興味津々心理学

アメリカ発の臨床心理学者黒川隆徳によるあなたの日常の心理学。三度の飯よりサイコセラピーが好き。

バルタン星人のバリスタ

2021-11-12 | 戯言(たわごと、ざれごと)
息子はとにかく親がやっている事をなんでもやりたがるので、我々夫婦の方針として、基本的に、できるだけなんでも、危険を取り除きながらやらせる事にしている。

この辺りは妻の方が熱心で、彼女の子供の能力を信じる力はすごいと思う。

例えば彼は2歳の頃から包丁を使える。

子供ができるまで知らなかったけれど、ちゃんと子供用の包丁というものがこの世にはあって、それは普通に切れるけれど、切先が丸い安全設計になっているのだ。彼の包丁は、ピンク色だ。

もちろん彼に包丁を使わせる時は、親は彼のすぐ近くに立ち、一瞬足りとも目を離さずに、いつでも手を出せるように待機し、注意深く危険を取り除きながら使わせている。

こういう感じで彼は朝のコーヒーも淹れられるようになりつつある。

彼はとてもやんちゃで意思が強いので、これまでなかなかうまくいかない事が多かった。

例えば、コーヒー豆の粉はスプーンすり切り3杯だよと伝えても、「このくらいがいい」と頑として2杯しか入れなかったり、ケトルのお湯をゆっくりと注ぐように言ってもドバッと一気に注いでしまって、「一気に入れないよ。ゆっくりだよ」と伝えると、いたずらっぽく、「いっきにいれるのがいい」と言い、それで薄い薄いコーヒーができたり。

それで彼の隙をついて大人がコーヒーを淹れてしまうと、「〇〇がやりたかった〜!」と号泣したり。

こんな感じで今朝はどうかなと思いつつ、彼と一緒にコーヒーの準備を始めた。

まず彼が、キッチンの棚の引き出しを開けて、その小さな手にはとても大きなミトンを2つ取り出す。

次に紙フィルターを別の引き出しから取り出し、踏み台をキッチン台にくっつけて上り、ドリッパーに器用に紙フィルターを敷いて、サーバーにセットして、コーヒー豆の粉を入れる。

「3杯だよ」と、まあダメだろうと思いながら伝えたら、今日はちゃんと3杯入れてくれて驚いた。

次に彼は先程引き出しから取り出した2つのミトンを両手に装着する。

両手に大きなミトンを装着した彼はウルトラマンのバルタン星人みたいなのだ。

その小さなバルタン星人は、おもむろに、熱湯の入ったケトルを両手で持つ。右手はグリップを、左手は細長いノズルに添えて、いざドリップを始める。

「ゆっくりお湯を入れて、一回止めて、蒸らすの」、と、これも今日までの経歴から、ダメ元でいつものように伝えると、今日はなぜかそのようにしてくれた。

そうそう!いいねいいね!と言いながら、これはもしかすると、と思い、「次はね、ゆっくり、『の』の字みたいにくるくる回しながら、溢れないように、ゆっくりお湯を入れていくの」と、手を回す真似をしながら伝えると、彼は「くるくる」と言いながら、楽しそうに、でもすごく集中して、ケトルの注ぎ口から細いお湯を出してゆっくり入れ続けた。

私は嬉しくなって、彼を褒めた。彼は得意げだった。後ほど気づいたけれど、彼は腕の筋力が上がって、お湯を注ぐ量の微調整が上手くなったようだ。これまでドバッと一気に入れていたのにも訳があったのかもしれない。

こういうわけで今朝の彼のコーヒーは、豆の量も淹れ方も完璧で、飲んだら本当に美味しくて、夫婦でありがとうと礼を言って褒めたら彼はまた嬉しそうにしていた。

コーヒーを飲んだ事のない3歳児がとても美味しいコーヒーを淹れられるという事実がなんだか新鮮な朝だった。

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