なんだかネタも余裕もなく、ブログがどんどん飛んでしまってます…。(泣)
ちょっと昔書きためた文章を引っ張り出してきました。
もう6~7年前になるでしょうか。
当時ボクは障害者福祉の仕事に就いていて
その時に、朝日新聞の「論壇」に投稿したものです。
現在は「私の視点」に変わっていますが、
結構な著名人が投稿(政治家や大学の教授など)していて、
物は試しで投稿してみたらなんと採用されてしまいました。
原稿料として33,333円もらったのを憶えています。
今読み返すと、結構むちゃくちゃな文章構成で恥ずかしい限りですが、
興味のある方はちらっとでも読んでみてください。
「社会福祉基礎構造改革に伴う、障害者小規模作業所の社会福祉法人化について」
「個人が尊厳を持ってその人らしい生活を送れるよう支援する」という社会福祉の理念に基づき、昭和26年の社会福祉事業法制定以来、大きな改正の行われていなかった社会福祉事業、社会福祉法人、措置制度など社会福祉の共通基盤制度について見直しを図る社会福祉基礎構造改革が実施され、社会福祉事業法をはじめとする八本の法律が改正、一部を除き、今年度4月1日より施行された。改革の具体的な方向としては、1.個人の自立を基本とし、その選択を尊重した制度の確立、2.質の高い福祉サービスの拡充、3.地域での生活を総合的に支援するための地域福祉の充実、の三点が挙げられている。
今回改正の対象となった八本の法律の中で、社会福祉事業法はその名称も新たに「社会福祉法」と変更され(名称変更は来年4月)、この中で国の規制緩和の一環として、社会福祉法人設立の要件が大幅に緩和された。緩和要件としては、1.障害者の通所授産施設の規模要件を定員20名以上から10名以上に引き下げる、2.在宅サービス事業等を経営する社会福祉法人の資産要件を1億円から1000万円に引き下げる、3.通所施設の用に供する土地・建物について賃借を認める事などとなっており、来年度7月の事業開始に向けて検討が行われている。
これら社会福祉法人の要件緩和の背景として、現在全国で5000カ所以上といわれる無認可の障害者小規模作業所の存在を抜きには語れない。あまりにも貧しかった国の成人期障害者福祉施策により、地域の中で社会参加する機会の無かった重度重複障害者や精神障害者にとって、働く場所や生きがいの場としての小規模作業所の果たしてきた役割は非常に大きい。しかし、ほとんどの小規模作業所にいえる事であるが、自治体からのわずかな補助金(法内施設である通所授産施設などと比べて半分程度の補助金)と、バザーなどで支えられた財政基盤の脆弱さ、法人格が無いための土地取得、資金運用の困難さという問題を常に抱えてきた。今回の社会福祉法人設立要件の緩和により、多くの小規模作業所関係者に、これまで抱えてきた問題が解決の方向へと大きく前進したと、当初は歓迎されたが、実際は多くの問題を抱えている。
第一に、法人格を取得し一定の施設基準を充たすことにより、地方公共団体を通じて10人以上20人未満まで1カ所あたり年額一律1,100万円の補助が実施されることとなっているが、大雑把な計算でも13~4人を越えると、今までの補助金の額を下回る結果となる。大都市圏など、自治体によっては法人化することにより現在の補助金額を最初から下回る状況さえ考えられる。第二に小規模授産施設の設備に関する最低基準であるが、これはまだ正式には示されてはいない。しかし、小規模作業所のこれまでの大きなメリットとして、民家などを利用し、定員や障害種別を越えて地域に密着したサービスを展開してきた実績が挙げられる。厚生省としても、現行の通所授産施設に比して緩やかな基準とするよう検討中とのことであるが、内容によっては、これまで築き挙げてきた作業所の魅力を失いかねない結果となる。
少ない補助金、それに伴う作業所を支える職員の劣悪な労働条件など、継続的に安定して運営を行う事が基本的に困難な状況の中で、学校卒業後の障害のある人々を地域社会の中で受けとめ、支えてきた作業所にとって、今回の改正が光明をもたらしたとは言い難い。「措置制度の廃止」を見てもある意味では、国の社会福祉事業に対する公的責任の放棄であり、「多様な事業主体の参入促進」は、競争原理の名のもと、「国の財政削減」の政策そのものであるといえるが、このままではその波が小規模作業所を呑み込みかねない結果となる。来年度の実施に向けて、国、及び厚生省は小規模作業所の置かれている現状を真摯に受け止め、今後、作業所が提供していくサービスのさらなる向上に繋がるような検討を加える必要があると考える。