なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

老衰といわれた

2021年06月28日 | Weblog

 先週金曜日の夕方に施設から82歳女性が紹介されてきた。発熱と食事摂取できないということだった。

 4月に左尿管結石で、地域の基幹病院泌尿器科で尿管ステントが挿入さていた。6月に交換予定だった。

 6月6日(日)に発熱で当院の救急外来を受診した。尿路感染症で左尿管ステントが挿入されていて、右尿管結石もあることから、複雑性(閉塞性も)尿感染症と判断された。

 日当直医は大学病院からバイトできている外科医で、基幹病院に連絡したが、対応困難といわれた。やはり泌尿器科で診てもらいたいので、医療センター泌尿器科に連絡して搬送した。

 医療センターでは右尿管ステントを挿入して、左尿管ステントを入れ替えた。尿培養でProteus mirabilisESBLが検出されて、抗菌薬メロペネムを使用していた。

 

 6月24日に施設に戻ったが、戻った時から肉眼的血尿が続いていた。そして25日また当院に紹介された。若干肺炎もあるようだが、やはり尿路感染症がメインのようだ。

 ダメもとの感じもあったが、基幹病院に連絡すると受けてくれたので、ありがたく搬送させてもらった。

 その後、午後9時すぎに当院に連絡がきた。医療センター入院時も食事摂取は1日1食がやっとだそうだ。全身状態としては老衰と判断されるという。施設に戻って経過をみるように言ったが、施設は断然拒否した(まあそうだろう)。

 当院に戻して入院させたいということだった。点滴で経過みて、急変時はDNRの方針とすることで家族も同意しているそうだ。確かに「骨と皮」という感じのるい痩の目立つ患者さんだった。

 施設にきていた医療センターからの診療情報提供書には尿管ステントのことと、抗菌薬のことしか記載されていなかった。食事摂取については確認していなかった。

 

 当院入院で点滴と抗菌薬(培養結果が出るまで、上記の理由でメロペネム使用)で治療を開始した。入院した日の夜間は不穏で看護師さんが困っていたが、その後落ち着いた。

 このまま落ち着けば、やんとかやれそうかと思われた。今日の午前5時にすうっと心肺停止になった。それまで、特に酸素飽和度や血圧が低下したわけではないが、バイタル測定は間が空く時間帯になる。

 心疾患の発症なども疑われるが、確定はできない。尿路感染症で治療していたことは間違いないので、先方のいうように老衰とはしがたい。亡くなった患者さんを見ると、確かに老衰感はある。

 「これは老衰」としたのは、慧眼というべきか。消化器科医と外科医に、「戻ってきたんだって」と言われた。

 

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