オバマ政権が掲げる医療保険改革が重要な局面を迎えている。周知の通り、アメリカには日本のような国民皆保険制度がない。企業の団体保険に6割が加入しているが、民間保険会社の保険料が高く、低所得者や失業者は無保険で、昨年の金融危機以来失業者が増加し、いまでは無保険者が5000万人を超えるのではないかといわれている。こうした無保険者の解消を最優先課題とするオバマ政権だが、巨額の政府支出を伴うことから国民の支持を得ることに苦労している。
政府が介入することを嫌う保守層を中心に、9月、首都ワシントンで医療保険改革に反対する大規模なデモがあった。先頃、上院財政委員会を通過した法案は、「公的保険の創設は盛り込まず、非営利の協同組合方式を導入し、保険業界の競争力を高める」というような、反対派に配慮した不十分な改革案だった。その一方で、民主党が多数の下院では「公的保険の導入」を明記する法案提出で固まりつつある。
■下院法案、公的保険の導入明記=医療保険改革で-米議会民主党
10月30日1時36分配信 時事通信配信記事から
【ワシントン時事】米下院民主党は29日、オバマ大統領が内政の最重要課題に掲げる医療保険制度改革の実現に向け、下院本会議に提案する法案を発表した。最大の焦点である公的保険制度の導入を明記。政府が「妥当な価格」で加入できる保険を提供することで、全米で約4600万人の無保険者の解消を目指す。11月上旬にも本会議で審議入り、早期可決の上で上院との一本化を加速させる考えだ。
法案では、医療保険改革に掛かる費用を今後10年間で8940億ドル(約81兆円)程度と試算。その財源は夫婦で年収100万ドルを超える高所得層や医療器具企業を対象とした増税などで賄う。また、民間保険会社に対し、既往症などを理由とした加入拒否や不当な保険料引き上げを厳しく禁じた。
■公的保険が“復活” 米医療改革 リベラル派巻き返し
10月28日7時56分配信 産経新聞記事から
【ワシントン=渡辺浩生】米上院が本会議に提出する医療保険改革法案に、政府が運営する公的保険の新設方針が盛り込まれる見通しとなった。民主党のリード上院院内総務が26日、記者会見で明らかにした。財政委員会で先に可決された案では、政府の介入強化に反対する保守派に配慮して導入が見送られたが、導入を強く主張する民主党リベラル派の巻き返しで“復活”した形だ。
オバマ米政権が年内の法案成立を目指す医療保険改革は、約4600万人いる無保険者の大幅削減を目指すもので、公的保険新設の是非が最大の焦点。「保険市場の政府支配につながる」と共和党だけでなく、民主党の財政保守派も反対し、上院財政委員会が作成した法案は新設導入を見送った。13日の採決では、共和党でただ一人スノー上院議員が賛成を投じていた。
しかし、約2週間にわたる法案一本化作業で、民主党多数派のリベラル派が「大手が独占する市場の競争促進には、公的保険の新設が不可欠」と強硬に主張。公的保険導入にこだわらない態度を示してきたオバマ大統領への不満や、スノー議員の影響力拡大を警戒する声も広がっていた。
民主党指導部やホワイトハウスは今回、「超党派合意」を目指すあまり、リベラル派の反発を招くよりも、党内の結束を優先させるべきだと判断し、新設を盛り込むことにしたとみられる。下院も、ペロシ議長の主導で公的保険新設を柱に法案一本化を急いでいる。
リード院内総務によると、法案は各州に対し、新設の公的保険に参加しない権利を与えている。しかしスノー議員は26日、「失望した」と述べ、今後の採決で反対する考えを示唆した。
上院(定数100人)で独立系2議席を含む60議席を有する民主党が今後、財政保守派の支持も得て、議事妨害の阻止に必要な60議席以上の賛成を確保できるかどうかはなお不透明だ。
<コメント>
医療保険改革はオバマ政権にとって重要な試金石であり、政権の命運がかかっているといっても過言ではない。だからといって反対派に妥協して、中途半端な形で医療保険改革案を通してしまうと、オバマ大統領の求心力は失われかねないだろう。
