Snowtree わたしの頭蓋骨の下 *鑑賞記録*

舞台は生もの、賞賛も不満もその日の出来次第、観客側のその日の気分次第。感想というものは単なる個人の私感でしかありません。

サントリーホール『プッチーニ・ガラ』 D席LA前方

2005年07月31日 | 音楽
ソプラノ: ドイナ・ディニートリュ
テノール: ヴィンチェンツォ・ラ・スコーラ
バリトン: ガブリエーレ・ヴィヴィアーニ
指揮者:ニコラ・ルイゾッティ
オーケストラ:東京交響楽団


サントリーホール『プッチーニ・ガラ』を聴きに行きました。8月に上演されるヴィヴィアン・ヒューイット演出/ニコラ・ルイゾッティ指揮『蝶々夫人』の主役三人のお披露目といったところなのかな。プッチーニの有名楽曲中心に歌われるコンサート。

ソプラノのドイナ・ディニートリュの歌声が素晴らしかったです。『トスカ』の『歌に生き、恋に生き』が特に絶品でした。声に非常にハリがあり、そしてとても情感に溢れ、心に響いてきました。それと急遽差し替えて歌った、『蝶々夫人』の『ある晴れた日』の叙情溢れる優しげな歌声も良かったな。リリックソプラノ系の歌手なのかしら?

テノールのヴィンチェンツォ・ラ・スコーラは美声。いかにもイタリア歌劇の人の声質とでもいうのでしょうか。聞いていて心地いいし、パワフル。ただ、「ポスト三大テノール」の一人と言われているわりには声の延びが足りないかなと。スコーラ氏に関しては期待しすぎたかも。パヴァロッティさんと同じものを期待してはいけない。

バリトンのガブリエーレ・ヴィヴィアーニは背が高くってかっこいい方でした。<まずはそこかよっ(笑)。歌い方は端正で押し出しは強くないものの正統派を聞いた~という感じでした。

細かい部分では不満もあれど三人ともとてもよかったです。人の声の魅力というものを堪能させていただきました。この三人はまだこれからの若手らしいのですが、それでこんなに聴かせるんだからなあ…オペラの世界も奥深い。それにしてもやはり生で聴くと情感とか、歌声の振動とかが直接伝わってきて、CDを聴いた時の感動とはまた違うなあと、つくづく。

オペラは良い席で見たほうが絶対いいと聞いていたのですが、その訳もわかりました。歌声って前に響くんですよ。いや、たぶんそうだろうは思っていたけど今回、D席で歌手の斜め後方の席で聞いてほんとに実感しました。ダイレクトに声がこちらに伝わってこないんですよーー。もちろん声量があるのでかなり迫力のある歌声を聴かせてもらったんですけどね。それでも演技をしながらフト後ろのほうを向いて歌った時があったのですが、その時の声の聞こえ方の違いは相当なもんでした…。でもオペラで良い席って高くって手が出ない(;;)

オーケストラのほうは、とてもまとまっていて、前に東京交響楽団を聞いた時より断然良かった。それと、ソロを弾いたチェロとヴィオラの音色がきれいでした。指揮者のニコラ・ルイゾッティ氏のノリノリの指揮が見ていて楽しかったです。