ぐうたら日記

あれこれネタバレ感想文・大野智くん・晴耕雨読な日常についても

鏡は横にひび割れて

2015-09-25 17:45:12 | クリスティー 小説
恐ろしい....。

この作品を読んでの正直な感想です。


例によってネタバレしますので、知りたくない方は出口の方へ お急ぎください。


大丈夫ですか?


さくっとあらすじいきます。

「カリブ海の秘密」の前の作品なので、ミス・マープルはかなり年齢がいっているのでしょうか。

自分の気の合わない(理解し合えない)タイプの人にお世話してもらうのは忍耐力がいりますよね。
ミス・ナイトのコトです。ええ。

ミス・マープルを「なんにもできないお年寄り」扱いしちゃって~
ミス・ナイトが出てくる度に 腹を立てながら読んでました(心狭き女)

でも ミス・マープルの てくてく 新住宅地探検は、読んでいて楽しく 面白かったです(^^)

そこで出会ったヘザー・バドコックという女性。
明るく世話好きで とても親切、だけどちょっと無神経(^^;)
ワタシの身近にもいます。
(もしかして、それは自分かもしれない
決して悪い人ではないし 悪気も全くない。
でも気に障る存在(^^;)

ヘザー・バドコックと話している時に、ミス・マープルがヘザーのコトをアリスン・ワイルドに似てると言ったでしょう。
そして、その後「あの人(アリスン・ワイルド)は、もう亡くなりました」って。

これは、もしかしてもしかすると....
と思って読み進んだら、やはり殺されてしまいましたね、ヘザー・バドコック。


ゴシントン館(ホールより館という方がしっくり来る)でジョン野戦病院協会のパーティーがり、その真っ最中にヘザー・バドコックが急死してしまいます。
カルモーという薬での毒殺。

そんで、パーティーの出席者達に、コーニッシュ警部やスコットランド・ヤードのクラドック警部が話しを訊きに行くワケなんですけども....これがちと(いや、かなり)長い

そうこうしてるうちにエラとジュゼッペも殺されちゃったじゃん
警察って、警察って....以下略。

でも最後は、ミス・マープルがゴシントン館に乗り込んで解決します。

おお! 恐ろしい程ざっくりとしたあらすじ。


テニスン、知らないのですが....この人の詩(?)からタイトルの「鏡は横にひび割れて」が来てるんですよね。


ワタシ、珍しく、犯人も殺した理由も途中で分かってしまいました

パーティーの前にゴシントン館に招待されたドリー・バントリーが、子どもや孫の話しを嬉しそうに(そして多分 多少は自慢げに)した時、夫のジェースン・ラッドが巧みに話題を変えたのです。
これで「ああ、マリーナ・グレッグに子どもの話しをしてはいけないのだな」と気づいたのです。

ほんで、パーティーの時、ヘザー・バドコックがマリーナ・グレッグと話していた内容が鍵なんだろうと なんとなく思ったんです。

その話は ミス・マープルも直接ヘザー・バドコックから聞いていたワケですものね。

昔マリーナ・グレッグがバミューダで出席した催し物。
そこにヘザーが来ていた。
熱が出ていたのに。
医者は「行ってはいけない」と彼女に忠告していたにもかかわらず。
ヘザーはマリーナに会いに行き、3分も話しをしてサインを貰っている。

その話しをマリーナにした直後にヘザーは殺されたワケです。

そして、ヘザーの話の最中にマリーナはショックを受けた様子だったと周りの人は見ている。

これがドリーの表現を借りれば、テニスンの詩、
「鏡は横にひび割れぬ 「ああ、我が命運もつきたり」と、シャロット姫は叫べり」
という表情をしていたと。

この詩だけじゃあ「なんのことやらさっぱり」なワタシ

正しくは、
「鏡は横にひび割れぬ 「ああ、呪いは我が身に」と、シャロット姫は叫べり」
だったそうです(ミス・マープルが作品中で訂正しています)

でも、何でショックを受けてるのか...それは分からなかった。
夫以外は。

ワタシ、マリーナは、あの催し物の時に妊娠していたんじゃないかと思ったんです。
そしたらビンゴでした。

マリーナは妊娠初期にヘザーに風疹をうつされた。そして、子どもが....。


ワタシ、子どもに恵まれず不妊治療に通っていたコトがあります。
結局 子どもは授からず...ガンが転移して卵巣を取ってしまったワケですが

あの頃は、周りの人の(無神経な)親切やお節介がイヤでイヤで、半ノイローゼでしたねぇ(笑)
子どもがいる人は、(そんなつもりはなくても)時に非常に残酷ですから。


だから、マリーナの気持ちが分かるような気がしました。

「これは 子どもに関係していることだな」と思いました。

マリーナ・グレッグはヘザー・バドコックへの殺意を止めることができなかったんでしょうね。

お前さえいなければ幸せになれたのに」と思って内心怒りが渦巻いていたんだと思います。
本当に幸せになれたかどうかは別としてね。

ヘザーは自分がどれだけ残酷なコトを言ったかなんて考えもしなかったんでしょう。
ある意味幸せな人だな~と(^^;)

う~む、完全にマリーナに同調してしまいましたが、殺人はいけません。
はい。
(それにマリーナだって 養子を放り出したり、結構 自己中


この物語を読んで、自分の心の中に潜む闇をちょっとだけ覗いてしまった気がします

恐るべしアガサ・クリスティー。


そして、ワタシも、どこかで(自分の知らないうちに)無神経に人を傷つけているのかもしれないな~と思いました。

気をつけなくちゃ。


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