しかし、反対派の抵抗も激しく、アメリカの世論を二分している問題である。民間保険会社や医薬品・医療器具メーカーなど既得権益を代表する反対勢力の巻き返しも予想される。
アメリカの国民医療費が対GDP比率で16.0%(07年)に上り、OECD諸国の中で突出している。<図録▽高齢化とともに高まる医療費(各国比較)>
米国より高齢化率が高い日本の対GDP比が8%台なのに比べると、いかに国民の所得が医療費に消えているかということを示している。このままでは、企業の保険料負担がますます増加して、医療保険の問題が企業経営の足かせになってしまうだろう。
■病院の赤字、1院当たり195万円 報酬改定でやや改善
2009年10月30日朝日新聞記事から
厚生労働省は30日、病院や診療所の経営状況を調べた医療経済実態調査をまとめた。09年の1病院当たりの収支は、前回調査時(07年)より改善したものの、195万円の赤字。診療所は128万円の黒字だった。月額給料は、開業医の平均約207万円に対して、介護収益2%未満の病院の勤務医は約107万円で、倍近い差となった。
中央社会保険医療協議会(中医協)で公表した。調査は、原則として2年ごとの診療報酬改定にあわせて実施される。長妻昭厚労相は来年4月改定で病院の報酬を手厚くしていく方針を示しており、この日は病院勤務者を増やした中医協の体制に変更して初めての会合だった。
調査結果によると、民間や国公立の病院全体の利益率はマイナス0.8%。08年度診療報酬改定の効果で前回より0.9ポイント改善したが、依然として厳しい経営状況にある。とりわけ収益に占める介護の割合が2%未満の病院では、1249万円の赤字になる。
一方、診療所の利益率は、12.5%の黒字。前回より4.9ポイント悪化したが、病院と比べると格差は歴然としている。
調査は今年6月時点で、全国の1619病院と2378診療所を対象に実施。有効回答率は病院が56.6%、診療所が44.0%だった。
■開業医の平均月収、勤務医の1・7倍の208万円 厚労省調査
10月30日19時31分配信 産経新聞記事から引用
厚生労働省は30日、今年6月時点の医療機関の経営状況などを調べた「医療経済実態調査」の結果を中央社会保険医療協議会(中医協)に報告した。給料に賞与分を加えた平均月収をみると、開業医は208万円で、病院勤務医123万円の1・7倍となり、開業医と勤務医の格差が改めて浮き彫りとなった。
長妻昭厚労相は同日の会合から中医協委員に病院関係者を増やすなど勤務医対策を重視する方針で、平成22年度の診療報酬改定では勤務医への配分を手厚くする方針だ。
1医療機関あたりの収支では、開業医の利益率が12・5%の黒字なのに対し、病院は1・2%の赤字だった。20年度の診療報酬改定で病院への報酬を増やしたため、2年前の前回調査と比べると開業医と病院の格差は5・9ポイント縮小したが、依然として病院は厳しい経営状況にある。
■中医協人事、医師会指定ポストを撤廃 厚労相方針
2009年10月26日朝日新聞記事から
長妻昭厚生労働相は26日、医療行為や薬代の公定価格である診療報酬を決める中央社会保険医療協議会(中医協)の委員のうち、日本医師会(日医)役員の指定ポストを撤廃する方針を明らかにした。任期切れの3人を再任せず、地域の医師会代表の2人に置きかえ、病院代表を1人増やす。長妻氏は「病院については、もう少し手厚い対応が必要だ」と説明。開業医の意向が強く反映されがちな日医の影響力をそぎ、勤務医の待遇改善を図る狙いがある。
中医協は厚労相の諮問機関で、健康保険組合などの「支払い側」7人、医師らによる「診療側」7人、有識者による「公益側」6人という3者で構成される。企業役員ら専門委員も含めて計30人で、長妻氏はこのうち任期満了による改選や補充となる16人を公表した。このほとんどは今月1日に任期が満了。後任の選考が遅れたことで、従来なら10月中旬に始まっていた診療報酬改定論議はずれ込んでいるが、長妻氏は「遅れはない、というタイミングで決定した」と強調した。
