なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

医療従事者が濃厚接触者の場合

2022年01月21日 | Weblog

 新型コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大で、感染者との濃厚接触者の待機期間が14日間から10日間に短縮された。医療従事者が濃厚接触した場合は、毎日の検査で陰性が確認されれば勤務できるとされた。

 今週、地域の基幹病院の医師が新型コロナウイルスに罹患したという情報が来た。その医師の所属する診療科からの当院への転院が一時延期になるそうだ。

 またその診療科では、全員参加でカンファランスをしていて、参加者が濃厚接触者とされた。診療科のトップの先生から、毎日診療前にコロナの検査を受けるので大変だと、当院の医師(転院延期された患者さんを受け入れる予定だった)に言ってきたそうだ

 それ以外の診療科からの転院は延期にならず、そのまま転院になる。地域医療連携室に確認の通知が来ていた(転院前にコロナの検査はしている)。

 

 そちらの病院では、新型コロナウイルスの抗原定量検査ができる。昨年の感染管理の相互評価でICTが当院に来た時は、PCRの検査機械を購入するかどうか検討中と言っていた(値段の問題で購入しないかもと)。昨年の段階では簡便な抗原定性検査と抗原定量検査で対応していたはずだ。

 毎日朝出勤してきてすぐに検査して判断するので、抗原定性検査で見るのだろうか。10日間毎日鼻をぐりぐりされるのは大変だ。

 病院内の職員はユニバーサルマスクで、お互いにマスク装着とマスク装着なので、濃厚接触には当たらないと突っぱねることもできるはずだが、病院としてはそうもいかないのだろう。

 

 忽那先生のYahoo  newsの記事に、オミクロン株が感染しやすい理由として、上気道で増殖しやすい潜伏期が短いワクチンや過去の感染による免疫から逃れやすい、などが考えられると載っていた。

 上気道で増殖すると、飛沫やエアロゾル中にウイルスが拡散されやすい。新型コロナは鼻汁・咽頭痛が比較的少ないとされていたが、オミクロン株では鼻汁・咽頭痛の上気道症状が多い。

 またオミクロン株の潜伏期が3日なので、潜伏期が5日のデルタ株よりも感染者が増加する。オミクロン株の感染者の増加は、デルタ株の感染者の2倍の速度だった(半分の日数で同じ数になる)。濃厚接触者が感染する割合もデルタ株より高い(家庭内感染で1.42倍、家族以外の濃厚接触者で2.63倍)。

 さらにデルタ株などの従来の新型コロナウイルスはワクチン接種者や既感染者(一度かかった人)には感染しにくかったが、オミクロン株はワクチン接種者や既感染者にも感染する。

 

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コムレケア

2022年01月20日 | Weblog

 糖尿病で通院している 76歳女性は以前から朝方のこむら返りがあり、漢方薬の芍薬甘草湯を処方していた。ほとんど毎日起きるので、1日1回分を処方していた。

 循環器専門病院で冠動脈バイパス術を受けた既往があるが、現在は特に心不全症状も狭心症症状もない。糖尿病はインスリン強化療法が行われていて、当院で継続していた。内服薬もDPP4阻害薬・メトホルミン・SGLT2阻害薬も処方している。HbA1cが8%台で、もっと下げたいところではある。

 高血圧症・心房細動・慢性心不全として、降圧薬・DOAC・利尿薬・スタチンが処方されていて、これも継続している。手術を受けた病院は当時はよく心臓病の患者さんを紹介していたが、病院がちょっと遠方にある。その後はもっぱら別の心臓血管センターのある専門病院に紹介していた(こちらの方が近い)。

 

 昨日の水曜日に受診した際に、芍薬甘草湯は要りません、と言われた。薬局で小林製薬のコムレケアを購入して使っているという。中身は同じですと伝えたが、それはわかっていた。

 コムレケアは錠剤なので飲みやすいそうだ(ゼリーもある)。1回に4錠内服する。1箱48錠で12回分になり、値段は1800円で1回分が150円になる。保険がきく病院のエキス製剤のほうが安いと思うが、飲みやすい方がいいらしい。(amazonではもっと安く売っていた)

