なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

右中葉肺炎

2022年06月10日 | Weblog

 月曜日に69歳男性が発熱で内科外来を受診した。この方はシルバー人材センターから派遣されて、当院の駐車場で仕事をしている。保健所依頼の新型コロナPCR検査の時にも(ドライブスルー方式)、来院者の車の誘導もしていた。

 発熱外来担当の内科の別の先生が対応した。1週間前から咽頭痛があったそうだ。前日夜間から発熱・咳・痰の症状があった。新型コロナの抗原定性検査は陰性だった。

 血液検査で白血球16700・CRP20.9と炎症反応がかなり上昇していた。胸部X線で右肺野に斑状影が散布しているように見える。胸部CTで確認すると、右中葉に斑状影が確認される。胸部X線でもその印象はあるが、CTで見ると気腫性変化があった。

 診断は肺気腫・急性肺炎になる。酸素飽和度は95~97%(室内気)だった。本人は外来治療を希望したので、オグサワ(オーグメンチン+サワシリン)内服が処方されたが、翌火曜日にも発熱があり、入院治療となった。

 入院後はセフトリアキソン点滴静注で解熱していた。1週間もしないうちに退院したいという希望が出そうだ。

 

 胸部X線で肺炎像が指摘できるので、問題はなかった。胸部X線で描出できるのは肺全体の70%なので、心陰影の背側や下肺野背側では見えない(見えにくい)こともある。

 胸部単純CTではっきりしない、あるいは迷うような場合は、胸部CTの冠状断と比較している。それを続けていくと、軽微な陰影でも拾えるようになる。

 抗菌薬はオグサワ経口で開始だったが、そのまま3日くらい内服すれば解熱したのかもしれない。尿中肺炎球菌抗原は陰性だった。肺気腫なので、起炎菌としては肺炎球菌・インフルエンザ桿菌・モラキセラいずれの可能性もある。BLNAR以外(BLPACRも)はオグサワで効くはずだが。

 

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穿孔性腹膜炎

2022年06月09日 | Weblog

 6月1日に急性腎盂腎炎・(腎前性?)腎不全で入院した肝硬変・肝性脳症の65歳女性。

 両側腎臓の腫脹・水腎症があり、尿管も軽度に拡張していた。膀胱壁も肥厚していたが、尿カテーテル挿入で入院後は尿量が1000~1300ml/日くらいあった。解熱して、血液検査では白血球数も正常化して、CRPも入院時以上の上昇はなく、少し低下していた。

 意識状態も改善して、ほとんど普段と同じになっていた。食事摂取はまだいらないと言われて、進まなかったが、週明けにはよくなるだろうと思われた。

 

 ところが、5日日曜日朝からに急に尿が出なくなった。病棟の看護師さんが尿カテーテルの詰まりを疑って入れ替えをしたが、やはり尿はでなかった。

 午前中に体位変換をした時に腹痛を訴えた(自分からは言わなかった)。お昼前に、下腹部に圧痛があると連絡がきた。

 午後1時半に病棟に診に行くと、入院した時と比較して腹部膨満がある。全体にぷよぷよした感じで確かに下腹部に圧痛があった。腹水だろうと思われたが、入院時にはなかった。肝硬変としての悪化が急に来る?。

 血液ガスを含む血液検査を提出して、胸腹部CT(腎障害あり単純)を取ることにした。

 まず腹水貯留が目についた。そして遊離ガスがあった。消化管穿孔による急性腹膜炎だが、どこの穿孔だろうか。十二指腸球部の壁が切れているようにも見えるが、その周囲にガスがないので、わからない。昨年の上部消化管内視鏡検査では異常がなかったはずだが。

 入院後120くらいで推移していた血圧が、90~100になっている。輸液を予定のソリタT3・500mlからソルラクト500mlに切り替えて、速度を上げて入れた。

 血液ガスでは代謝性アシドーシス(pH7.300)になっていて、血清クレアチニンが入院時より悪化して3mg/dl台になっている。

 家族に連絡してすぐに来てもらうことにした。ちょうど1年前に意識障害で受診した時に肝硬変・肝性脳症の診断をしてもらった地域の基幹病院外科に連絡した。

 受けてもらえたので、家族の到着を待って救急搬送した。元々の肝硬変・肝性脳症に今回の腎障害・血圧低下がある。はたして手術できるのかわからないが、外科判断になるので、とにかく送るしなかった。

 

