なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

ST合剤による腎障害・高カリウム血症

2023年04月30日 | Weblog

 水曜日の午後に90歳男性が救急搬入された。高齢だが一人暮らしの方で、自分で車を運転して(!)近所の家に行った。具合が悪いので救急車を呼んでほしいと言ったそうだ。(自宅から119番できなかった?)

 救急隊が到着したが、自力歩行はできて話もできるので、どこが悪いのかと思われた。ただ話の内容が合わないので救急搬入となった。

 外科医(大学病院から)が救急を診ていた。血液検査でBUN 57.2mg/dl・血清クレアチニン4.51mg/dlと腎障害があり、血清カリウムが8.1mmol/Lと著明に上昇していた。それでも心電図では高カリウム血症の所見はほぼなかった。

 脱水症という判断で、その日の内科当番の先生に入院が依頼された。

 

 この患者さんは消化器科の外来に通院していた。3月に血液検査で炎症反応の上昇があり、CTで左肺の肺膿瘍と診断された。入院したくないということで、外来で抗菌薬内服が開始された(シタフロキサシン=グレースビット)。

 治療に反応して炎症反応も軽快していた。画像でも改善していた。4週間弱継続されて、その後さらにST合剤(バクタ)に切り替えてもう1か月継続したいと判断したようだ。搬入されたのは、バクタが処方されて12日目だった。

 血液所見から血液濃縮らしくはなかった。担当の先生は、バクタによる腎機能障害・高カリウム血症と判断した。(併せて降圧薬のARBも休止)

 1号液(ソルデム1)の点滴とGI療法、さらに翌日に血清カリウムの下がりが悪いので、経口でロケルマ懸濁用散も開始された。

 胸部X線・CTで見ると、肺病変はすでにかなりの改善があり、シタフロキサシン投与後に抗菌薬中止でよかった。

 

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