 朝方にこむら返りが起きるので、就寝前に内服しても効かないそうだ。寝てから割とすぐに起きる場合、就寝前の定期内服が効くという患者さんもいるが、さすがに朝方の症状には効かないのだろう。基本は屯用薬。

 

製品ラインアップ

 夜間のこむら返りでの芍薬甘草湯の処方は案外多い。夫婦で通院していて、二人に芍薬甘草湯処方していることもある。飲んですぐに効くのも不思議だ。自分でも夜間になったことはあるが、最近は何故かなくなった。

 

 ちなみに当方も、小林製薬の通販を定期で購入して、コエンザイムQ10など3種類を飲んでいる。どのくらい効くのかわからないが、根拠はないがある程度健康にいいのではと思っている。3か月分で12000円くらいなので、1か月4000円使っている。

 

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せん妄リスクのある不眠(不穏)

2022年01月19日 | Weblog

 退院サマリーは退院後2週間までに記載することになっている。それ以上過ぎると、書いてくださいという用紙が医局に来る(個人のボックスにいれるだけ)。

 大抵は退院が決まった時点で記載してしまうが、たまたま忘れてしまうことがある。1月初めに退院(転院)した認知症の88歳男性の退院サマリーが未記載と指摘された。

 10月の当直の時に、救急搬入された。家族か入浴させている時に、一過性の意識低下があったという。救急隊到着時はJCS10と報告があった。

 搬入時は閉眼していたが、呼びかけると20秒以上は開眼しているので確かにそうなる。名前は言えるが、生年月日が言えないのは意識障害ではなく、認知症の問題だった。

 バイタルサインや血液検査では問題がなかった。頭部CTで頭蓋内出血はなく、陳旧性ラクナ梗塞はあったが、新鮮な脳梗塞の有無は不明だった。入院で経過をみて(搬入時は発症2時間後)、翌日頭部MRIをみることにした。

 翌日、動いてしまってMRIは無理かと思われたが、案外普通に撮影できた。新規の脳梗塞はなかった。元気になると、簡単な会話はできた。動いてしまうので、体幹抑制となった。

 認知症で精神科病院に通院していて、リスペリドン(1mg.日)が処方されていた。家族は在宅介護はもう難しいというので、可能なら施設入所を目指すことなった。

 

 リハビリは指示が入らず、食事の時に車椅子に移乗するくらいだった。夜間の不穏で病棟看護師さんが困るので、就寝前(実際は夕食後になる)のデジレル(25mg)2錠+ロゼレム8mgである程度は落ち着いた。

 それでももう少し動かないでほしいという病棟の意見もあり、クエチアピン12.5mg錠を2錠分2で追加した。少し効いたかもしれない。(糖尿病はなかった)

 結局体幹抑制はとりにくく、施設入所は難しかった(施設では抑制できない)。通院していた市内の精神科病院は、認知症の入院はよほど困っていない難しかった。(介護者に殴り掛かるくらいでないと、急な入院はできない)

 それでも、通院していた患者ということで、依頼してみた(不穏があり、対応に苦慮していますと)。1か月弱待って転院するtことになった。

 

 最近、せん妄リスクのある患者さんにデジレルを使用するようになって、院内でも少しずつ広まってきた(他の先生も使いだした)。

 地域の基幹病院には精神科医がいて、外来はしていないので、院内のコンサルテーション業をしているらしい。せん妄・不穏の患者さんには精神科処方として、デジレル・ロゼレムに気分調整薬としてのデパケンが処方されてたりしている。また抗精神薬としては、よくロナセンテープが貼付されている。ロナセンテープ3枚/日の患者さんもいた。

 当院に転院してから覚醒が悪いので、1枚ずつはがしたりしていた。先方に入院中はかなりの大立ち回りがあって、開始されたのだろう。(内服困難で貼付剤で対応)

 

 通常は、不穏に対しては糖尿病がなければクエチアピン、糖尿病があってクエチアピンが使えない時は(やむなく)リスペリドンを使用する。

 せん妄リスクのある患者さんの不眠では、デジレルを使用する。1錠で効かない時は1時間おきに1錠ずつ追加する(3錠まで可)。(地域の基幹病院では4錠使用した患者さんもいた)

  

 以上のことは、「不眠診療ミニマムエッセンス」井上真一郎著(中外医学社)に記載されている。せん妄リスクのある患者さんの不眠・不穏に関しては、この本が最新の知識を提供していて研修医にお勧め。