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側頭葉てんかん

2022年06月08日 | Weblog

 火曜日の午前は救急当番だった。一過性意識消失の83歳男性が救急搬入された。けいれんはなかったそうだ。

 当院の神経内科外来(大学病院医師)に側頭葉てんかんで通院している。20年前から通院していて、処方はカルバマゼピン400mg/日のみだった。長年発作はなかったが、車の運転をすることから処方継続となっていた。

 その日はトイレに行こうとして、トイレも前で倒れた。倒れる音がしたので家族が行って、倒れているのを発見した。3分くらいで意識は回復したというが、開眼したということのようだ。

 救急車内では「大丈夫、大丈夫」と発語があった。搬入時には回復して、意識清明となっていた。普通に会話ができる。トイレに行こうとしたことは覚えているが、倒れる直前のことは覚えていない。その後は、病院に搬入されたところから覚えている。

 高血圧症で内科クリニックに通院している。ARB+βブロッカー貼付薬で血圧が下がりすぎて、βブロッカー貼付薬は中止になっていた。その後も起立性に低血圧があり、血圧が90になってふらつく時もあった。

 今月1日に作業中に動作が止まり、眼球が上転したのを妻が見ていた。立っていたので、すぐに座らせて支えた。数分で治まったので救急要請などはしなかったそうだ。

 頭部CTは以前から指摘されている左島の小低濃度巣(放射線科の読影では梗塞とされていが、欠損?)があるが、それ以外には出血はなく、明らかな梗塞巣はなかった。

 血液検査ではカルバマゼピン血中濃度は治療域にあり、他も異常はなかった。炎症反応は陰性だった。

 処置室に移ってもらって午後まで経過をみたが、特に症状はなく、家族が売店から買ってきて昼食もとれた。帰宅できるようだ。

 単なる起立性低血圧症というよりは、てんかんの症状のように思われた。神経内科外来の予約日は7月始めになっていたが、家族が今週の外来予約に取り直していた。(こちらで予約を入れるつもりだったが)神経内科外来の評価にお任せする。

 

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肺塞栓症だった

2022年06月07日 | Weblog

 5月13日に急性心筋梗塞として記載した88歳男性は、肺塞栓症だった。

 肺炎で入院して、いったん治癒してまた肺炎になり、食欲低下が続いていた。5月11日に冷汗・血圧低下があり、心電図でそれまでになかった変化を認めた。

 心電図は完全右脚ブロックの形になっていた。ST上昇様でもあり、判断が付かなかった。トロポニンIが474.7(0-26pg/ml)と上昇していた。ただし、CK 15・CK-MB 5と上昇はなかった。AST 505・ALT 460・LDH 630はうっ血肝を反映していたのだろう。

 以前に地域の基幹病院循環器内科でPCIの既往がある。連絡すると、その関係もあり、引き受けてもらえた。

 搬送後に、心電図はST上昇様ではあるが、新規発生の完全右脚ブロックそのものとされた。心エコーで右室拡大・左室の圧排があり、胸部造影CTを行った。両側肺動脈に血栓塞栓像を認めたそうだ。

 また腹部CTで門脈系や肺静脈(?)、下大静脈にガス像もあったと記載されていた。外科コンサルトの上、腹部症状・所見がないことから経過観察になっていた。

 搬送時は酸素吸入1~2L/分で酸素飽和度は保っていたが、搬送後には酸素増量を要したのかもしれない。慌てて搬送して、結果は完全に外れていたが、きちんと診断・治療できる病院に搬送したことだけはよかった。

 

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腸閉塞で搬送した後

2022年06月06日 | Weblog

 先週、地域の基幹病院外科から診療情報提供書の返事が来ていた。最近外科に紹介していないが、と思いながら、封筒を開けてみた。

 患者さんの名前を見ても、すぐには思い出せなかった。IDを入力して電子カルテを開いて、画面に張り付けている付箋を見て思い出した。2月末に腸閉塞で救急搬送していたのだった。

 

 患者さんは78歳女性で、先方の病院の呼吸器内科にステロイド依存気管支喘息で通院していた。プレドニン15mg/日を内服していて(ICS/LABA吸入あり)、抗体製剤(抗IL-4/13受容体抗体デュピクセント)を使用していた。

 その時はうっ血性心不全で同院循環器内科に入院していた。症状軽快後に廃用症候群で当院にリハビリ転院の依頼がきた。虚血性腸炎が発症(利尿薬の使用で脱水症になった)して、いったん中止した利尿薬を少量再開した直後に転院してきた。

