SMILES@LA

シェルターからやってきたミックス犬のニコとデカピンのニヤ。どちらの名前もSMILEの犬姉妹の思い出を綴ります。

タウリンの吸収をジャマするもの2

2018-11-04 23:49:46 | 食餌・健康
また間が空いてしまいましたが、タウリンのお話パート2です。

前回の「タウリンの吸収をジャマするもの」では食物繊維の採り過ぎに注意と書きました。

今回の「ジャマするもの」は『メイラード反応物質』です。


「何それ?聞いたことないんですけど」

聞いたことは無くても、ニコニヤも食べたことはあるんだよ。

メイラード反応を簡単に言うと、食材を加熱した時にタンパク質(アミノ酸)と糖が結びついて起こる化学反応です。
平たく言うと、お肉を焼くと色が茶色くなり香ばしい良い香りがするとか、
小麦粉の生地を焼くとこんがりキツネ色になって良い匂いがするというのがメイラード反応。
反応の結果できた物質をメイラード反応物質と言います。

このメイラード反応物質、150℃以上の高温で調理した時に発生し
ドッグフードの製造過程でも発生します。ドライでも缶詰でも、です。


「メイラードなんとか、おいしそうだね」

そうなの、美味しいものらしいんだけどポイントはそこじゃないの。

メイラード反応物質は犬の腸内ではほとんど消化されません。
さらにこの物質があることで腸内で特定の細菌が増加しやすくなります。
その細菌はタウリンを分解する働きがあり、この細菌が腸内で増えることによって
タウリンの再吸収が阻害されてしまうというわけです。

メイラード反応が起きるような高温で長時間加熱されたタンパク質は犬にとっては消化しにくく
タウリン、およびその前駆体であるシステインとメチオニンの利用率を低下させます。

(メイラード反応物質は別の必須アミノ酸であるリシンを減少させるというリサーチ結果も発表されています。)


つまり、市販のドッグフードを食べている犬は余分にタウリンを摂取しない限りは
どうしてもタウリンが不足傾向になるというわけですね。


現在では、プレミアムフードと呼ばれるものの多くにはタウリンが添加されています。

手作りの食餌を与えている場合も、肉類を圧力鍋で長時間煮込むのは
メイラード反応物質を発生させる可能性があるので避けた方が良いと思います。
鶏の骨を柔らかくしたい場合は、骨つき肉は圧力なしで調理した後
肉と骨を分けて、骨だけを圧力有りで調理する方が安心ですね。

手羽先や手羽中なら、圧力無しで茹でてキッチンバサミで骨まで切れます。
刺さる心配のないサイズまで小さく切れば安心して骨を与えられます。

魚の水煮缶詰は調理温度が110℃程度なのでメイラード物質が発生していません。
魚はタウリンそのものを多く含むので、水煮缶を手作り食の材料に使ったり
ドッグフードのトッピングに使うのはタウリン補給の手軽な方法のひとつです。

その際大切なのは、缶の中の水分も全部与えること。
手作り食の場合は食塩を使っている缶詰でもOKですが
トッピングに使う場合は食塩不使用のものを選んでください。


「サプリで摂取する場合には獣医さんに相談してみてね」


タウリンをはじめとして、各種アミノ酸を無駄なく摂取するには
生食やフリーズドライフードは理想的と言えます。

またタンパク質源が動物性のものだけであっても、原材料一覧に書かれているのが
チキンやビーフといった肉ではなく「チキンミール」「ラムミール」などの
ミールだけの場合、原材料に普通の肉を使った場合に比べて加工段階が多い分
各種アミノ酸は犬にとって利用しにくいものになっていると言えます。

私は決してフードがダメと言いたいわけではなくて、このような弱点を知っていれば
補う方法も見つけやすくなると考えています。


今回参考にしたのはリンダ・ケース氏のThe Science Dogというサイトです。
https://thesciencedog.wordpress.com/2018/08/30/the-heart-of-the-matter/

「メイラード反応物質 ペットフード」で検索すると英語の場合は上に書いたような情報が
学術論文も含めてたくさんヒットするのですが
日本語で検索すると残念ながら「犬もメイラード反応の美味しそうな匂いが好き」という情報が上位に来ます。

そんなわけで、私が読んだもので分かる範囲ならお答えできるので
「?」と思ったことがあれば、コメント欄にて聞いてみてください。
ただし分かる範囲は狭く浅いことはお伝えしておきます