診療側のうち3人は、これまで日医の副会長や常任理事といった役員の指定ポストだった。今回は京都府医師会の安達秀樹副会長と茨城県医師会の鈴木邦彦理事を医師会枠として内定した。減らした1枠は病院代表に充て、山形大の嘉山孝正医学部長を任命。残る2人の病院代表枠は再任される。
民主党は、来年度の診療報酬改定で、病院の勤務医の就業環境の改善に重点を置く。医師不足の中でとりわけ勤務状況が厳しいとされるためだ。こうした政策の具体化に向け、自民党寄りだった日医の発言力を低下させる必要があると判断した。
■診療報酬改定、厚労相直属の検討会設置へ
長妻厚生労働相は30日、診療報酬改定の基本方針などを策定する直属の検討会を11月にも設置する方針を固めた。
厚労相の諮問機関「中央社会保険医療協議会」(中医協)を中心とした診療報酬決定の仕組みを改め、政治の関与を強めるのが狙いだ。
検討会は厚労相ら政務三役のほか、医療従事者、有識者らで構成する。2010年度改定に向け、改定率や報酬を重点配分する診療科などを決めることになる。
診療報酬は従来、厚労相の諮問機関「社会保障審議会」が改定の基本方針を秋までに打ち出し、政府が予算編成過程で改定率を決定した後、中医協が入院基本料などの個別単価を決めていた。
(2009年10月31日03時18分 読売新聞)
(引用終わり)
<コメント>
こちらは日本の医療制度をめぐる記事。地方の医師不足や医療崩壊といわれる現象の背景になにがあるのか。勤務医と開業医の所得格差にあらわれているのは、現行の診療報酬基準が開業医に手厚く、病院の勤務医に不利な実態が浮かび上がってくるようだ。(あるいは、それを意図的に明示した厚労省の情報操作かもしれないが)地方の公立病院の赤字経営が増え続け、医師不足から廃止に追い込まれた地方病院が続出しているという原因の一端に、病院経営にダイレクトに影響する診療報酬の問題があるということだ。(これは看護報酬や介護報酬などの問題も同様である)
疲弊する勤務医
医師の偏在 変貌する医療
看護師:過酷な実態
現場から悲鳴 足りない介護の担い手
マイケル・ムーア監督映画「シッコ(SICKO)」予告編
(設問1)オバマ政権の医療保険改革に反対する立場の主張はどのようなものか。
(設問2)日本の特に地方で医療が崩壊していると言われるのはなぜか。
(設問3)医療過疎や医師不足問題の原因と背景について述べなさい。
政府が介入することを嫌う保守層を中心に、9月、首都ワシントンで医療保険改革に反対する大規模なデモがあった。先頃、上院財政委員会を通過した法案は、「公的保険の創設は盛り込まず、非営利の協同組合方式を導入し、保険業界の競争力を高める」というような、反対派に配慮した不十分な改革案だった。その一方で、民主党が多数の下院では「公的保険の導入」を明記する法案提出で固まりつつある。
■下院法案、公的保険の導入明記=医療保険改革で-米議会民主党
10月30日1時36分配信 時事通信配信記事から
【ワシントン時事】米下院民主党は29日、オバマ大統領が内政の最重要課題に掲げる医療保険制度改革の実現に向け、下院本会議に提案する法案を発表した。最大の焦点である公的保険制度の導入を明記。政府が「妥当な価格」で加入できる保険を提供することで、全米で約4600万人の無保険者の解消を目指す。11月上旬にも本会議で審議入り、早期可決の上で上院との一本化を加速させる考えだ。
法案では、医療保険改革に掛かる費用を今後10年間で8940億ドル(約81兆円)程度と試算。その財源は夫婦で年収100万ドルを超える高所得層や医療器具企業を対象とした増税などで賄う。また、民間保険会社に対し、既往症などを理由とした加入拒否や不当な保険料引き上げを厳しく禁じた。
■公的保険が“復活” 米医療改革 リベラル派巻き返し
10月28日7時56分配信 産経新聞記事から
【ワシントン=渡辺浩生】米上院が本会議に提出する医療保険改革法案に、政府が運営する公的保険の新設方針が盛り込まれる見通しとなった。民主党のリード上院院内総務が26日、記者会見で明らかにした。財政委員会で先に可決された案では、政府の介入強化に反対する保守派に配慮して導入が見送られたが、導入を強く主張する民主党リベラル派の巻き返しで“復活”した形だ。