 さらにこの患者さんは左上肢の非結核性抗酸菌症(M.chelonae)もあるという、疾患満載の患者さんだった。(この皮膚疾患が印象的だった)

 転院後の2週間のリハビリで、ベットからポータブルトイレには自分で移動できるようになり、リハビリ室で平行棒を使って歩行できるようになった。

 

 2月末になって急に腹痛と嘔吐(胆汁性)が出現した。点滴で2日経過をみたが改善はなく、腹部CTで小腸の拡張・消化液貯留を認めた。腹部手術の既往はなく、外科医に相談すると何らかの内ヘルニアだろうと言われた。

 先方の病院外科に連絡すると、受けてもらえたので、救急搬送した。

 

 搬送後、保存的に治療していたが、軽快せず10日目に手術を行っていた。小腸が横行結腸間膜に癒着していたとある。剥離・切除を行った。その後縫合不全を来したが、保存的に軽快したそうだ。

 4月になって経口摂取できるようになり、別の病院(療養型病床)にリハビリ転院を依頼して転院待ちになっていた。ところが、5月連休明けに夕食中に心肺停止となった。蘇生術施行で心拍は戻ったが、2日後に亡くなった。誤嚥からの窒息では、と記載されていた。

 

 ずいぶん苦労されて診療に当たっていたのだった。ステロイド長期使用の皮膚で、ほんの少し引っ張られただけで、ごく薄い皮膚がズルっと剥けてくるような方だった。

 リハビリ転院を依頼していた病院は県庁所在地にあり、そちらへの転院もあまりないはずだ。家族(お子さんたち)の居住地というような都合なのかもしれない。

 

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非結核性抗酸菌症(NTM)疑い

2022年06月05日 | Weblog

 水曜日の夕方に救急外来をみていた先生(大学病院外科からバイト)から慌てた様子で連絡がきた。

 当院内科外来に通院している74歳女性が、呼吸困難で救急搬入された。酸素飽和度が60%台で到底外科医では診られません、ということだった。

 検査は新型コロナの抗原定性検査だけしていて、画像検査などはまだだった。感染病棟(COVID-19 病棟)にいたので、この患者さんを外来で診ている内科のい若い先生に連絡して、診てもらうことにした。

 

 救急室で看護師さんが喀痰吸引を行うと、酸素飽和度100%(酸素6L/分)になっていた。何度か喀痰吸引をして、少しずつ酸素吸入慮を調整して、3L/分でも98%になった。

 重症肺炎であれば地域の基幹病院呼吸器内科への搬送も考慮していた。胸部X線・CTで確認すると、右中葉の肺炎があり、右肺にもありそうだが、肺炎の程度と酸素飽和度からは、まず当院で治療してもいけそうだった。

 

 抗菌薬(ゾシンPIPC/TAZ)で開始して、翌日には解熱していた。病室に診に行くと、しっかり開眼して普通に会話ができる。鼻カニュラ3L分で酸素飽和度は良好だった。

 

 この患者さんはもともと内科医院に通院していた。2014年に当院放射線科に胸部CTの依頼があり、読影レポートは「両肺に気管支拡張像が見られ、斑状影・空洞形成もみられる。診断:非結核性抗酸菌症疑い」だった。内科医院でクラリスロマイシンが投与されていたようだ。

 今年の3月に、右末梢性顔面神経麻痺で当院耳鼻咽喉科に入院した。入院後に発熱と炎症反応の上昇があり、胸部CTで左下葉背側に浸潤影を認めた。肺炎で内科転科となって、内科の若い先生が担当した。

 始めはセフトリアキソンで治療を開始したが、思わしくなく、ゾシン(PIPC/TAZ)に変更して軽快した。退院後はそのまま内科外来で診ていた。

 ただ喀痰の抗酸菌検査は行っていなかった。外来で、クラリスロマイシンとリファンピシンを投与していた。専門医には相談していなかった。

 

 木曜日に大学病院から呼吸器科外来に来ている先生(呼吸器と感染症の専門医で、結核・抗酸菌認定医)に相談した。内科医院でのクラリスロマイシン単剤投与を聞くと、嘆いていた。NTMは当然単剤では治らない。キードラックが単剤投与で薬剤耐性になると、その後の治療は困難になる。

 今回喀痰の抗酸菌塗抹を3日間行い、培養とPCR(結核・MAC)を提出した(塗抹陰性でも提出)。もっとも薬が入っているので出ない可能性が高い。

 患者さんが耐えられるようであれば、地域の基幹病院呼吸器内科に紹介して気管支鏡検査を検討したいという(この先生はそちらの病院にも行っている)。

 治療薬としては、マクロライド+リファンピシン+エタンブトールの3剤併用よりマクロライド+エタンブトール2剤併用の方が、治療成績が3剤併用と遜色がなく、治療中断が少ないそうだ。私ならアジスロマイシン+エタンブトールです、と言っていた。