 

外来・病棟で役立つ! 不眠診療ミニマムエッセンス

 

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「熱が出て関節が腫れて、偽痛風です」

2022年01月18日 | Weblog

 月曜日に2つの病棟から、入院患者さんの発熱について報告があった。

 一人は85歳男性で、認知症の徘徊で戸外で倒れているところを発見された。地域の基幹病院に救急搬送されて、低体温症として治療されて改善したが、一人暮らしで退院にできなかった。

 福祉サービスの手続きとリハビリ目的で当院に転院していた。リハビリを行って、介助で何とか歩行できるようになっている。夜間の軽度せん妄があり、デジレルを処方している。リハビリ継続で、施設入所待ちだった。

 先週の土曜日から37℃後半の発熱があり、右膝の腫脹・疼痛があった。食事摂取は問題なく、元気だった。病棟の看護師さんから、「右膝の偽痛風のようです」と報告があった。

 右膝に有意な熱感があり、腫脹していた。ただし、左膝にも腫脹・熱感があるが、痛くはないという。膝関節のX線を見ると、左の方が関節内石灰化がわかりやすかった。

 偽痛風疑いとして、NSAIDs内服(セレコキシブ)と湿布の貼付を開始して解熱している。

 

 別の病棟では、肺炎・心不全で入院した89歳女性が日曜日から39℃の発熱があった。陳旧性心筋梗塞があり、輸液の量が多いと胸水貯留になり、利尿をかけすぎると脱水・食欲不振になって調整が難しかったが、何とか落ち着いた。

 月曜日にも38℃の発熱があった。ただ、食事摂取量には問題なく(右手の痛みで食事介助にはなった)、熱の割に元気だった。病棟の看護師さんから、「右手が腫れて偽痛風のようです」と報告があった。

 確かに右手関節の尺側の疼痛があり、発赤・腫脹を認めた。点滴部位に血管炎を来したり、穿刺部位周囲が発赤したりしていて、蜂窩織炎も考えたが違うようだ。

 明らかに一点に圧痛があり、手関節の他動で痛みがある。関節炎でいいようだ。単関節炎ではあるが、部位的に化膿性関節炎が考え難く、確かに偽痛風が考えられる。

 NSAIDs(セレコキシブ)内服と湿布貼付で治療を開始して、今日は解熱している。ただし、NSAIDsの内服は短期間に留めないと腎障害・心機能への影響が危惧される。

 

 それにしても高齢者の関節炎として、偽痛風は看護師さんの間で知れ渡ったということか。高齢者の発熱では、「関節炎・蜂窩織炎はないか」、「偽痛風ではないか」と当方が騒ぐので、教育的効果があった?。

 

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肺アスペルギルス症疑い

2022年01月17日 | Weblog

 先週の金曜日に、血痰の78歳男性が外来を受診した。血痰なので呼吸器外来扱いとなった(受診時は36.6℃で発熱外来扱いにはならなかった)。

 一人暮らしの方で、姪2人が付いて来ている。1か月前から食欲不振が続いていた。4~5日前から血痰が続くようになった。地域の基幹病院を受診したというが、夜間の救急外来受診なので、止血剤のみ処方されたそうだ。画像はとっていないらしい。

 胸部X線で右肺尖から上葉にかけて、空洞性病変があり、両側肺野に粒状影が広がっている。空洞内に真菌球のような結節影があるようだ。

 呼吸器外来担当の先生(大学病院からバイト)から入院させたいと相談された。肺癌、肺結核、肺アスペルギルス症が疑われるという。アスペルギルスを一番に疑っているようだ。

 胸部CTで病変を確認することにして、喀痰抗酸菌塗抹検査を提出した。CTでは右肺尖から上葉全体に不整な空洞があり、内腔には結節様陰影があった(真菌球?)。やはり肺アスペルギルス症疑いということだった。両側肺野に粒状影が散布していて、こちらは原疾患に関連したものか、喀痰吸引の影響なのかわからない。

 とても当院で扱えるような病気でない。肺癌ではないようだが、扁平上皮癌でこのような画像を呈するだろうか。血痰といえば、結核疑いになるので、抗酸菌塗抹の結果を見ないと紹介し難い。

