なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

「薬物誤用」

2022年10月10日 | Weblog

 水曜日の当直の時に、障害者施設にショートステイしていた59歳男性が職員に連れてこられた。

 夕食後の服薬に間違いがあった。職員が他の入所者の薬を飲ませてしまったという。もともとてんかん薬を複数飲んでいて、それは同じような薬だった。

 違っていたのは、レボメプロマジンとヒルナミンだった。本来その薬を飲んでいるのは、かなりの不穏・粗暴で、「処方している精神科病院に入院させてもらった方がいい方です」、という。

 一時的に血圧が80mmHgに低下したそうだが、その後施設内での再検では、血圧100~120mmHgとふだんと変わりなかった。

 救急隊から連絡を受けて、そのまま施設で休ませてもらっていいのでは、と伝えた。誤って他人の薬を飲ませたということで、施設側では受診希望だった。

 到着して見ると、普通に開眼して会話はできた。バイタルは問題なかった。なんだか呂律が回らないような話し方だが、「普段と同じです」ということだった。

 

 その日は看護師数の問題で急性期病棟は時間外の新規入院はできません、となっていた。入院がある場合は、地域包括ケア病棟と相談して下さい、だった。地域包括ケア病棟といっても、入院数が多く、点滴・酸素吸入の数も多い。できれば入院は避けたいという事情があった。

 施設側としても受診したという事実が大事で、ぜひ入院というわけでもないようだった。施設に戻ってそのまま休ませてもらうことにした。明日の朝の様子がおかしい時は連絡するよう伝えた。

 

 翌朝特に連絡はなかったが、後で気づいたが内科新患外来を受診していた。施設では、眠そうな様子なので、点滴を1本して下さいという希望だった。

 新患担当の先生(大学病院からバイト)が、希望通りに点滴を1本出して、血液検査も行っていた。結果は異常なしとして、点滴終了後に帰宅としていた。一晩入院で経過を見た方がよかったのだろう。

 

 受診病名をどうしたものかと思った。てんかんとは記載できるが、それで受診したわけではない。薬物と入力してみると、「薬物誤用」という病名?も出てきた。確かに薬物誤用だと思った。

 搬入時、救急隊の用紙には病名として何と書いていいかわからず、「誤って他人の薬を飲ませた」とそのまま書いてしまった。

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 約5か月ぶりに戻ってきた | トップ | 問い合わせ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事