 

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脳出血

2022年06月04日 | Weblog

 木曜日の午後1時ごろに、外来の看護師さんから連絡がきた。頭痛・体調不良を訴える81歳女性が直接外来を受診したという。当院事務職員の母親だった。

 2回の脳出血の既往があり、付いてきた夫によると認知症があります、ということだった。その日朝は特に変わりなかった。デイサービスに行って、お昼ごろに頭痛(頭重感)と体調不良を訴えた。 

 家族に連絡が来て、夫が迎えに行って、そのまま病院に連れてきた。入所者ではないので、デイサービス中の体調不良は家族が呼ばれて対応することになる。

 

 救急室に別の患者さん(若い女性)がいて、腎臓内科の若い先生が対応していた。81歳女性は、救急室の脇の方のストレッチャーに横になっていた(カーテンで仕切られているだけ)。

 開眼はしていて、頭痛があるという。部位を訊くと、右前頭部を手でさわっていた。両側上下肢は動くが若干左上下肢の動きが弱い(不全麻痺?)ようだった。

 ふだんは頭痛はなく、その日に出現した頭痛だった。すぐに頭部CTを撮影することにした。これまでの画像を確認してから放射線科に行くと、ちょうど撮影が終わったところで、放射線技師さんたちが声を上げていた。(事務職員の母親と知っているので、技師さんたちが集まって来ていた)

 右後頭葉に出血を認めた。部位は高血圧性脳出血としてはあまりないところになる。出血性脳梗塞も疑われたが、心房細動はなかった(正常洞調律)。

 高血圧症で当院神経内科医の外来に通院している(処方はベニジピン4mg1錠のみ)。神経内科医に連絡してCTを診てもらった。以前のMRIを確認して、動静脈奇形などはないのを確認していた。「脳出血」というしかない、基幹病院へ搬送を、ということだった。

 地域の基幹病院脳外科に連絡すると、受けてくれたので、救急搬送とした。その日脳外科はその先生しかいないそうだ。手術にはならず保存的に診ることになるので、脳神経内科に頼むことになる、とも言っていた。

 

 これまでの脳出血も普段あまり見ない部位に発生していた。2015年は右側頭葉の脳出血が発症している。保存的治療になるので、当院の神経内科に入院していた。

 2020年には左側頭葉の脳出血が発症して、その時は基幹病院脳外科に入院していた。

 

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尿から嫌気性菌

2022年06月03日 | Weblog

 水曜日に救急を診ていた先生(バイトの大学病院外科医)から連絡がきた。肝硬変・肝性脳症で診ている66歳女性が救急搬入されていた。

 

 ちょうど1年前の昨年6月に、地域の基幹病院救急科から連絡がきた。当院に糖尿病・高血圧症で通院しているその女性が、前夜からの意識障害で搬入されたという。

 血清アンモニアが高値で肝性脳症と診断された。肝硬変と推定されるということだった。ウイルス性肝炎は陰性で、原因は不明とされた。(他の慢性肝疾患も確定できない。肝臓専門医と相談したようだ)。

 対症的は治療で経過をみるしかないこと、予後不良であることを家族に伝えたので、後は当院で診てほしいという依頼だった(外来扱いからの紹介なので「転院」ではない?)。

 当院でアミノレバン(のジェネリック)を点滴静注して、その後はリーバクト・ラグノスNF経口ゼリー内服で治療して落ち着いた。

 

 今回は微熱だが発熱があった。閉眼していたが、呼びかけると開眼して20秒は保てる。簡単な会話は可能だった。血圧は130/70台で保っている。

 白血球16400・CRP16.7と炎症反応の上昇を認めた。血清アンモニアは233と高値だったが、普段も150~200くらいだった。BUN84.6・血清クレアチニン2.70と腎障害を認める。脱水症による腎前性のようだが、消化管出血も疑われる比率だった。

 尿は尿混濁というより、ほとんど膿そのものだった。両側腎臓が腫脹してる。水腎症になっていて、尿管も拡張している。膀胱壁はかなり肥厚していた。尿閉を呈している可能性があり、尿カテーテル留置とした。

