふだんから高いようだ。糖尿病はないが、LDL-Cが223mg/dLと高コレステロール血症があった。複数の冠危険因子をもっている。

 急性心筋梗塞(下壁梗塞)として、地域の基幹病院循環器内科に紹介となった。

 陽気な先生で、午後から他の先生に「いやあ、いきなり心筋梗塞が来て」と元気に話していた。この先生はキーボードの打ち間違えが多く、肺気腫(はいきしゅ)が俳句集(はいくしゅう)になっていたりする。

 

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肝転移、骨転移

2024年06月07日 | 呼吸器疾患

 6月5日(水)に市内のクリニックの先生から肝機能障害・食欲不振の患者さん(60歳代前半の男性)を診てほしいと連絡が入った。

 肝機能障害があり、特にLDHの上昇が目立つので癌が疑われる、という。地域の基幹病院に連絡したが、肝臓専門医が退職していないということで断られたそうだ。肝臓癌や転移性肝癌は当院では診れないので、検査だけして高次医療機関に紹介することになるが、来てもらうことにした。

 

 3週間くらい前から嘔気が続き、食事摂取低下・倦怠感が続いていた。水分はとれて、果物やパン・ヨーグルトなどは食べられるという。

 症状が出た2日後に市内のクリニックを受診したが、異常なしといわれたそうだ。当院受診時でも胸部・腹部に異常がなく、表在リンパ節も触知しないので、診察だけでは異常を指摘できない。

 その9日後に今回紹介してきた別のクリニックを受診した。高血圧症を指摘されて、降圧薬が処方されて、胃腸薬も処方された。当院紹介となった日は、食欲不振が続いていると家族から連絡が入って、肝機能障害を確認したようだ。

 

 5日前から右頸部の痛みがあり、続いている。両上肢の脱力やしびれはなかった。(CT撮影後に訊いたが、右骨盤部にも痛みがあった)首にタオルを巻いていて、安定させようとしている。

 点滴を開始して血液検査を提出した。検査室からCEAが1500以上の高値ですと連絡が入った(希釈して3876と判明)。CA19-9 とAFPは正常域だった。

 肝機能障害があり(AST 144・ALT 43・LDH 1192・ALP 447・γ-GTP 592)、確かにLDHの上昇が目立つ。Dダイマーが18.2と上昇していたが、塞栓症を来したようには見えない。胸部X線で左肺門部に腫瘤を認めた。

 頸部から腹部までの造影CTを行った。左肺門部の腫瘤は腫大したリンパ節が一塊になっているようにも見える。原発ではないかもしれない。

 肝臓全体に大小の腫瘤があった。これは転移で間違いない。膵臓・腹部大動脈周囲のリンパ節腫脹もある。

 右骨盤(腸骨)に溶骨性変化があり、周囲の軟部組織が腫脹している。上位頚椎の右側も変形して異常だった。右頸部の痛みも骨転移かもしれない。

 盲腸も壁肥厚があるが、腫瘍とはいいきれない。消化器科医に相談したが、やはり否定できないが腫瘍とは決め難いという。肺門部の腫瘤がリンパ節腫脹で原発巣でない可能性があるが、骨転移があると消化器癌よりは肺癌を考えたい。

 妻に病状を説明して、本人に検査結果をそのまま伝えることの了解を得た。患者さんに説明したが、案外淡々としていた。事の重大性を把握していない印象もあった(重大なことと思いたくない?)。

 がんセンター紹介を同意してもらった。連絡すると翌日の外来受診が可能だった。診療科をどうするか迷ったが、肺癌疑いで呼吸器内科にした。診療情報提供書には肺原発ではない時は、院内でのご高配をお願いしますと記載した。

 呼吸器内科、消化器内科での検討になると思うが、頸椎の問題があると、それよりも整形外科の対応が優先されるか。整形外科の先生に相談して、頚椎カラーをつけてもらうことにした。

 

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血管筋脂肪腫

2024年06月06日 | 泌尿器科疾患

 5月30日(木)内科クリニックから泌尿器科外来(非常勤医)に左腎腫瘍の42歳女性が紹介されてきた。

 たまたま腹部エコーを行ったところ、左腎臓の下極寄りに高エコーの腫瘤を認めていた。自覚症状はない。

 担当医が腹部造影CTを行うと、ほとんどが脂肪で構成された腫瘤で隔壁構造が所々にあった。放射線科の診断は「血管筋脂肪腫」だった。血管筋脂肪腫angiomyolipoma(AML)にも種類があるが、腫瘤内に脂肪成分を同定できるので「古典的血管筋脂肪腫」になる。

 

 この患者さんは6年前に腹痛(心窩部痛)で受診歴があり、腹部単純CTが行われていた。同部位に同じ病変が描出されていた。内部にわずかに隔壁様の構造があり、放射線科の診断は「血管筋脂肪腫の疑い」となっていた。

 心窩部痛を説明できる所見がCTで認められなかったので、上部消化管内視鏡検査が予約されたが、患者さんが来院しなかったので、そのままになってしまったようだ。

 良性腫瘍なのでサイズが小さければ(<4cm)、経過観察になるだけなので、結果的には問題なかった。今回も「サイズは前回より増大しているが、悪性とはいえない」とも記載されていた。

 病名は聞いたことがあって、CT画像の本にも載っているが、これまで見たことはなかった。

 

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術後変化?胆汁漏出?