オバマ米政権が年内の法案成立を目指す医療保険改革は、約4600万人いる無保険者の大幅削減を目指すもので、公的保険新設の是非が最大の焦点。「保険市場の政府支配につながる」と共和党だけでなく、民主党の財政保守派も反対し、上院財政委員会が作成した法案は新設導入を見送った。13日の採決では、共和党でただ一人スノー上院議員が賛成を投じていた。
しかし、約2週間にわたる法案一本化作業で、民主党多数派のリベラル派が「大手が独占する市場の競争促進には、公的保険の新設が不可欠」と強硬に主張。公的保険導入にこだわらない態度を示してきたオバマ大統領への不満や、スノー議員の影響力拡大を警戒する声も広がっていた。
民主党指導部やホワイトハウスは今回、「超党派合意」を目指すあまり、リベラル派の反発を招くよりも、党内の結束を優先させるべきだと判断し、新設を盛り込むことにしたとみられる。下院も、ペロシ議長の主導で公的保険新設を柱に法案一本化を急いでいる。
リード院内総務によると、法案は各州に対し、新設の公的保険に参加しない権利を与えている。しかしスノー議員は26日、「失望した」と述べ、今後の採決で反対する考えを示唆した。
上院(定数100人)で独立系2議席を含む60議席を有する民主党が今後、財政保守派の支持も得て、議事妨害の阻止に必要な60議席以上の賛成を確保できるかどうかはなお不透明だ。
<コメント>
医療保険改革はオバマ政権にとって重要な試金石であり、政権の命運がかかっているといっても過言ではない。だからといって反対派に妥協して、中途半端な形で医療保険改革案を通してしまうと、オバマ大統領の求心力は失われかねないだろう。
しかし、反対派の抵抗も激しく、アメリカの世論を二分している問題である。民間保険会社や医薬品・医療器具メーカーなど既得権益を代表する反対勢力の巻き返しも予想される。
アメリカの国民医療費が対GDP比率で16.0%(07年)に上り、OECD諸国の中で突出している。<図録▽高齢化とともに高まる医療費(各国比較)>
米国より高齢化率が高い日本の対GDP比が8%台なのに比べると、いかに国民の所得が医療費に消えているかということを示している。このままでは、企業の保険料負担がますます増加して、医療保険の問題が企業経営の足かせになってしまうだろう。
■病院の赤字、1院当たり195万円 報酬改定でやや改善
2009年10月30日朝日新聞記事から
厚生労働省は30日、病院や診療所の経営状況を調べた医療経済実態調査をまとめた。09年の1病院当たりの収支は、前回調査時(07年)より改善したものの、195万円の赤字。診療所は128万円の黒字だった。月額給料は、開業医の平均約207万円に対して、介護収益2%未満の病院の勤務医は約107万円で、倍近い差となった。
中央社会保険医療協議会(中医協)で公表した。調査は、原則として2年ごとの診療報酬改定にあわせて実施される。長妻昭厚労相は来年4月改定で病院の報酬を手厚くしていく方針を示しており、この日は病院勤務者を増やした中医協の体制に変更して初めての会合だった。
調査結果によると、民間や国公立の病院全体の利益率はマイナス0.8%。08年度診療報酬改定の効果で前回より0.9ポイント改善したが、依然として厳しい経営状況にある。とりわけ収益に占める介護の割合が2%未満の病院では、1249万円の赤字になる。
一方、診療所の利益率は、12.5%の黒字。前回より4.9ポイント悪化したが、病院と比べると格差は歴然としている。
調査は今年6月時点で、全国の1619病院と2378診療所を対象に実施。有効回答率は病院が56.6%、診療所が44.0%だった。
■開業医の平均月収、勤務医の1・7倍の208万円 厚労省調査
10月30日19時31分配信 産経新聞記事から引用
厚生労働省は30日、今年6月時点の医療機関の経営状況などを調べた「医療経済実態調査」の結果を中央社会保険医療協議会(中医協)に報告した。給料に賞与分を加えた平均月収をみると、開業医は208万円で、病院勤務医123万円の1・7倍となり、開業医と勤務医の格差が改めて浮き彫りとなった。