 肺炎や他の感染症も否定的で、尿路感染症(急性腎盂腎炎~膿瘍?)と判断された。尿培養と血液培養2セットを提出して、点滴と抗菌薬投与を開始した。

 

 翌日の細菌検査担当の検査技師さんから、尿から嫌気性菌が出ているといわれた。腸内細菌は見当たらないともいう。院内では嫌気性菌としか同定できないので、外注検査に提出します、ということだった。

 

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NSTEMI

2022年06月02日 | Weblog

 月曜日の午後2時過ぎに、74歳男性が前胸部圧迫感で内科新患を受診した。4月から来てもらっている先生(循環器内科から総合診療)が担当した。

 その日の午前10時ごろから前胸部圧迫感が出現して、続いていた。高血圧症・糖尿病・脂質異常症で近医に通院している。喫煙もある。4日前に他県に旅行に行った際も、前胸部圧迫感が出現して、2時間?続いて治まったそうだ。

 心電図ではV3-6に5mmのST低下を認めた(Ⅰ、aVLにもST低下あり)。(ST上昇は認めなかった)心電図を短時間に3回繰り返しとっていた。血液検査で、白血球10000と上昇している。トロポニンIが462.1(pg/ml)、CK 409・CK-MB 47(AST 69・LDH 208)と心原性酵素が上昇していた。

 急性心筋梗塞(NSTEMI)として、地域の基幹病院循環器内科に救急搬送していた。

 

 救急車の音が聞えたので、どんな患者さんが搬入されるのかと確認したら、搬入ではなく搬送だった。短時間に心電図を繰り返しとるところは、さすが循環器内科。

 この先生には発熱外来も診てもらっているが、これまで新患のCOVID-19の患者さん2名の救急搬入に当たった。看護師さんたちには「コロナに当たる先生」?、と認識されている。

 

 循環器・救急医のための心電図の症例集〜CCUの現場で学ぶ120例〜 (手にとるようにわかる)

 古くなったが(2010年発行)、いい本だと思う。最近心電図の本を読んでなかった。

 

 

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癌終末期のデキサメサゾン

2022年06月01日 | Weblog

 5月24日に記載した、地域の基幹病院腫瘍内科から紹介された結腸癌術後再発の56歳男性。

 

 紹介で最初に受診した時は、食欲不振・全身倦怠感がひどく、来院してから診察まですわっていられず、点滴室で横になっていた。

 疼痛に対するアセトアミノフェンだけ処方されていたが、患者さんは屯用で使用していた。心窩部の重苦感はあるが、医療用麻薬を使用するほどではないようだ。

 点滴をしながらの診察となった。希望はやはり、「できるだけ自宅で過ごしたい」だった。多発性肝転移というより、全体に癌が広がっている。腹壁にも癌の結節が複数あり、両肺転移もある。印象は「大分弱っている」で、そのまま入院してもおかしくない病状とみられた。

 血液検査で糖尿病はなかったので、ステロイドを開始することにした。その日は点滴でデキサメサゾン4mg相当(1.65mg×2A)を入れて、翌日から4mg/日内服とした。

 

 1週間後の今週火曜日に外来に来てもらったが、横臥はしていなかった。診察室前で座って待っていて、診察室にもすぐに入ってきた。食事摂取できるようになったという。

 その日の朝も菓子パン2個と牛乳を摂取していた。ステロイド投与前は、市販のウィダーインゼリーしか取れないと言っていた。倦怠感も軽減はしているようだ。

 デキサメサゾン4mg/日内服を継続として、2週間後に外来予約を入れた。もう1か月くらいこの状態が続くといいが、ステロイドは急に効果がなくなり、そうなると患者さんはごく短期間しかもたない。

 

 癌の緩和ケアは何人かの専門医の本を参考にしているが、主には大津秀一先生の本を参考にしている。2013年の初版から購入してきて、現在は2021年の第4版になっている。

 癌終末期のステロイドの使用と効果は大津先生に教えてもらった(といっても、本を読んだだけだが)。

間違いだらけの緩和薬選び Ver.4 -費用対緩和を考える-

 Ⅰ. 予後2か月以上:苦痛は「疼痛」が中心の時期。「鎮痛薬(含医療用麻薬)」「鎮痛補助薬」を使用。

 Ⅱ. 予後2か月以内:苦痛は「疼痛」のほか、「全身倦怠感食欲不振」など多種。「ステロイド」を使用。

 Ⅲ. 予後数日以内:苦痛は「身の置き所のなさ」。必要に応じて適切な「鎮静」を行う。「ミダゾラム」を使用。

 

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