 提出後に検査技師さんに連絡すると、昼食後にやろうと思っていたようで、今からですという。塗抹検査の結果を見て、紹介できるかどうか決まると伝えると、今からやりますと言われた。結果は陰性。

 地域の病院呼吸器内科に連絡した。夜間に貴院を受診したようですが、とちょっとだけ言ってから、病状と検査結果をお伝えした。幸い引き受けてもらえた。酸素飽和度は安静時には97%だが、動くと息切れがする。先方でも(家族の車より)救急搬送の方が都合がいいようだ。

 体温を再検したところ38.4℃に上昇していた。新型コロナとインフルエンザの迅速試験も追加してから(陰性)、救急搬送した。

 

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子宮癌疑い、両側水腎症

2022年01月16日 | Weblog

 先週の金曜日に、53歳女性が両下肢の浮腫で内科外来を受診した。担当は大学病院からバイトに来ている先生だった。

 昨年の11月から下肢の浮腫があり、次第に進行していた。尿の出が悪いことも自覚していた。48歳で閉経したが、1年前から不正性器出血が続いていた。母親の介護があり、受診できなかったそうだ。

 

 別の患者さんのCT像を放射線科に見に行った時に、この患者さんのCT検査が終わったところだった。子宮が著明に腫大している。両側の水腎症・水尿管症を呈していた。胸水・腹水もある。

 子宮癌が伸展により両側尿管が圧排されてしまったようだ。癌性胸膜炎・癌性腹膜炎になっていれば、完全な進行癌だ。内科から婦人科外来に紹介になるらしいと聞いた。

 産婦人科医は、子宮癌疑いとして、がんセンターに紹介することにしていた。翌週の火曜日に予約がとれた。ところが血液検査で血清クレアチニンが5mg/dlと上昇していた。尿路閉塞による腎後性腎不全だった。腎瘻造設を要する。

 がんセンターの泌尿器科に相談したが、すぐの受け入れは難しいという。地域の基幹病院に当たってみるか、など紹介先を考えていた。

 

 当方の診ていた患者さんを地域の基幹病院呼吸器内科に搬送して、医局に戻った時に産婦人科医にどうなったか訊いた。がんセンターで大学病院に当たったが、泌尿器科の受け入れが難しかった。

 医療センターの泌尿器科は、腎瘻造設を2件行うところで、受け入れは無理だった。結局県内有数の市立病院で受けてもらえることになった。産婦人科医はその後救急車に同乗して、市立病院に向かった。

 

 もっと早く受診してほしいが、事情もあるのだろう。不正性器出血が1年間続いたが、放置してしまったということになる。

 

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モルヌビラビル

2022年01月15日 | Weblog

 新型コロナウイルス治療薬のモルヌピラビルが2021年12月3日に特例承認された。それを受けて、院内に入れておくべきかという話になった。

 基本的には入院にならない患者さんで使用するので、外来処方になる。処方箋を出せば、調剤薬局で処方して、患者さんに届けてくれるそうだ。院内で使用する可能性もあるので、患者さん数人分は常備した方がいいのだろう。(配給先では、当院用には患者さん3名分は確保しているそうだ)

 

 モルヌピラビルは商品名ラゲブリオカプセル200mgで、効能効果は「SARS-CoV-2による感染症」となっている。18歳以上に、1回800mgを1日2回、5日間経口投与する。

 ラゲブリオカプセル200mgを1回4カプセル1日2回内服する。1日に8カプセルで、5日間で40カプセルの内服になる。1カプセルが長径21.7mmなので、けっして小さくはない。

厚労省がMerck社のモルヌピラビルを特例承認、初のCOVID-19経口 ...

