なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

すごい既往歴

2012年04月24日 | Weblog

 60歳台前半の男性。糖尿病・糖尿病腎症で糖尿病外来に通院して、インスリン治療を受けていた。早朝から意識障害があり、救急搬入された。低血糖があり、グルコース投与で意識は軽快した。意識が回復すると、呼吸苦を訴えた。両側肺の背側に浸潤影というべきか肺水腫様というべきか、という陰影を認めた。胸水はない。炎症反応はごく軽度。血液ガスでPaO2が40台、PaCO2が50台と低酸素血症、高炭酸ガス血症だった。明らかなCOPDの所見はない。救急担当の消化器科医が診ていたが、どうしましょうと相談を受けた。110~120Kgの肥満があり、人工呼吸器管理は専門医がいないと無理と思われた。呼吸器科の医師が複数いる基幹病院に搬送してもらった。

 あとで、これまでの既往歴を確認した。10年前から糖尿病で通院が始まっていた。最初の入院は外科で、会陰部壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)で入院していた。さらに足指の壊死で切断術を受け、昨年は足の潰瘍で入院して、完治していないのに途中で退院していた(本人の希望)。循環器科には心不全で入院して、心不全軽快後に冠動脈ステント留置の治療を受けていた。腎症の悪化でネフローゼ状態となり、腎臓内科でも外来経過観察となっていた。今回の陰影は肺水腫としての陰影のような気もしてきた。呼吸器科じゃなくて循環器科に送るべきだったかもしれない(搬送した病院は、循環器科医師も6名いて当院の3倍)。この患者さんは、もし標準体重だったら、糖尿病の治療も経口剤少量で済んで、これほどの合併症は起こさなかったと思われる。入院した時は10Kg体重減少して、血糖コントロール良好なっているが、退院するとすぐ元に戻ってしまっていた。アルコール性肝障害もあった。

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