なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

そんな患者さんがいましたか2

2014年05月10日 | Weblog

 昨日93歳女性が嘔吐下痢で外来を受診した。発熱はなく、腹痛もなかった。娘の夫が連れてきていた。看護師さんによると、娘さんはうつ病(自称?)で体調が悪い人だという。その夫は精神科病院で看護師をしている。今日は勤務がないので、付き添ってきたそうだ。1本点滴すると、だいぶ顔色が良くなって水分も取れた。

 今月初めに急性腎盂腎炎で入院したが(救急外来で診た循環器科医がそのまま担当した)、認知症で不穏があり、病棟の看護師さんたちが苦労したそうだ。もう1本点滴して、食事がとれない時はまた点滴にきてもらう方がいいかもしれないと思った。義理の息子は入院を希望した。超がつくような高齢という点では入院しておかしくない。この方が勤務に出かけると事実上介護する人がいなくなるので、短期入院で週明けの月曜日まで預かることにした。

 前に入院していた循環器病棟の個室に入った。病棟で点滴の指示を出していると、その病棟にいる肺に空洞のある患者さん(69歳男性)のことで、看護師さん(以前は内科病棟にいた)から相談を受けた。内科の若い先生が主治医だった。なんでも、意識障害で救急搬入されたそうだ。血糖が500と高値で、糖尿病を放置していたらしい。点滴とインスリン注射が開始された。搬入時に頭部CTが撮られていて、ラクナ梗塞が散在していた。CTだからはっきり言えないが脳幹部にもラクナ梗塞があるように見える。胸部X線で右肺に3~4cmの空洞性病変があった。高血糖と肺結核疑いということで、易感染性から結核というストーリーで検査と治療が進められた。通常の細菌性肺炎の治療もしつつ、繰り返した抗酸菌塗抹はいずれも陰性だった。入院後は解熱して、意識も戻り、炎症反応は順調に軽快してきていた。会話できるようになると、左半身が動きにくいことがわかった。その日に頭部MRIが行われて、CTで見えた脳幹部のラクナ梗塞は新鮮なものとわかった。入院してすでに1週間経過している。

 看護師さんとしては、肺結核だと困るということだった。個室に入院して、今のところ抗酸菌は出ていない。呼吸器科のある病院へ紹介してほしいらしいが、そこも結核病棟を持っていない。排菌していなければ、入院で肺結核の治療はするが、なにしろ手のかかる糖尿病と脳梗塞がある。これで紹介しようとしても、受けてくれるかどうかわからない。それにしても、通常の抗菌薬で軽快しているのは、結核に随伴した通常の細菌性肺炎を治したということなのか。空洞自体が肺炎から肺膿瘍となって、中心部が壊死に陥ったところを見ているのか。空洞壁はそれほど厚くはない。まずは主治医の先生に聞いてみて、来週にでも週1回大学病院から来ている呼吸器科医(感染症の医局に所属)に相談することにした。

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