なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

CK2万のその後、感染性胃腸炎?

2014年04月04日 | Weblog

 筋原性酵素が著明な高値を呈した79歳男性は入院後に症状・検査値が改善した。CKが3月31日20000、4月1日8000、4月2日5000、4月4日1300と順調に下がってきた。AST・LDHも合わせて軽減している。担当した若い内科医は補液のみで経過をみていた。抗菌薬やステロイドは入れていない(入れる根拠もないが)。重篤な疾患かと危惧したのは何だったのかということになる。 短期間に起きた問題なのかもしれない。半年前から、左下肢の動きが悪かったという話は今回のことと関係ないようだ。1か月前からおかしかったという話もあったが、何度か聞いてもはっきりしない。明らかに症状が出始めたのは受診する3日前なので、そこからの発症とすべきなのかもしれない。横紋筋融解症とするのが正しいのだろうか。ただ、筋肉の挫滅を起こすような外傷や過労はない(隠している?)。よほどのことがないと病院に行かない人で、飲んでいた薬はない。電解質異常もなかった。

 以前に上気道炎の症状とともに四肢痛が出て、検査で筋原性酵素が上昇した患者さんが、内科医院から神経内科に紹介されてきたことがある。神経内科医が不在の時だったので、内科で診察した。四肢痛はあるが、歩行はできる。再検したら紹介先の値よりは少し軽快していたので、外来で経過観察として数日後に神経内科の外来に来てもらうことにした。その後順調に軽快して、神経内科医にはこんなウイルス性筋炎は時々あるので、わざわざ回さなくてもいいと言われた(神経内科宛ての紹介状ですが)。気にして診ていないだけで、ウイルス性筋炎というのは案外あるのだろうか。

 この患者さんは少なくとも細菌感染症ではないだろう(経過から)。肺炎・胆道感染・尿路感染・蜂窩織炎(最初疑った)・壊死性筋膜炎ではない。心内膜炎もない(たぶん)。ウイルス性としても、インフルエンザに罹患した経過はつかめない。コクザッキーとかいわれても困る。

 この患者さんは入院生活もいやなようで、早々に退院することになった。経過をみるために外来に通院する人ではないので、ここで検査は終了になる。何らかの原因による横紋融解症?ウイルス性筋炎?、結局よくわからない。慢性の経過をとる筋炎ではないので、まあよかった。初日の検査値は、原因不明ということもあり、主治医に相当なストレスを与える。翌日CKが8000となって、病棟の廊下で会った時に、下がりましたとにっこり笑っていたのが印象的だった。何とかなりそうという兆しだけでもうれしいものだ。この先生はここ2か月の間に混合性結合組織病から始まって膠原病がらみが数例続いていた(それぞれ専門医に紹介)。

 グループホームに入所している34歳女性が、昨日嘔吐・下痢(水様で頻回)・腹痛で受診した(施設職員が連れてきた)。精神遅滞があり、連絡先は遠方でおばが責任者になっているという。母親もいるが疎遠という話だった。外来で点滴を開始したが、症状が続いて入院となった。その場での簡単な会話は成り立つ方だったが、何か処置をしようとするとかなり動く(というか暴れる)。病棟師長さんに事情をお話しして、個室で抑制あり(点滴をすぐに抜くのでやむなし)という条件で入院となった。施設の職員も付き添う余裕はない。

 以前に感染性胃腸炎の流行っている時期に、精神遅滞の中年男性が入院して、入院後にS状結腸癌の穿孔による腹膜炎と判明したことがある。通常典型的な胃腸炎では腹部CTは行わないが、CTも行った。骨盤腔内に腹水があって気になったが、消化管穿孔はないと判断した。ノロウイルス迅速試験は陰性。血便ではないが、便培養提出。昨日は39℃の発熱で、今日は38℃。昨日のCRP11で今日は30だった。腹膜炎ではないかと腹部を診察したが、昨日の鼓腸は軽減して、触診上は柔らかい。表情は昨日のけわしさがとれている。臨床的には昨日より改善していると判断した。検査結果はすごく気持ち悪いが、このまま点滴で経過をみることにした。

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