2024年06月05日 | 消化器疾患

 5月22日に記載した胆石性急性胆嚢炎の82歳男性のその後。

 5月20日に地域の基幹病院外科に転院搬送させてもらった。当初は全身状態が悪く、経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD)を行って、カテーテル挿入のままで当院に戻すということだった。

 その後病状が改善したということで、5月27日に腹腔鏡下胆嚢摘出術(ラパ胆)が行われた。総胆管結石を疑って術中に胆管造影を行ったが、胆泥程度で結石はないということだった。

 ベット確保のため5月31日に当院に戻ることになった。術後4日目で炎症反応がまだ高値なので、抗菌薬を1週間程度継続するようにという指示があった。

 腹部症状はなかったが、嚥下障害で経口摂取できなかった。聴覚言語療法士と相談して、週末(金)なので点滴で経過をみて、月曜日から嚥下訓練を開始することになった(昼のみ嚥下調整食3で)。

 6月2日の午後に軽度の腹痛があり、同日の午後10時ごろに急に叫ぶような腹痛が出現した。腹痛時のアセトアミノフェン1000mg点滴静注(アセリオ)を行ったが、症状が4時間続いた。

 病棟看護師さんがその次の指示であるペンタゾシン注を行うかと思っていたところ腹痛は自制可となった、(バイタルは安定していたので夜間に報告は来なかった)

 6月3日(月)に報告を受けて、病室に行くと、苦痛表情はなかった。むしろ転院してきた時は会話も難しかったが、その時は症状についての会話ができた。

 発熱はなく、腹部症状も明らかな腹膜刺激症状はなかった。入院後の血液検査を入れていたが、炎症反応は高値だった。

 急遽胸腹部CTを行った。肝表面と胆嚢床に空気と液体貯留があり、それらは繋がっている。術後なので術後変化なのか、胆汁が術部から漏れて炎症を来しているのか判断がつかなかった。

 手術をしてもらった基幹病院外科に連絡すると、術後変化ではといわれた。しかし昨夜の症状が説明できないのと、術後1週間では手術時の気体は吸収されているのではとも思った。

 CT画像と患者さんを直接診てもらって、問題なければ当院に戻してもらうことになった。午前中の搬送だったが、その後午後5時まで連絡がなかった。病棟看護師さんと、たぶん転院になったのだろうと判断することにした。

 問題がないとしても、数日経過を診ていただいてから戻してもらうとありがたい。

 

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妄想・異常行動

2024年06月04日 | 精神科疾患

 5月29日(水)に一人暮らしの84歳女性が救急搬入された。市営住宅に住んでいるが、同じ住宅の住人が患者さんの玄関前に血痕があるのに気付いた。

 不審に思って市役所に通報して、そこから警察にも通報された。左頭頂部に血腫があり、血液が頭髪に付着していた。閉眼しているが呼びかけると開眼して会話は可能だった。転倒して頭部打撲したのだろうが、そのままにしていたのだった。

 当院に救急搬入された。救急当番は非常勤外科医だった。頭部CTで右頭頂葉に小出血を認めたが、保存的に経過を見るくらいだった。

 長男の話では、1か月前から意味不明の言動があり、徘徊して近隣住民とトラブルになっていたそうだ。内科の常勤医が担当となって入院した。

 被害妄想があり(毒が入れられている?)、食事摂取しようとしないので、点滴をしていた。当日は特に問題なく過ごしていた。翌日になると、点滴を抜いて点滴セットの先端(点滴ボトルに刺入するところ)を看護師に向けてきた。

 看護師4名で対応して、体幹抑制をしたが、すり抜けて病棟内を徘徊していた。担当医が市役所の係(以前から近隣住民とのトラブルで介入していた)に連絡すると、市内の保健衛生で来ている精神科病院の先生が診察に来た。

 認知症のテストでは案外正答できて、明らかな認知症とはいえないらしい。妄想と異常な言動は若い人ならば統合失調症だが、この年齢だとそうもいえない。若い時から未治療できた統合失調症というのでもないそうだ。病名はどうなるのか。

 もう1名別の精神科医の診察もあり、措置入院となった。数か所の精神科病院に当たったが、軽度だが脳出血があることなどもひっかかった。やっと入院できる病院が決まって、入院翌々日の5月31日に転院となった。

 

 以前、市内の精神科病院の先生に隔週できてもらって、主に認知症の患者さんの対応(処方など)を診てもらっていた。あまり対象になる患者さんがいなかったのと、先方の先生も忙しくなり、精神科回診はなくなってしまった。