 適応としては、軽症者・中等症Ⅰ(肺炎はあるが、酸素吸入不要)に使用する。ただし、重症化リスク因子のある患者さんにしか投与できない。

 そして重症化リスク因子は、数種類の基準のうちどれを使用してもいいという、何だかちょっと曖昧な基準になっている。

 

感染症学会の「重症度リスク因子を有する等、本剤の投与が必要と考えられる患者」は
・61 歳以上
・活動性の癌(免疫抑制又は高い死亡率を伴わない癌は除く)
・慢性腎臓病
・慢性閉塞性肺疾患
・肥満(BMI 30kg/m2 以上)
・重篤な心疾患(心不全、冠動脈疾患又は心筋症)
・糖尿病
・ダウン症
・脳神経疾患(多発性硬化症、ハンチントン病、重症筋無力症等)
・コントロール不良の HIV 感染症及び AIDS#
・肝硬変等の重度の肝臓疾患
・臓器移植、骨髄移植、幹細胞移植後

 

 重症化を30%阻止するというが、もう1種類のファイザーのパクスロビドの方は重症化を90%弱阻止するそうだ。どっちを使用するかとなると、パクスロビドの方を使用したくなる。こちらももうすぐ特例承認される。

 

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急性前立腺炎

2022年01月14日 | Weblog

 日曜日に63歳男性が急性前立腺炎で外科に入院していた。

 日曜日の早朝に悪寒があり、熱っぽさもあって救急要請した。救急隊からは発熱の情報は入っていなかったが、搬入時39.6℃の発熱があり、発熱対応になった。土曜日の日当直で来ていた外科医(大学病院からバイト)が診察した。

 新型コロナウイルス・インフルエンザの検査は陰性だった。胸部CTで肺炎はなく、尿混濁があることから尿路感染症と判断された。

 抗菌薬内服(レボフロキサシン)で外来治療となり、連休明けに外来受診を指示された。糖尿病があり、HbA1cが10%台と血糖コントロールは悪く、入院治療でよかったかもしれない。

 いったん帰宅したものの、その日の夕方に悪寒と嘔吐があり、再受診した。日曜日の日当直は外科常勤医だった。肛門痛(会陰部痛?)の訴えもあった。また30歳代で前立腺炎で1か月入院したと伝えていた。

 直腸指診で前立腺に圧痛を認めた。入院治療となり、抗菌薬点滴静注が開始された(ゾシンPIPC/TAZ)。すでにレボフロキサシン内服は入っていたが、尿培養と血液培養2セットが提出された。

 入院後も高熱が続き、ゾシンを2日使用した後に、メロペネムに変更していた。連休明けの11日には、血液培養2セットからグラム陰性桿菌が検出された。翌12日に、大腸菌と判明して、感受性は良好だった。12日には解熱傾向になった。血清PSAは5.455ng/ml(<4)と軽度上昇を認めていた。

 自分で直腸指診をしても前立腺の圧痛があると確診されたことはないので、指診には自信がない。今回は肛門痛の自覚と、前立腺の圧痛があったので、炎症の程度として重度なのかもしれない。

 

 プラチナマニュアルによれば、急性前立腺炎ではβラクタム薬の移行性が悪いため、前立腺への移行性がよいニューキノロンやST合剤が最もよいが、強い炎症であるためβラクタム薬でも治療可能、とある。

 レボフロキサシンを継続しても治療は可能だったが、治療日数の問題なのだろう。CTで見ると、前立腺内に低濃度の部分があり、これは膿瘍形成なのだろうか。

 

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冠攣縮性狭心症?

2022年01月13日 | Weblog

 昨年の12月27日に、糖尿病で通院している78歳女性が、断続的に胸痛が続くと訴えて受診した。心電図では虚血性変化を認めず、心原性酵素の上昇もなかった。

 

 糖尿病の血糖コントロールはHbA1cが8%台とあまりよくない。痩せた方で、血中Cペプチドが0.85ng/mlと低かった。可能ならば、持効型インスリンを追加してBOT(basal supported oral therapy)にしたかったが、注射はイヤと同意しなかった。

 娘さんが2人いて、一人は当院の看護師だが、同居はしていない。持効型インスリンのトレシーバは効果が2日くらい続くので、1日おきに皮下注(娘さんの都合がいい時に注射してもらう)というのもある、と伝えたこともある。

 

 地域の基幹病院循環器内科に問い合わせると、外来予約がとれるのは年明けになるといわれた。心臓血管センターのある専門病院に連絡してみると、その日の午後に外来診察してもらえることになった。

 その後は、硝酸薬の貼付剤(フランドルテープ)が処方されて、心臓カテーテル検査を予定するという返事が来ていた。1月4日に心カテが行われて、結果は正常冠動脈とされた。