「先にイイワケしてる〜」

基本的にこういうの苦手なんだよね〜。
ニコニヤのために頭ウワーッとなりながら頑張ってるんだよ。




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「おかーさんてさ」「恩着せがましいよね」

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12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (A.K)
2018-11-06 10:14:42
こんにちは。
お久しぶりです。
「肉類を圧力鍋で長時間煮込む」ということについて気になったことがあるので質問させて下さい。
私は、鶏ガラを圧力鍋で1時間程調理して愛犬に与えることがあるのですが、今回の記事を読む限り控えた方が良いでしょうか?もしくは鶏ガラはほとんど骨なのであまり問題ないでしょうか?
ちょうど鶏ガラを調理しようと思っていたところです。よろしくお願い致します。
Unknown (tikitan)
2018-11-06 10:59:32
こんにちは。ご無沙汰しております。

以前、今は骨付き鶏を圧力鍋で煮なくなった、と仰られたのはこのような理由からだったのですね。
150度ということは、家庭で短時間でのコンロ調理であれば問題ないということでしょうか。。

お陰様で手作り食は順調です(^_^) 手作り食を始めるときっとほとんどの方が行き当たるであろう、生食か加熱食か。そして骨をどのように与えるか。。
昔のあがさんのブログにどなたかのワンちゃんが生肉よりもお母さんの作る肉団子の方が大喜びだという話を読みましたが、うちもどうやら加熱食の方が好みみたいです(^_^;)
骨はまだチャレンジしていないのですが、手羽先をさっとお湯にくぐらせてキッチンバサミで切って与えてみようかと。。。ドキドキ

毎日欠かさず拝読させていただいております。
検査の結果、なんでもありませんように!

それにしてどう見てもシニアには見えません。。いつも生き生きした表情ですもの💕
お二方、コメントありがとうございます。お返事遅くてすみません。 (あが)
2018-11-06 17:28:42
・A.Kさん
こんにちは!
鶏ガラは骨の補給のために圧力鍋で柔らかくされるんですよね。
肉類は他の方法で調理または生で与えていらっしゃるなら問題ないと思います。
これからの季節、鶏ガラでスープを作っておくと人も犬も重宝ですよね。

・tikitanさん
以前に圧力鍋を使わなくなったと書いたときには、ここまでは知らなかったんです。
でも犬の手作りごはんの本村伸子先生が圧力鍋調理は良くないと言っていらしたと聞き
深い理由は知らないままに避けておりました。
普通に「茹でる」「蒸す」などの調理法ならメイラード物質については問題はないと思います。
茹でたり蒸したりした場合には水分も全部使うことがポイントだそうです。
栄養の損失などを考えると生肉食は効率が良いと思うのですが
犬にも好みがありますし、体に合わないという場合もあるので
そこは愛犬のことを一番よく分かっている方の決定が何よりだと思います。
手羽先、カール君が気に入ってくれるといいですね。
ニコの腎臓はやっぱり万全というわけには行きませんでした。
これから腎臓リサーチの日々になりそうなので、またブログに記録していくことになります!
Unknown (A.K)
2018-11-06 18:29:30
お返事ありがとうございます。
そうです!カルシウム源にと鶏ガラを与えております。肉類は余分な脂を落とすために「焼く」という手段をとっているのですが大丈夫でしょうか??これから寒くなってきますが、生肉は問題ないでしょうか?
作った鶏ガラスープは全て犬用になってしまっているので、少しもらおうかなって思ってます。とっても良いにおいしますしね…
A.Kさん、コメントありがとうございます (あが)
2018-11-07 17:33:00
この記事のテーマであるメイラード反応物質については
お肉を焼くという調理法は最もメイラード反応を起こすものです。
お肉を焼いた時の香ばしい匂いはこの反応によるものなんですね。
毎日の調理法には茹でる、蒸すなどが良いかと思います。
生肉はご愛犬のお腹が大丈夫なら、栄養の損失がないという点で理想的です。
ただ、おっしゃる通り冷たいままで与えるのはあまり好ましくないので
温かく調理した野菜類と混ぜるとか、熱いスープやハーブティーをかけるなどして
全体が「ほんのり」または「ほかほか」温かいくらいにするのが理想です。
その際に生肉の表面だけが加熱したようになっても構いません。
鶏ガラスープを作る時、生姜の薄切りを少し入れると風味も良くなり
体も温まるので犬にも人にもオススメです。
Unknown (ハニフラ)
2018-11-08 14:14:41
こんにちは!
今日、やらなきゃならないことからの現実逃避で、ひさしぶりにいろんな人のブログを眺めてたら(最近忙しくて、自分のブログも全然開いてないんですよ〜)、メイラード反応のお話が。

