しばらく寄り道

「本」と「F1」と「映画」と「英語」の話

映画の話 その7 《ミッドナイト・イーグル》

2008-02-09 23:25:36 | 映画
My Verdict:★★☆☆☆

手間とお金をかけて作られていることは画面から伝わってくるし、映像の迫力もある。しかし、それにもかかわらず、期待外れの感は否めない。展開がストレート過ぎる。愛する者を守るためとはいえ、命を懸けたテロリストとの戦いに臨むには、
人はもっと苦悩するはず・・・テロリスト側の描写が極端に少なく、その姿は漠然としていて、つかみどころがないことにも不満が残った。
「雪山+テロリスト」という設定は、10年近く前に観た《ホワイトアウト》を思い出させた。非常におぼろげな記憶ながらも、
ストーリーの面白さはこちらが上ではないだろうか
「自衛隊+テロリスト」の組み合わせからは、《亡国のイージス》との共通点を感じた。《亡国のイージス》は、画面から伝わってくる緊迫感や、肉厚の人物描写は素晴らしかった。この作品なら、★★★★☆を付ける。

映画の話 その6 《ヘアスプレー》

2007-11-05 21:18:40 | 映画

My Verdict:★★★☆☆

ヒロインであるトレーシー役のニッキー・ブロンスキーがとにかくキュート はっきりいっておデブちゃん。きれい、とか美しいといた容姿とは程遠いのだけど、素直で無邪気な笑顔は魅力満点。
ジョン・トラポルタが母親役なのには驚いた。声は低いものの、女性役で違和感がなかったところがすごい。
人種差別問題が根強く残る時代の話。白人と黒人が同じTV番組に出演することさえなかったなんて、にわかには信じがたいけれど、理不尽な現実と闘った人たちがいて、今日があるのだ。トレーシーのように色眼鏡をかけない心を持っていたいと思う。
まさに元気をもらえる作品。明るく、楽しい映画を見たいときには、ぜひおすすめ


映画の話 その5 《眉山》

2007-09-02 16:47:41 | 映画
My Verdict:★★★★☆

予告編の映像の美しさに魅せられて映画館へ足を運んだ。実際のお祭りを撮影したという阿波踊りシーンは、まさに圧巻。映画ならではの映像美に心が奪われた。徳島の古典芸能である人形浄瑠璃も良い。「美しい日本」と首相が声高に叫ばなくても、この国は十分に美しいのだと再認識させてくれる作品。徳島へ行ってみたくなること必至。

役者陣では、主人公の母を演じる宮本信子が特にすばらしかったと思う。ベテランの味で、非常に魅力的なキャラクターを作り出していた。巧いな、と素直にそう感じた。

ストーリーに、ドラマチックな展開はない。でも、最後まで決して退屈させられることはない“大人の映画”だった。


映画の話 その4 《ドリームガールズ》

2007-05-09 22:45:14 | 映画
My Verdict:★★★☆☆

ラジオ番組の新作映画の紹介コーナーで、DJがジェニファー・ハドソンの歌唱力を頻りに褒めていたことが記憶に残っている。自分が実際に映画を観てそのDJの言葉に納得した。ビヨンセの美しさは圧巻。でも、ジェニファーはそれ以上の存在感を示している。

まったくもって社会派の映画ではないのだが、作品の中で描かれていた、黒人シンガーの成功を阻む社会状況は、かつてのアメリカの事実であろう。エンターテイメントの歴史のネガティブな一面を垣間見たように感じた。

私はミュージカルが大好きなので、文句なく楽しめた。生の舞台にはかなわないまでも、その迫力は十分に及第点と言えると思う。音楽も良い。

映画の話 その3 《世界最速のインディアン》

2007-05-06 21:58:13 | 映画
My Verdict:★★★☆☆

ストーリーの内容よりも、アンソニー・ホプキンスはこういう役もやるんだなあ、というのがまず第一の感想。ニュージーランドの片田舎で、バイクの改造にだけ情熱を傾けて暮らす老人というのは、当たり役とは言えないけれど、悪くはなかった。
話の展開は、先が読めてしまう感は否めないが、バート(主人公)が純粋にスピードを追求する姿には、声援を送らずにはいられない。実話に基づくとは知らなかった。

「夢を追うのに年齢は関係ない」―というよりもむしろ、必ずしも分別のある大人でなくても良いのではないか・・・、この映画からのメッセージを私はそう解釈している。

映画の話 その2 《フラガール》

2006-11-06 22:27:15 | 映画
My Verdict:★★★(MAXは5つ★)
実は、元々私の「観たいリスト」の中には載せていなかった作品。よって、前情報にもほとんど触れていなかったし、あまり期待もしていなかった。それにも関わらず映画館に足を運んだ理由と言えば、ほぼ同時刻に上演開始の“トランスアメリカ”と天秤にかけた結果、単に軽いものに惹かれたからである。結局、その後“トランスアメリカ”は観るチャンスがないまま上演期間が終了してしまって、これは非常に残念だったのだが、殊の外“フラガール”が面白かったので良しとしよう。物語の展開はそれほど目新しいことなく凡庸。でも、それでいて決して観る者を飽きさせないのは、一級品の証。全編を通してとても丁寧に作られていることが、ひしひしと感じられた。配役も良い。松雪泰子の役柄には、特に魅力を感じた。ストーリーは実話に基づくと言う。昭和40年の出来事なので、すでに40年以上が経過しているが、モデルになった女性は、今もその町に留まり、フラを教え続けているらしい。本物はどんな女性なのだろう。ぜひお会いしてみたい。

映画の話 その1 《UNITED 93》

2006-09-06 23:03:37 | 映画
My Verdict:★★★(MAXは5つ★)

4つ★未満3つ★以上くらいであろうか・・・採点不能。
そもそも良し悪し、好き嫌いの判断の対象にすべきテーマを取り扱った作品ではない。悲しみ、怒り、無力感・・・胸に押し寄せる思いを表すための言葉を探す過程は、圧倒的悲劇の前にして、無意味に過ぎない。
時間軸に沿って展開する悲劇へのカウントダウンは、冒頭から観客に否応なしに緊張感を与える。乗客乗員すべてが亡くなられた以上、機内の真実を知る手立てはない。それでも、私が感じる限り、映画化のための脚色はあくまでも最低限に抑えられているのではないだろうか。あの機内の中で起きたことは、決して「乗客=正義」「テロリスト=悪」といった単純な図式ではないはず。事件性よりも、ありのままを描き出すことに重点を置いた制作者の姿勢を、私は尊敬する。ハイジャックを実行するテロリストたちでさえも、その姿は痛々しく見えた。同情の余地はないのかもしれない。しかし、彼らも純粋であるがゆえに利用された捨て駒であったのだと思うと、憐憫の情を禁じ得ない。
エンドロールでは、犠牲となった乗員乗客全員の名前が出てくる。劇中、何度かちらりと映る若い東洋人の男性。そうだ、この便には確か日本人の大学生が乗り合わせていたはず・・・私より若い命が失われたのだ。やるせない。彼らの死の理由を、一体どこに求めたら良いのだろうか。心から哀悼の意を捧げつつ、今日の次には、明日がやって来る、そんな当たり前の日常を誰もが信じられる世界の実現を祈る。
まもなく9.11。私に出来ることは何だろう。