Chang! Blog

福岡のハングル検定準2級建築士、そして一児の父の[ちゃん]のブログです

秋晴れ!東北の山・海を巡る【5】早朝の大島散歩、そして福岡へ

2013年10月07日 | ■旅と鉄道
 最終日の10月1日は、気仙沼大島から気仙沼線BRTに乗り、仙台空港からスカイマークの福岡便で、一気に福岡へと帰ります。


 震災の年の夏、大島へボランティアに来た友人から「ぜひ朝日を見て下さい!」 とおすすめされていたので、朝5時20分に目覚ましをかけて起床。しかし夜中の雨こそ上がっていたものの、残念ながら空は厚い雲に覆われていました。
 小田の浜海水浴場は多くの方々の尽力で、宮城県で唯一、海開きにこぎ着けた海水浴場です。晴れていれば、さぞかしの眺めだったことと思います。来年の夏は泳ぎに来たいなぁ。


 南へ下った、小さな漁港から眺めた海。くずれた岸壁は残っていますが、海は澄んできれいでした。早起きの地元の方と、挨拶を交わします。


 島の南端、龍舞崎へ。崖の下に、石の浜が広がります。


 荒々しくも、グリーンに輝く海。


 西側には気仙沼の街。街への近さは、福岡の能古島を想起させます。


 宿への帰路は、1日8本の島内バスを捕まえました。


 朝ごはんをもりもり食べて、最後の1日が始まります。
 ちなみに民宿・魚波さんは1泊2食で6,500円。さすがは漁師町、ご飯の内容を考えればお値打ちです。


 本土への船が出る、浦の浜に送ってもらいました。
 震災直後は米軍の協力で片づけられた港も、少しずつ復旧工事が進められています。


 古い貴重なゴンドラが活躍していたという亀山リフトは撤去され、木々の隙間にその名残を留めるのみ。残念ながら、復活の計画はないようです。


 「高台」と認識できる場所にも残る、津波の痕跡。高台だったがために逃げ遅れた方も少なくなかったと、宿のおやじさんが話してくれました。
 津波の際にはこの位置と、南側のもう一ヶ所で島の東西の海がつながり、島は3つに分断されたとのことです。


 田中浜。もともと海水浴場ではありませんが、きれいな浜です。浜の近くには体験学習施設が再建され、子ども団体での研修も可能なようです。
 朝早くから、岸壁の復旧工事の槌音が響きます。


 出航時間。砂利を踏んで、船に乗ります。


 復興事業のクレーンを見ながら、島を離れます。
 5年後には悲願の大島架橋が実現予定。島ののどかさはだいぶ失われそうですが、復興へのはずみになることは間違いありません。被災地から復興地へ、大島も歩んでいます。


 気仙沼港内で、大島行きと行き違い。港の施設には、未だ爪痕が残ります。


 しかし気仙沼漁港は、漁船で活況を呈していました。


 気仙沼港着。駅までは距離があり、重い荷物を背に街を歩きます。
 屋台村でお土産を買い出し。朝なので静かなものですが、夜は賑わっていそうです。


 地盤沈下した市街地のモニュメント「グラウンドゼロ」。今年の初めにも訪れましたが、周囲の建物は解体が進み、空き地が多くなりました。
 無事だったビルは、周囲がかさ上げされる中で低いまま残っています。


 空き店舗になっていた大型商業ビルも、まさに解体されているところでした。


 歩いて約20分、気仙沼駅へ到着。3方向に伸びる路線のうち、2方向はBRT(バス高速輸送システム)での運行です。


 そのBRTの一つである、気仙沼線10:25発本吉行きに乗車。気仙沼線BRTは昨年末、正式にスタートを切ったばかりの時期に乗車しましたが、当時の専用道の距離は4キロ余り。専用道への出入りに、むしろ時間を要しているような状態でした。
 その後2段階の専用道延伸を経て、現在の専用道は21.7kmまでに拡大。所要時間も10分程度短縮されています。柳津まで、BRTの今を観察してみます。


 気仙沼駅を出てほどなく、次の不動の沢駅まで専用道が続きます。目視で対向車を確認しながら走る区間です。ちょうど一般道との交差点で対向車が来たため、退避+信号で2分半要してしまいました。
 並行する一般道は空いていて、この時間に関する限りは一般道を走る方が早そう。時間帯によって、一般道が混雑する方向のみ専用道経由とするのも一案ですが、不動の沢駅は専用道上にあるためフレキシブルな運用は難しそうです。


 不動の沢~松岩間は一般道経由で、渋滞していました。前回乗った時もここで遅れが出ており、専用道がほしい区間の一つです。
 ただこの区間では、気仙沼線の線路跡は大きな被害を受けている上、駅周辺も壊滅してしまったため、病院や店に近い現在のルートが利用者にとってもベター。内陸側に専用道を設けるのがベストですが、そう簡単なことではなさそうです。


 松岩駅を出ると、2番目の専用道区間へ。昨年8月の暫定運行時から専用道区間だった最知~陸前階上間を、南北に延伸した形です。
 工事現場への入口のような道を走り、専用道にアクセスします。


 専用道入口から、反対側(北側)の線路跡を望みます。すでに防波堤の工事用地に飲みこまれており、この位置での気仙沼線復旧や専用道の敷設は、あり得ないことでしょう。
 津波は線路を越え深く内陸まで入り込んだようで、南側の専用道両側は荒れ地状態です。防波堤も崩れており、大波の際は専用道も安全ではなさそう。迂回の措置が取られるのでしょうか。


