なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

問い合わせ

2022年10月11日 | Weblog

 3連休は珍しく病院から連絡が来なかった。連休の真ん中で1回病院に行くようになるかもしれないと思っていたが、予想外の平穏な休日となった。

 朝病院に来ると、地域の基幹病院消化器内科の先生から電話が入った。連休中に先方の病院に85歳男性が入院していた。多発性肝転移があるが、受診歴がなく、これまでの経過がわからないという。

 当院に通院していて、診療科は外科だったのかもしれないが、診療情報提供書を至急送ってほしいということだった。名前に聞き覚えはなかった。至急送ります、と答えた。

 

 今年の5月まで当院外科外来に通院して、6月の予約日に受診せず、それっきりになっていた。最後に測定したCEAも70と高値だった。それまでも途中で通院を中断したことがある。

 当院は外科の常勤医は不在となったが、最後まで残っていた外科医が長年診てきた患者さんだった。大学病院の関連病院に転勤となってからも週1回はバイトで当院に来ている。ちょうど来る日だった。

 外来に行って、基幹病院から問い合わせがあったことを伝えた。患者さんの名前を言うと、ああ~とすぐにわかったようだ。術後からその後の癌化学療法を行っていた主治医なので、診療情報提供書の記載をお願いした。

 

 2014年にS状結腸癌の手術を受けていた。その後CEAの増加があって定期的に精査してたが、2017年に中断している。2018年に右下腹部痛で受診して、下腸間膜動脈根部に腫瘍を認めた。癌化学療法を行って抑え込んではいたが、腫瘍自体は漸増していた。

 悪化して緩和ケアになった時は、市内の外科常勤医のいる病院に依頼する予定にしていたようだ。現在の病状がどの程度かわからないが、入院継続を要する時は、基幹病院から当方に転院緩和ケアの依頼が来るかもしれない。

 

 「研修医当直御法度 第7版」(いわゆる赤本)と「研修医当直御法度百例帖 第3版」(いわゆる青本)が出たので、さっそく購入した。どちらも第1版から購入している。

研修医当直御法度 第7版 ピットフォールとエッセンシャルズ

研修医当直御法度 百例帖 第3版

 

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「薬物誤用」

2022年10月10日 | Weblog

 水曜日の当直の時に、障害者施設にショートステイしていた59歳男性が職員に連れてこられた。

 夕食後の服薬に間違いがあった。職員が他の入所者の薬を飲ませてしまったという。もともとてんかん薬を複数飲んでいて、それは同じような薬だった。

 違っていたのは、レボメプロマジンとヒルナミンだった。本来その薬を飲んでいるのは、かなりの不穏・粗暴で、「処方している精神科病院に入院させてもらった方がいい方です」、という。

 一時的に血圧が80mmHgに低下したそうだが、その後施設内での再検では、血圧100~120mmHgとふだんと変わりなかった。

 救急隊から連絡を受けて、そのまま施設で休ませてもらっていいのでは、と伝えた。誤って他人の薬を飲ませたということで、施設側では受診希望だった。

 到着して見ると、普通に開眼して会話はできた。バイタルは問題なかった。なんだか呂律が回らないような話し方だが、「普段と同じです」ということだった。

 

 その日は看護師数の問題で急性期病棟は時間外の新規入院はできません、となっていた。入院がある場合は、地域包括ケア病棟と相談して下さい、だった。地域包括ケア病棟といっても、入院数が多く、点滴・酸素吸入の数も多い。できれば入院は避けたいという事情があった。

 施設側としても受診したという事実が大事で、ぜひ入院というわけでもないようだった。施設に戻ってそのまま休ませてもらうことにした。明日の朝の様子がおかしい時は連絡するよう伝えた。

 

 翌朝特に連絡はなかったが、後で気づいたが内科新患外来を受診していた。施設では、眠そうな様子なので、点滴を1本して下さいという希望だった。

 新患担当の先生(大学病院からバイト)が、希望通りに点滴を1本出して、血液検査も行っていた。結果は異常なしとして、点滴終了後に帰宅としていた。一晩入院で経過を見た方がよかったのだろう。

 

 受診病名をどうしたものかと思った。てんかんとは記載できるが、それで受診したわけではない。薬物と入力してみると、「薬物誤用」という病名?も出てきた。確かに薬物誤用だと思った。