長妻昭厚労相は同日の会合から中医協委員に病院関係者を増やすなど勤務医対策を重視する方針で、平成22年度の診療報酬改定では勤務医への配分を手厚くする方針だ。
1医療機関あたりの収支では、開業医の利益率が12・5%の黒字なのに対し、病院は1・2%の赤字だった。20年度の診療報酬改定で病院への報酬を増やしたため、2年前の前回調査と比べると開業医と病院の格差は5・9ポイント縮小したが、依然として病院は厳しい経営状況にある。
■中医協人事、医師会指定ポストを撤廃 厚労相方針
2009年10月26日朝日新聞記事から
長妻昭厚生労働相は26日、医療行為や薬代の公定価格である診療報酬を決める中央社会保険医療協議会(中医協)の委員のうち、日本医師会(日医)役員の指定ポストを撤廃する方針を明らかにした。任期切れの3人を再任せず、地域の医師会代表の2人に置きかえ、病院代表を1人増やす。長妻氏は「病院については、もう少し手厚い対応が必要だ」と説明。開業医の意向が強く反映されがちな日医の影響力をそぎ、勤務医の待遇改善を図る狙いがある。
中医協は厚労相の諮問機関で、健康保険組合などの「支払い側」7人、医師らによる「診療側」7人、有識者による「公益側」6人という3者で構成される。企業役員ら専門委員も含めて計30人で、長妻氏はこのうち任期満了による改選や補充となる16人を公表した。このほとんどは今月1日に任期が満了。後任の選考が遅れたことで、従来なら10月中旬に始まっていた診療報酬改定論議はずれ込んでいるが、長妻氏は「遅れはない、というタイミングで決定した」と強調した。
診療側のうち3人は、これまで日医の副会長や常任理事といった役員の指定ポストだった。今回は京都府医師会の安達秀樹副会長と茨城県医師会の鈴木邦彦理事を医師会枠として内定した。減らした1枠は病院代表に充て、山形大の嘉山孝正医学部長を任命。残る2人の病院代表枠は再任される。
民主党は、来年度の診療報酬改定で、病院の勤務医の就業環境の改善に重点を置く。医師不足の中でとりわけ勤務状況が厳しいとされるためだ。こうした政策の具体化に向け、自民党寄りだった日医の発言力を低下させる必要があると判断した。
■診療報酬改定、厚労相直属の検討会設置へ
長妻厚生労働相は30日、診療報酬改定の基本方針などを策定する直属の検討会を11月にも設置する方針を固めた。
厚労相の諮問機関「中央社会保険医療協議会」(中医協)を中心とした診療報酬決定の仕組みを改め、政治の関与を強めるのが狙いだ。
検討会は厚労相ら政務三役のほか、医療従事者、有識者らで構成する。2010年度改定に向け、改定率や報酬を重点配分する診療科などを決めることになる。
診療報酬は従来、厚労相の諮問機関「社会保障審議会」が改定の基本方針を秋までに打ち出し、政府が予算編成過程で改定率を決定した後、中医協が入院基本料などの個別単価を決めていた。
(2009年10月31日03時18分 読売新聞)
(引用終わり)
<コメント>
こちらは日本の医療制度をめぐる記事。地方の医師不足や医療崩壊といわれる現象の背景になにがあるのか。勤務医と開業医の所得格差にあらわれているのは、現行の診療報酬基準が開業医に手厚く、病院の勤務医に不利な実態が浮かび上がってくるようだ。(あるいは、それを意図的に明示した厚労省の情報操作かもしれないが)地方の公立病院の赤字経営が増え続け、医師不足から廃止に追い込まれた地方病院が続出しているという原因の一端に、病院経営にダイレクトに影響する診療報酬の問題があるということだ。(これは看護報酬や介護報酬などの問題も同様である)
疲弊する勤務医
医師の偏在 変貌する医療
看護師:過酷な実態
現場から悲鳴 足りない介護の担い手
マイケル・ムーア監督映画「シッコ(SICKO)」予告編
(設問1)オバマ政権の医療保険改革に反対する立場の主張はどのようなものか。
(設問2)日本の特に地方で医療が崩壊していると言われるのはなぜか。
(設問3)医療過疎や医師不足問題の原因と背景について述べなさい。