犬の健康とメイラード反応物質の話は、2、3年前の本村セミナーでやってましたが、細かいことは忘れてしまったので、これを機会にプリントを引っぱり出して読み直そうと思います。

でも、忘れてないことがひとつ・・・
人間の老化にも良くないってこと!!(笑)
本村先生、「関西は粉モン文化があるから言いにくいんだけど」とジョークを言って笑わせてました^^
以来、「ああ、これでまた老化が加速する」と思いながら香ばしいオヤツを食べてます(食べるんかい!)。
Unknown (A.K)
2018-11-08 15:51:17
こんにちは。
お返事ありがとうございます。

記事にも「焼く」ことについては記載されていましたね。失礼致しました。

特にラム肉は焼いてあげていました。
他にも卵なんかも焼いてました。
ラム肉に関してはさっと湯通ししようと思います。さっと程度でもやはりゆで汁も一緒にあげた方が良いでしょうか?
また、魚も圧力鍋で調理して骨まで柔らかくしていますが、いかがでしょうか?
手羽先や手羽中はキッチンバサミで骨まで切るのに何分くらい茹でていますか?
質問ばかりになり申し訳ありません。
よろしくお願い致します。
お二方、コメントありがとうございます。お返事遅くてすみません。 (あが)
2018-11-08 17:25:24
・ハニフラさん
実は私がニコニヤの鶏肉を調理するのに圧力鍋を使うのを止めたのは
ハニフラさんがその本村先生のセミナーのお話をされていたのがきっかけでした。
その時はメイラード反応という言葉も知らず、良くない理由もよくわかっていなかったんですが
「ふ〜ん、良くないんなら止めとこうか」というボケッーとした感じで(笑)
でもあまり有難くないタイプの腸内細菌が増えるというのを読んで
「これはハニフラさんが書かれてたアレにつながるのでは!」とスッキリしたのでした。
どうもありがとうございました!
やっぱり人間にも良くないんですね。美味しいもんというのは大抵良くないですね。
でも香ばしいオヤツって心の健康のためには良いですからね〜。いいんです(笑)

・A.Kさん
ラム肉は脂肪分が多いし、焼きたくなりますよね。
卵はスクランブルエッグみたいにサッと焼く調理法ではメイラード反応を起こさないようですよ。
メイラード反応は茶色い焦げ目がついた状態で起こるので
卵料理はそこまで焼かないことが多いですもんね。
ラム肉は脂を落とすということも兼ねて加熱していらっしゃるので
茹で汁はあげなくてもいいかと思います。
もし茹で汁を利用するなら一旦冷蔵庫で冷やして固まった脂を取り除くと良いですね。
魚もイワシやサンマなど骨の柔らかいものなら圧力なしの方が良いと思います。
手羽先などは、表面だけサッと茹でて中は完全に生の状態でも
反対に中まで火が通るよう10分くらい茹でても、どちらもキッチンバサミで骨まで切れます。
なので、お肉の状態の好みに合わせて茹で時間を決めて大丈夫です。
Unknown (A.K)
2018-11-09 13:22:53
こんにちは。
ご丁寧な返信ありがとうございます。

できるだけ脂肪が少ない部位を購入し、脂肪もキッチンバサミで取り除いているのですがやはり気になって焼いてました。これからは茹でるようにします。
卵は大丈夫とのことで安心しました。

イワシも圧力鍋を使用していました…
圧力鍋の出番が今後減りそうですが、手作り食の質が少しでも上がると思うと嬉しいです。
いつもためになる情報をありがとうございます。
A.Kさん、お返事遅くなりました (あが)
2018-11-11 08:49:28
骨のあるものはついつい「刺さったらどうしよう」と柔らかくすることを優先したくなりますよね。
キッチンバサミで小さめに切ると、その点は心配がなくなりますね。
圧力鍋はこれからの季節、人間用のごはんに重宝ですよね。
私は圧力鍋で炊いたご飯ももっちりして好きなんです〜。

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