 搬入時、救急隊の用紙には病名として何と書いていいかわからず、「誤って他人の薬を飲ませた」とそのまま書いてしまった。

 

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約5か月ぶりに戻ってきた

2022年10月09日 | Weblog

 木曜日に地域の基幹病院から88歳男性が転院してきた。当院に肺炎で入院して軽快していたが、急に低血圧・低酸素血症になり、急性心筋梗塞疑いで先方の病院に搬送していた。

 搬送したのは5月11日で、それからずっと入院していたのだった。平均在院日数11日くらいだった病院としては異例の長期入院になるが、帰すに帰せない経過だった。

 

 搬送を打診した時ば、高齢で難しいかと思ったが、先方の病院に急性心筋梗塞で入院した既往があり、あっさり引き受けてくれた。心電図は完全右脚ブロックになっていたが、その意味に思い至らなかった。

 転院後は循環器内科で、心筋梗塞ではなく、肺血栓塞栓症と診断されていた。重症度は同じなので、その治療となった。ヘパリン点滴静注、DOAC内服になった。

 しかしその後肺炎になって、呼吸器内科に転科していた。中心静脈カテーテル感染(カンジダ感染)を来して、その後直腸潰瘍からの出血で消化器内科の扱いになった。またMRSA菌血症が遷延して、さらには新型コロナウイルス感染症の院内感染にもなった。(何度か院内クラスターが発生して診療制限をしている)

 

 もともと施設でトイレ歩行はできていたが、ADLが低下してほぼ寝たきり状態となり、経口摂取も誤嚥性肺炎になって、断念されていた。

 中心静脈栄養、ヘパリン持続静注の状態での転院となった。「急変時DNRを前提に中心静脈栄養を継続して下さい」、という紹介だった。当院からの転院だったので、先方の希望の日に引き取った。

 右内頚静脈からカテーテルが挿入されていたが、シングルルーメンだった。ヘパリン持続静注は側管から入れるが、抗菌薬投与を要する時にちょっと使いずらい。

 連休明けから嚥下訓練を行って、楽しみ程度の経口摂取を目指すが、誤嚥性肺炎を来すだけかもしれない。家族は神奈川県と埼玉県に息子さんたちがいる。転院日は神奈川県の息子さんが来ていた。(自分のことは神奈川とは言わず、「横浜」と言って、もう一人の息子さんのことは「埼玉」と表現していた) 

 安定した状態が続けば、療養型病床のある病院への転院になります、とは伝えておいた。息子さんも「もう年だし」「もう満身創痍で」とは言っていた。数々の疾患を乗り越えてのお帰りなさいなのだった。

 

 入院翌日に発熱があり、胸部X線では肺炎像はなかった。カテーテル関連血流感染症疑いとして、血液培養2セットを提出して、バンコマイシンで治療を開始した。やれやれ、なのだった。(抗菌薬は末梢静脈から投与)

 

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COVID-19、肩関節炎

2022年10月08日 | Weblog

 10月3日月曜日に保健所から、COVID-19 に罹患した82歳女性の外来アセスメントが依頼された。1日(土)にデイサービスに行った時に発熱があり、地域の基幹病院を受診してコロナ陽性と診断された。解熱薬のみ処方されていた。

 心臓ペースメーカー植え込み術後で、降圧薬3種類と利尿薬(フロセミド)が処方されていた。尿カテーテル留置もあった。内服の抗ウイルス薬を出してもよかったと思う。

 外来アセスメントというよりは、入院させてほしいということらしい。発熱が続いていて、胸部CTで両側肺にすりガラス陰影(右<左)も認めていた。酸素飽和度は95~96%(室内気)だった。感染病棟に入院として、レムデシビルと補液で治療を開始した。

 入院した翌日の夜間から高熱となり、右肩関節痛を訴えた。右肩関節の腫脹と熱感があり、圧痛著明だった。

 発熱した日に自宅で転倒して右肩を打撲していた。胸部CTの時は、両上肢を挙上して撮影できていた。骨折らしくはないが、対応した感染管理ナースに訊くと、そういえば少し痛がっていたかもしれないという。

