なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

頸部リンパ節炎

2016年08月30日 | Weblog

 整形外科クリニックから、そこの看護師さん(23歳女性)が紹介されてきた。昨日の夕方、クリニックの先生から受診させたいという電話がきていた。高熱と頸部痛が続いているということだった。

 先週の日曜日からなので、発症して9日目になる。まず頸部リンパ節の圧痛が出現して、翌日に発熱もあり、内科クリニックを受診した。のどが痛いというので、咽頭炎としてフロモックスが処方された。熱が続いて、その2日後に当院の内科新患を受診している。ウイルス性でしょうという診断で経過観察とされた。翌日また当院を受診して、ちょうどフロモックスも切れたので、クラビットが処方された。土曜には別の内科クリニックを受診して、クラビットを継続するよういわれたという経過だった。

 当院で対応したのが2回とも大学病院から出張の先生方だったので、整形外科クリックの先生から、常勤医に診てもらいたいということだった。疑い病名はいろいろ出ても確定診断は難しいと思われた。

 確認すると、やはり咽頭痛ではなくて、頸部痛だった。扁桃炎の所見はなかった。頸部リンパ節の腫脹があり、触診だと母指頭大かと判断したが、エコーで見る最大のリンパ節では長径が47mmあった。左右の頸部リンパ節が多数腫脹している。鎖骨下・腋下・鼠径部のリンパ節腫脹は(触診上は)ない。白血球数8000(分画はほぼ正常域)と減少はしていなくて、CRP3.7、赤沈1時間値80mmだった。血小板数は13万で若干低下している。Hb11g/dlでやや貧血気味なのは以前から鉄欠乏性貧血があるそうだ。肝機能障害はない。

 可能性としては、1)組織球性(亜急性)壊死性リンパ節炎、2)結核性リンパ節炎(そんなに多発しないか。胸部X線は正常)、3)悪性リンパ腫(腫脹したリンパ節に圧痛があり、年齢的には考えにくい)、4)何らかのウイルス性リンパ節炎(見当はつかない)、その他になる。

 正確な診断のためにはリンパ節生検だが、この期間で実施するのもた躊躇われた。アセトアミノフェンで経過をみるのもあるが、これ以上仕事を休みたくないので、何とかしてほしいという。診断が確定してない(今の段階ではできない)ことを説明して、組織球性壊死性リンパ節炎疑いとして、ステロイド投与で経過をみることにした。 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 診断はすぐについた | トップ | カンピロバクター腸炎 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事