PAPP GÖRGY

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パップ・ギョーリキー

大人げない

2004-09-28 04:50:13 | 出来事
電車の、七人掛けの椅子。空いてる時は、大抵の人は隣の人に密着しないで間を空けて座る。夜、東京へ向かう京葉線、空いていたのでやはり右隣とは一人分、左となりとは三人分、空けて座っていた。舞浜で、ディズニー帰りの乗客が我先にと駆け込んできた。席はあっという間に埋まった。左隣に男が座った。右隣にも男が座った。と、その二人が俺を挟んで喋り始めた。新木場までの2駅を、気まずい思いをして過ごす羽目になった。

「詰めればよかったのに」

ご尤も。しかし、彼らはそんな余裕を与えてはくれなかった。通常こういった状況で見られる、詰めてくれたら嬉しいな、の雰囲気を全く醸し出すことなく、まるで衛兵の右向け右のごとく、サッと素早く動作を終わらせてしまったのである。しかし、間に人がいることなど意にも介さず喋り続ける彼らに挟まれ、気まずいと思ったのも束の間、気まずいなどと思うのは俺の性に合わない!と思い、というより勝手に自分の性格を作り上げ、これは面白い!と思ったその瞬間、笑いが面に表れてしまった。向かい側の席に座った人から見たらとても奇妙な光景に違いないな、間に人がいるのに気にせず喋るアジア人と、その間でニヤニヤしている日本人…そう、何が面白いって、何言ってんのかわからなくて。「何言ってんねん、こいつらは」と。それはともかく、向かい側に座った人のことまで考えたら可笑しさの悪循環にはまってしまい、新木場まで笑いが止まりませんでした。それは一昨日。

今日も京葉線の上り電車、舞浜駅。やはり空いていたので、右端の人とは一人分よりやや狭いくらい、左の人とは一人分、空けて座っていた。つまり大きく座っていた。右の人は立ち上がって降りていったが、俺は詰めようとせずそのまま座り続けた。例によってディズニー帰りが押し寄せた。俺の右側の1.8人分のスペースに、カップルが入り込んだ。女の方が俺の隣に座ろうとした。のを、男はぐいと引っ張って女を席の端に座らせ、自分が俺の隣に座った。俺の横に女を座らせられないのかと少し不愉快な気もしたが、よくあることとなだめて、混んでるのにでっかく席を占拠するのは申し訳ないと左へ動こうとしたそのとき、

 「狭ぇ~なぁ」

と聞こえよがしに男が言った。俺は動くのをやめた。そして何事も無かったかのような顔で本を読み続けた。実際は読めてなかったけど。本を構えてただけ。小心者ゆえ、何か仕掛けられないだろうかなんて考え続けた。そんな自分に気付いたらまた可笑しくなってしまったけど、ええい構うものか、と。降りる時に足を引っ掛けられでもしたら大変だ。などと思い、自分の右側の扉が近かったのにわざわざ左側の扉から出た。立ち上がり際にちらと足元に目をやったが、足を掛ける素振りなどこれっぽっちも見られなかった。なんだ、つまらん。

そんな大人気ないことをした後だったので、さっき芥川龍之介『山鴫』を読んで(『山鴫』ではトルストイが子供っぽい意地を張ってトゥルゲーネフを困らせる)、「自分の大人気なさを気にすることないな」と誤った感想を持ってしまったのでした。