 感染病棟内で右肩関節のポータブル撮影を行った。整形外科医は変形はあるが、骨折はないようだという。固定だけということだった。

 NSAIDs(セレコキシブ)内服を開始すると(湿布も2枚で覆った)、解熱して右肩痛は軽減した。経過からは骨折によるというより、関節炎の時の反応に近い。隔離解除までは、三角巾固定で骨折疑いとして経過をみることにした。

 高齢者のコロナだけでも大変なのにやれやれなのだった。肺炎もあり、ポータブルの胸部X線も撮影したが、すりガラス陰影なので、判断しがたい。

 

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AKI・低カリウム血症

2022年10月07日 | Weblog

 火曜日に52歳男性が救急搬入された。3週間前から食べられなくなったという。食べようとすると嘔気が出るが、嘔吐はしていないそうだ。しだいに動くもの大変になって自分で救急要請していた。

 救急隊からの連絡は、「搬入依頼です、ではなく相談なんですが」で始まった。自宅内にアルコール類の缶が多数転がっていて、訳ありと判断したらしい。意識は清明で会話は普通にできるという。来てもらうことにした。

 痩せた男性だった。浮腫はなく、口腔内は乾燥して脱水症なのだろうと思われた。ただ腹部は膨満していて、波動が触れるようだ。腹水が疑われる。

 胸腹部CTで腹水を認めた。肝臓は明らかな凹凸とはいえないが、肝内の濃度が不整で、腫瘍なのかもしれない。胃腸は壁が浮腫性に肥厚していた。明らかな腫瘍は指摘できない。

 非代償性のアルコール性肝硬変と思われる。肝機能障害があり、黄疸を呈していた。ただ問題は腎臓・電解質にあった。

 血清クレアチニン1.64mg/dlは脱水症(腎前性)が疑われるが、血清カリウムが1.3mmol/Lと著明に低下していた。見たことがない値だ。

 心電図モニターで上室性頻拍が出没した。ソルラクト500mlで点滴を開始していたが、塩化カリウム1Aを混合した。そのうち正常洞調律になった。

 カリウムを補充して経過をみるしかない。ソリタT3・500mlにカリウム製剤を混合して点滴を継続した。翌日も血清カリウムは1.2と改善していなかった。

 腎臓内科の若い先生に相談してカリウム製剤内服も追加した。さらにカリウム保持性利尿薬も静注で入れることにした。大学病院から3か月交代で来ている先生だが、腎障害と低カリウム血症が持続・悪化する時は大学病院の方がいいかもしれないといわれた。

 尿カテーテルが挿入できず、水曜日に来ている泌尿器科医に依頼した。尿道口から2~3cmのところに尿道狭窄があり(弁にようになっているといわれた)、尿道ブジーで拡張してスタイレットを使用して尿カテーテルを入れてくれた。

 翌木曜日まで尿量は270ml/日と乏尿だった。血清クレアチニン2.95mg/dlと悪化して、血清カリウムも1.4mmol/Lと低下したままだった。

 前日に相談した腎臓内科医は大学から派遣されている外勤の透析施設に行っていた。常勤の若い腎臓内科医に相談すると(前日は当直明けでいなかった)、この患者さんのことは聞いていましたという。大学病院に送りましょうということになった。

 腎臓内科のその日の当番の先生をお願いします、と大学病院の電話交換に伝えると、教授が出た(ちょっとびっくり)。病状を伝えると、引き受けてもらえることになった。

 

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大動脈解離

2022年10月06日 | Weblog

 日曜日に日直の先生から連絡がきた。土曜日の日直・当直~日曜日の日直で大学病院からバイトに来ている外科医からだった。

 土曜日の夜間に下痢で受診した96歳男性を入院させたという報告だった。2年前に急性心不全で入院して、内科の若い先生(自治医科大学の義務年限)が診て軽快退院した患者さんだった。

 今回は心不全の悪化はなかった。月曜日までの点滴の指示を出してもらった。

 

 月曜日に確認すると、入院時から血圧が200mmHgと高値だった。入院後に必要時指示のニカルジピン(ペルジピン)注を1回使用していたが、血圧は高いままだった。

 入院時の下痢は確かにあったことはあったらしいが、量はたいしたことはない。胸痛も腹痛の訴えはなく、夜間から不穏があり、抑制されていた。

 下痢便が多量・頻回ではないので、急性腸炎と言い難い。認知症があり、自覚症状があてにならない。外来では胸部単純X線・腹部単純X線だけ行っていたので、腹部CTで確認することにした。