 陸前階上で途中下車しました。BRT区間でも鉄道と同様、100km以上の乗車券であれば自由に途中下車できます。
 運行は地元バス会社に委託されているBRTですが、どの乗務員さんも途中下車制度をよく理解されていました。


 鉄道駅を改装した階上駅。自転車置き場にはたくさんの自転車が停まり、タクシーも常駐。バス停ながら、「駅」の存在感は充分示しています。


 内部も新交通システムの駅のように、こざっぱりした内装に改修されています。
 貼られた「大人の休日倶楽部」のポスターは、気仙沼線BRTがモチーフです。


 案内システムは、バスが接近するとホームへ出る様にうながします。ただ「接近」のお知らせから実際にバスが到着するまで、ゆうに5分程度は余裕がありました。
 画面には赤バックで接近案内が表示され、チャイム音も鳴りますが、民放の緊急地震速報のようで心地いいものではありません。


 次発、11:20のバスでさらに南下。専用道が途切れた先の橋は崩壊しており、専用道がここまでである理由を暗に示しています。
 道路はやはりダンプでいっぱい。BRTバスの側面は埃でうっすら汚れていますが、清掃の不徹底を責めるわけにはいきません。


 本吉手前で、3番目の専用道へ。山間の区間で、信号による閉塞制御が行われており、スピードが出ます。


 本吉駅着。昨年末は、国道から駅の出入りに時間を要していたように記憶しており、専用道の時間短縮効果は高い区間です。


 3分の小休止。所要時間が2時間に迫るバスなので、トイレはここでお忘れなく。
 駅は階上と同様、こぎれいな外観に。背後には跨線橋が残ります。


 本吉発車時点で、乗客は僕一人に。この日乗った柳津方面のバスの乗客は、最大でも5人に留まりました。津波被害の影響による沿線人口の減少もあり、乗客数は鉄道時代の4割に留まっているとのことですが、その厳しさが伝わってきます。
 もっとも午前中の時間帯は気仙沼に流動が向いているようで、すれ違うバスは10人以上の乗客の姿が見られました。


 一般道区間で現れる途切れた鉄橋の数々に、鉄路の復旧も、これ以上の専用道延伸も難しいことを痛感させられます。


 蔵内手前で、4番目の専用道に入ります。歌津まではいくつかのトンネルで結ぶ区間です。
 気仙沼線は70年代に開業した路線なので、ローカル線としては高規格に作られています。トンネルも山を貫く長いもので、峠を越える一般道に比べ早く、乗り心地も良好です。


 トンネル内はもやがかかっています。排ガスの換気がうまくいっていないのかと思いましたが、どうやら水蒸気のようです。


 歌津で一旦一般道に入った後、清水浜から5番目の専用道が始まりますが、昼間時間帯は南三陸町の仮役場があるベイサイドアリーナを経由するため、一般道経由です。

 10ヶ月前の南三陸町旧市街地には、鉄鋼だけになった建物が点在していましたが、今は所有者の「意思」で残る高野会館と、最近解体の判断が下った防災庁舎が残るくらいになっています。
 平日のこの日も、防災庁舎に手を合わせる人々の姿がありました。


 志津川の陸橋から、清水浜方面の専用道を俯瞰します。
 1日11本のバスのためにはもったいない施設にも見えますが、専用道の途中に出入り口を設ける工事も行われていたので、ベイサイド経由便も一部はこの専用道を経由するようになるかもしれません。


 志津川市街地を抜け、6番目の専用道へ。


 大船渡線の専用道にも似た、リアス式海岸を望む眺めのいい区間です。


 陸前戸倉で一般道に降り、県道経由で柳津へ。内陸なので路盤の被害は少ないのですが、一般道は空いていて定時性を確保できるという判断なのか、専用道化には至っていません。
 それとも南三陸町が要望している、陸前戸倉までの復旧に前向きという姿勢でしょうか?


 柳津駅では列車との乗り換えに35分もあり、列車とバスの一貫輸送というには間が空きすぎています。ただあまりギリギリの接続時間では心もとなく、痛し痒しです。
 乗り換えには跨線橋を渡らねばならず、お年寄りには辛い乗り換え。BRTも長期化覚悟であれば、段差なしで乗り換えできるようすべきでしょう。それとも戸倉駅を乗り継ぎ拠点として整備することを前提に、あえてそのまま…?


 小牛田で東北本線に、仙台で仙台空港アクセス線に乗り継ぎ、仙台空港へ。旅も終わりが近づいてきました。


 仙台から福岡へは、スカイマークの直行便を利用します。安全軽視の不祥事が続いていたスカイマークは避けてきていましたが、最近は悪い話も聞かなくなってきたので、今回ひさびさに搭乗することにしました。
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 名残惜しく、これから乗る飛行機を眺めながら、ゲート内のスナックコーナーで「牛タンカレー」を食べました。
 きれいに整備されたターミナルビルやボーディングブリッジ、滑走路を見ていると、あの日の津波到達が嘘のようです。


 白い革張りシートが快適な機内。飲み物サービスはないものの、ソフトドリンクは100円と地上より安く、機内で買えばよかったと後悔。
 福岡には定時より早く着いて、余裕を持って久留米行きのバスに乗り継ぐことができました。

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