 もっともあまり薬を使わない方針の先生だったので、院内の先生の期待(せん妄、BPSDを何とかしてほしい)通りにいかなかったというのもあった。

 

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慢性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎

2024年06月03日 | 内分泌疾患

 5月24日(金)に48歳女性が数日前からの両下腿浮腫(軽度)で受診した。体温は36.6℃で正常域だったが、脈拍数が101/分と頻脈傾向だった。

 担当した先生が末梢血検査と生化学検査(甲状腺機能を含む)を提出すると、TSH 0.2・FT3 4.09・FT4 1.67と甲状腺機能亢進を認めた。甲状腺の外注検査を提出して、翌週内分泌に詳しい先生の外来に回した。

 両下腿浮腫は軽快していた。甲状腺の外注検査の結果は、TSHレセプター抗体陰性で、抗TPO抗体と抗サイログロブリン抗体が陽性だった。

 橋本病(慢性甲状腺炎)がベースにあり、無痛性甲状腺炎を来したのだろうと判断された。そのまま経過をみて、翌月に甲状腺機能を再検となった。

 

 内分泌に詳しい先生がいると、特に甲状腺疾患の患者さんが集まって来て、いろいろなパターンが見られて勉強になるのだった。男性の橋本病もいて、当然比率は低くても当然男性もいるわけだが、改めて「いるんだ」とちょっと感動。

 糖尿病についても、きちんと75gGTTを行ったり、HOMA-IRを計算されたりしていて、ふだんの対応を反省させられて刺激になる。

 

 

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過呼吸

2024年06月02日 | 呼吸器疾患

 5月29日(水)の当直の時に、30日(木)午前0時過ぎに市内の救急隊から搬入依頼が来た。17歳女性が、頻回の嘔吐・めまい・手のしびれがあるという。

 手のしびれというのは過呼吸なのかと思った。この時間の搬入だと朝までのコースになりそうだが、来てもらうことにした。

 学校が終わった後、県庁所在地にあるスタジオでダンス(ヒップホップ)の練習をしていた。最近大会があるので、頻回に練習があって相当に疲れていたらしい。

 練習直後から嘔気があり、電車の中で、また当地に着いてからも計10回くらい嘔吐していた(食物と胃液)。母親が駅まで車で迎えに行ったが、症状が続くので駅から救急要請したという経緯だった。

 救急隊は意識JCSで10といっていたが、それはないだろう。実際搬入時は閉眼していたが、問いかけると薄目をあけて、首を動かしたり小声で答えることはできる。

 胸部聴診は異常がなく、腹部は平坦・軟で圧痛もなかった。手のしびれはまだあるというが、呼吸数は10回前後で過呼吸ではなかった。

 点滴と採血を出すので、静脈血ガス分析も追加した。PaCO2 27.3mmHg・pH 7.49と呼吸性アルカローシスはまだあった。搬入後は嘔吐はなかったが、嘔気があるというので点滴とメトクラピラミド(プリンペラン)注だけ行った。

 過呼吸で夢中になっていればヒドロキシジン(アタラックスP)の点滴静注をしようかと思ったが、そのまま経過をみた。母親付き添いで朝まで点滴室にいてもらうことにしたが、少し寝られたようだ。

 午前8時に見に行くと、ふらつきもなくトイレまで行けたそうで、すっきりした顔だった。点滴を抜いて帰宅とした。当院としてはこのくらいの受診がちょうどいい。

 

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急性虫垂炎

2024年06月01日 | 消化器疾患

 5月29日(水)は当直だった。午後6時半ごろに腹痛の息子を受診させたいと、その父親から連絡がきた。38℃の発熱もあるそうだ。手術が必要な疾患かもしれないと思ったが、来てもらうことにした。

 患者さんは50歳男性で、2日前の27日午後8時から腹痛が生じている。最初は心窩部痛だったが、しだいに右下腹部痛になっていた。虫垂炎を疑う経過だった。

 前日も当日も日中仕事をしていたが、受診当日は歩いても腹部に響く状態だった。訴えも訊くと答えるという感じで、我慢強いというより遠慮がちな方だった。

 右下腹部全体に圧痛があり、percussion tenderenessもある。筋性防御もあるように思われる。点滴と採血を行った。

 白血球11200・CRP9.2と炎症反応が上昇していた。肝機能障害・腎機能障害はなかった。Hb14.2とその日は食事摂取できなかった割に脱水状態ではなかった。水分はとっていた。

 腹部造影CTで腫大した壁肥厚した虫垂を認めたが、破裂したわけではないようだ。周囲の脂肪織に炎症像を伴う。小腸内の消化液が目立つので、麻痺しているのかもしれない。

 当院は外科常勤医はいないので、地域の基幹病院の外科系の先生に連絡した。受けてもらえたので、すぐに救急搬送した。

 

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