 病歴と薬物治療への反応から、冠攣縮性狭心症も否定できず、フランドルテープとCa拮抗薬のベニジピンを継続して下さいという、検査後の返事が来た。

 胸痛は上記処方が出てから、ぴたっと治まっている。心気症の傾向がある方ではあるが、これまでも訴えがある時は実際に疾患ががあったので、今回も決して気持ちだけのせいではない。

 冠攣縮性狭心症として治療を継続することにした。それにしても年が押し詰まった時に、すぐに専門医に診てもらえて助かった。

 

 地域の基幹病院循環器内科から、専用の電話を設定して直接循環器内科医に連絡できるようになったというお知らせが来ていた。ありがたい話だが、ベットの空きがないと実際の受け入れは難しいのだろう。

 ちなみに心臓血管センターのある専門病院は登録医を設定していて、おそらく相当数の医師が登録している。当院では登録医になっているのは、多分当方だけだと思う。前の病院に勤務している時に登録していたが、病院を移ってからも(勤務先変更の連絡はしてないが)登録医向けのお知らせを郵送してくれた。

 

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胸椎圧迫骨折

2022年01月12日 | Weblog

 火曜日の救急当番の時に、高齢女性が3名救急搬入された。

 98歳女性は前週の金曜日から上背部痛があり、外科クリニックを受診していた。ロキソプロフェン内服と湿布が処方されたが、痛みが続いて、動けなくなって救急要請した。

 杖やシルバーカーを押して歩行できていたそうだ。搬入されてから、ずっとしゃべり続けていた。とにかく全身が痛いと言ってしまうので、痛みの部位の同定が必要だった。

 両上肢は拘縮があるが、同程度には挙上できた。両下肢は伸展させて挙上できる。肩関節・肘関節・手関節、股関節・膝関節・足関節は問題ないようだ。

 背部は胸椎の半ばあたりに明らかな圧痛があった。頸椎を触っても、腰椎を触っても痛いと言うが、痛そうな様子はない。何度か胸椎を押したが、同じ部位に確かに圧痛がある。

 転倒したり、しりもちをついたと言うことはないと主張していた。きっかけは不明だが、胸椎圧迫骨折が疑われた。

 MRI検査は午前中いっぱいだった。担当の放射線技師さんに相談すると、1時間半くらい待てば、入れてもらえることになった。

 通常の頸椎・胸椎X線ではよくわからない。内臓疾患(左下肺野の肺炎疑いがあった)否定のために、頸部から腹部までCTで確認したが、問題ないようだ。第6頸椎に圧迫骨折があるが、CTでは急性か陳旧性が判別し難い。

 MRIで確認すると、確かに第6胸椎に新鮮な圧迫骨折が証明できた(T2脂肪抑制画像)。整形外科外来に行って、診察をお願いすると、外来が続くので入院させておいて、と言われた。

 

 

 他には、整形外科クリニックで理学療法中に血圧が一時的に低下(60mmHg)した80歳女性が、搬送されてきた。クリニックで横臥させて、点滴をしていて、すでにその時点で血圧は110まで戻っていた。

 当院搬入時は血圧150になっていて、胸部苦痛を訴えた。過呼吸になっていて、血液ガスで二酸化炭素分圧が低下してアルカローシスを呈していた。

 この年齢では二次的に過呼吸になったと判断される。心臓大動脈疾患・肺疾患を疑って検査したが、有意な異常はなかった。少し休んでもらうと、過呼吸は治まり、症状はすっかり消失していた。

 

 さらに心肺停止の91歳女性が救急搬入された。お正月から食事摂取が難しくなり、すっかり寝たきり状態になっていた。発語もなく、うなずく程度だったそうだ。

 家族がオムツを交換しようとして、反応がないのに気付いて救急要請をした。救急隊到着時は心肺停止・瞳孔散大だった。救急隊も人工呼吸はアンビュバックで行っていたので、蘇生術に反応するとは思っていなかったのだろう。

 気管挿管・人工呼吸にアドレナリン注などを行ったが、蘇生術にまったく反応せず、死亡確認となった。死亡後のAutopsy imagingを行ったが、頭部も胸部も有意な異常はなかった。心筋梗塞による休止なども否定はできないが、状況から老衰と判断された。

 

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