 大動脈弓から下行大動脈にかけて、大動脈壁の石灰化が内腔側に寄って、内腔が高濃度になっている。血栓閉塞型の大動脈解離になっていた。治療は保存的治療になる。

 血栓閉塞型でも通常は心臓血管センターのある専門病院に搬送している。96歳・認知症・ADL要介助だとどうか。大学病院から交代できている先生にも相談してみたが、搬送の対象ではないでしょうといわれた。

 妻と二人暮らしで、息子さん(仕事は引退後)は東京にいる。妻(89歳)にタクシーで来てもらったが、言われることはわかるが、どうしていいかわからないという感じだった。妻が自分の携帯を渡して、息子の番号が入っているので、これで連絡してくれという。その場で息子さんに電話して、病状を説明して早めに見に来るように伝えた。

 

 血圧の目標が100~120mmHgになる。ニカルジピン(ペルジピン)持続静注で対応することにした。

 

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ミルセラ注

2022年10月05日 | Weblog

 8月25日に77歳女性が酸素飽和度低下・呼吸苦?で夜間に救急搬入された。その日当直だった腎臓内科の若い先生が診てくれて、心不全の悪化として治療してくれた。

 脳梗塞後遺症で寝たきり状態・胃瘻による経管栄養という状態だった。熱心な家族が在宅介護をしている。その日は訪問看護師が飽和度低下に気づき、病院で診てもらうよう勧めたのだった。

 もともとは脳梗塞後遺症で神経内科外来に通院していた。2014年の脳梗塞再発で入院して、担当した当方が胃瘻造設を行って、外来でもそのまま診ていた。

 糖尿病でインスリン強化療法を行っていて、降圧薬も他剤投与で、コントロールしていたが、しだいに腎機能が低下してきていた。血清クレアチニンが1.6mg/dlなので、まだそれほどでもという気持ちがあった。腎臓内科の先生に、筋量低下があり、血清クレアチニンがあまり上がっていないが、実際はもっと悪化していると教えてもらった。

 

 入院後は、ラシックス注を2日間行って、その後はサムスカ内服(胃瘻からの注入)を行い、心不全は軽快した。さらに普段の治療も見直して、調整(修正)してくれていた。1か月弱の入院で退院した。

 経管栄養剤は薬品として処方できるラコールにしていたが、腎不全用のリーナレンに変更していた。そして腎性貧血の治療としてミルセラ注も開始された。もっと早くに腎臓内科と相談すればよかったということになる。(寝たきり状態・発語なしだと、外来で紹介しても、関心を持たれない?)

 

 今週は胃瘻(器具)交換で来院した。今回、胃瘻のキットが接続部が修正された新しいものになっていた。家族によると入院中にインスリンが減量になったが、退院後は200~300mg/dl以上で推移しているという。インスリン量を少しだけ増量することにした。

 腎臓内科の若い先生は、入院中家族に「腎機能が悪化しても、血液透析の適応はありません」とも伝えていた。この患者さんの息子さんが当院に血液透析で通院していて、腎臓内科としてはあの患者さんの母親という認識だった。

 

 エポチンベータペゴル(ミルセラ)は持続型ESA(赤血球造血刺激因子製剤erythropoiesis stimulating agent)で4週に1回の投与になる。

 

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普通に胃潰瘍

2022年10月04日 | Weblog

 先週の金曜日に右季肋部痛で69歳男性が内科外来を受診した(大学病院からバイトの先生担当)。肝機能障害を認めたが、腹部CTで肝胆道系に異常を認めず、消化器科医に相談された。

 肝機能障害はAST 125・ALT 131・ALP 112・GTP 117・総ビリルビン2.1だった。腹部エコーで確認しても肝胆道系に異常はない。発熱もあって、肺炎・尿路感染症など他の感染症らしさもなく、肝機能障害からは胆道系の感染症と判断するしかない?。

