25.2.2. 相対する二つのことばを連続しないで使った例
(1) a big frog in a small pond
「big」と「small」の対比。「狭い範囲での権力者」の意。日本語の「お山の大将」がこれに近い。
(2) All work and no play makes Jack a dull boy.
「all」と「no」および「work」と「play」の対比。日本語の「よく学び、よく遊べ」がこれに対応。
(3) Attack is the best form of defense.
「attack」と「defense」の対比。「攻撃は最大の防御なり」と和訳されて、日本のことわざになっている。
(4) Bad money drive out good.
「bad」と「good」の対比。「悪貨は良貨を駆逐する」と和訳されている。グレシャムの法則と呼ばれるもので、「素材価値の異なる2種以上の通貨が同一の名目価値で流通する時は,素材価値の高い貨幣は,鋳つぶし,輸出,退蔵などによって流通面から姿を消していき,素材価値の低い貨幣が流通するようになること」をいう。
(5) Better be the head of a dog than the tail of a lion.
「head」と「tail」の対比。「上位集団の末端に連なるくらいなら会集団のリーダーになる方がよい」の意。日本語の「鶏口となるも牛後となるなかれ」がこれに近い意をもつ。
(6) The child is (the) father of the man.
「child」と「father」の対比。日本のことわざ「三つ子の魂百まで」がこれに近い意をもつ。
(7) Everybody’s business is nobody’s business.
「everybody」と「nobody」の対比。「みんながしなければならない本分は、結局はだれの本文でもない。共同責任は無責任である」の意のことわざ。
(8) to make a long story short
「long」と「short」の対比。「かいつまんで話せば」の意。
(9) More haste, less speed.
「more」と「less」の対比。「急ぐほどかえって事はうまくいかない」の意。日本のことわざ「急いては事をし損ずる」に相当。
(10) Much cry, little wool.
「much」と「little」の対比。直訳は「鳴き声ばかりで毛はわずか」で、「大山鳴動鼠一匹」と和訳されて、日本のことわざになっている。
(11) One man’s meat is another man’s poison.
「one」と「another」の対比。日本語の「蓼食う虫も好き好き」が近い意をもつ。
(12) penny-wise and pound-foolish
「wise」と「foolish」の対比。「わずかな額を倹約しようとして、そのために大金を失うのはばかげている」という意のことわざ。日本のことわざ「一文惜しみの百知らず」や「安物買いの銭失い」がこれに近い。
(13) square peg in a round hole
「square」と「round」の対比。「(仕事・環境などに)合わない人・もの」の意。
(例文) Nothing seems to go well in my new job. I guess I’m a square peg in a round hole.(新しい仕事は何もかもうまくいかない気がする。どうもぼくはこの仕事に向いていないみたいだ)
(14) take the rough with the smooth
「rough」と「smooth」の対比。「楽ばかりでなく苦も受け入れる、好きなことだけではなく嫌なことも受け入れる」の意。
(例文) Don’t cry, Jimmy. As you go through life, you have to learn to take the rough with the smooth.(泣くんじゃない、ジミー。人生を生きていくうちには、いいことばかりでなく嫌なことも受け入れなければならないことも知らなきゃね)
(15) That is then, this is now.
「that」と「this」および「then」と「now」のの対比。日本語の「昔は昔、今は今」がこれに近い意をもつ。
(16) throw [pour] good money after bad
「good」と「bad」の対比。「損の上乗せをする」の意。日本語のことわざ 「泥棒に追い銭」がこれに近い発想を持つ。
(17) Truth [Fact] is stranger than fiction.
「truth [fact]」と「fiction」の対比。「事実は小説より奇なり」と和訳されて、日本のことわざになっている。
(18) Two wrongs do not make a right.
「wrong」と「right」の対比。「悪に悪で対抗してはならない、人の悪事が自分の悪事の言い訳にはならない」の意。
(19) What is done cannot [is not to] be undone.
「done」と「undone」の対比。「一度したことは取り返しがつかない」の意。
(20) When one door closes, another opens.
「close」と「open」の対比。「機会はまた訪れるから失敗してもくじけることはない」の意。日本語のことわざ「捨てる神あれば拾う神あり」が比較的近い意をもつ。
(21) You cannot teach an old dog new tricks.
「old」と「new」の対比。「年をとると新しいことを学ぶのは難しくなる」の意のことわざ。
拙著「よく似た英語と日本語の慣用句集」(文芸館 : http://www.books.co.jp)ものぞいて見てください。