 困ったらしく、何だと思いますがと言われたが、よくわからない。血液培養をとって、胆道系の感染症もカバーするような抗菌薬を入れて経過をみるしかないか。

 患者さんは入院をいやがって、外来で抗菌薬が処方された。月曜日に受診した時には肝機能障害は軽快していた。BUNが29と軽度に上昇している。もともと腰痛症(腰椎術後)と心気症?として、ロキソニンとデパスを20年以上内服している方だった。

 上部消化管内視鏡検査を行うと、普通に胃体下部後壁に胃潰瘍(A1)を認めた。潰瘍底に黒色に凝血を認めるが、貧血はない。タケキャブ内服で経過をみることになった。診断はNSAID潰瘍になる。この肝機能障害はどういう機序だったのだろうか。

 

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腹水貯留

2022年10月03日 | Weblog

 先々週の水曜日に、泌尿器科医(非常勤)から連絡が来た。精神科病院に入院している91歳男性が尿閉として紹介されたが、腹部CTで腹水を認めるという。

 尿閉ということだったが、実際は乏尿で、先方の病院で尿カテーテルを挿入しようとしたが、挿入できなかった。(前立腺部でひっかかって看護師さんが挿入できなかったので、交代して細目のカテーテルを挿入した)

 HCV抗体陽性で、C型肝硬変のようだ。左胸水は認めるが、末梢の浮腫は目立たなかった。血清クレアチニンが3mg/dl台と上昇していた。

 腫瘍マーカーは正常域だが、腹部悪性腫瘍の可能性は残る。処置をしようと触ると、大声で上げて、まだ?活気はあるのだっった。

 家族には、点滴と利尿薬で経過をみるが、治療に反応しない可能性もあります、と伝えた。6月からレビー小体型認知症で精神科病院に入院していた。家族としては、病状悪化時はそのまま精神科病院で看取ってもらっていいと思っていたそうだ。腹水貯留で精神科単科病院には戻せないので、当院で入院治療とした。

 発熱はなく、炎症反応はCRP2~3で推移した。点滴しても、尿量は増えず、血清クレアチニンは3mg/dl台で変わらなかった。腎疾患疑いでANCAなども提出したが陰性だった。

 病状は変わらず、しだいに騒ぎ方もおとなしくなっていった。このままだと単に預かっただけで、成果がないまま終わりそうだ。

 

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COVID-19に罹患した老夫婦の入院

2022年10月02日 | Weblog

 火曜日にCOVID-19の89歳女性が入院した。10人家族でほとんどがコロナに罹患しているそうだ。発端は孫の感染らしい。

 軽度だが、ある程度コロナらしい陰影で、CTを撮影していた放射線技師さんたちから、おおーっと声が上がった。胸膜直下の限局性の丸っこい陰影が並んでいる。刷毛で書いたようなすりガラス陰影もあった。酸素飽和度が低下するほどの病変ではない。

 前日の月曜日に発熱があり、近医でコロナの検査をして陽性と判明した(COVID-19罹患の家族が自宅静養していて濃厚接触者なので)。

 年齢の点と食欲低下があり、保健所から院依頼がきたので引き受けた。前日の発熱なので発症2日目となるが、数日前から発症している可能性もある。

 レムデシビル点滴静注と抗菌薬併用(と点滴500ml2本)で治療を開始した。

 

 その日、保健所からPCR検査(行政検査)を1件だけ頼まれたが、1件だけというのは珍しかった。検査数が少ないので、地域の基幹病院でまとめてPCR検査をすることになっていた。

 PCR検査を受けるのは、入院する患者さんの夫(93歳男性)だった。無症状だというが、後で聞くと咽頭痛・全身倦怠感があったそうだ。

 この患者さんは自宅静養している同居の孫が車に乗せて来ていた。基幹病院は、COVID-19罹患者が病院に来るのはダメということで断ったそうだ。

 PCR検査は病院の外の駐車場でドレイブスルー方式で行うので、車内に罹患者がいても問題はない(こちらはフルPPEなので)。要はCOVID-19罹患者を病院の敷地内に入れたくないということらしい。そこまで気にしなくとも、と思った。

 翌水曜日にPCR陽性と判明して発熱もあることから、夫も入院となった。胸部CTで横山由依両側肺野に気腫像があり下肺野には間質性変化(以前からのもの)もあった。肺炎が若干あるかもしれない。炎症反応がコロナにしてはかなり高く、妻と同様の治療を開始した。

 

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