本の国星

読んだ本、買った本の実験的覚えがき帖。

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ジュージュー*よしもとばなな

2011-12-10 21:23:04 | 女性作家ま行・や行・ら行・わ行


下町のステーキハウスで生まれ育った主人公は母を亡くし父と血の繋がらない兄?弟?と3人で店を切り盛りしている。自身を含め、少しずつ何かが欠けている人々が集まりその欠けさえ愛おしく感じていく主人公を描いた物語。

母を亡くし新しい恋に巡り合うまでの物語は容易な文章で語られていく。ページ数も少ないのですぐに読めてしまうがそこには作者の重いがぎゅっと濃縮された言葉が散りばめられていてるので決して薄っぺらな感じにはなっていない。店や恋愛を通して家族を、ステーキハウスを通じて命を頂くことが語られている。新しい出発を後押ししてくれるような作品。

すべて真夜中の恋人たち*川上 未映子

2011-12-09 21:40:32 | 女性作家あ行・か行


主人公34歳のフリーの校閲者の女性が入江冬子は人付き合いが苦手で閉じた生活を過ごしている。そのことに関して本人はそれが自分に適していると満足している。しかしひょんなことで知り合った男性に恋をしたことで自分の平衡を崩していく。人と関わることを恐れながらも望んでいく主人公の変化を恋愛を通して描かれた物語。

今までの作品から比べるとクセもなく誰でも読みやすい。内容の割りにだらだらと長いようにも思うし、主人公の性格からこれくらいの長さが必要な物語の様な気もするし取りようによっては長所にも短所にもなるような要素の多い物語。これが賛否両論ある理由だろう。
時系列を混ぜてしまった部分がかえって物語を陳腐にさせたように感じて残念だが、物語全体から主人公の不器用さを丁寧に描こうとする文章には好感が持てた。
とはいえ同じような作風をまた使うことは読者をがっかりさせてしまうだろう。次回作が楽しみなところ。

かわいそうだね?*綿谷りさ

2011-12-08 22:00:49 | 女性作家ま行・や行・ら行・わ行


表題「かわいそうだね?」と「亜美ちゃんは美人」の2つの中編が収録されている。

「かわいそうだね?」では28歳のアパレル店員の主人公は帰国子女と付き合っている。しかし彼は愛しているのは君だけだけれど人助けだからと言って前の交際相手と同居すると言い出し実行。三角関係が始まる。主人公が彼とこの関係を何とか正当化しようとする歪みを皮肉った物語。
「亜美ちゃんは美人」は高校で知り合った誰もが認める美人の亜美と腐れ縁のさかきちゃんが主人公。社会人になり結婚するまでの2人の関係をリアルな女の目線で描いた物語。

個人的には後半の「亜美ちゃんは美人」の方が好み。女性でなくては書けない視点は女性読者にはおもしろく感じるだろう。美人過ぎる親友を持つという設定がまず男性作家には描けないのでは。純文学のテイストはなくなってきたが、前作が残念に感じていただけによかった。

天頂より少し下って *川上弘美

2011-12-07 22:30:01 | 女性作家あ行・か行


パウル・クレーの表紙が印象的な7つの作品を収めた単編集。ちょうど日本でパウル・クレー展が行われてた時期に読んだ。

人質の朗読会*小川洋子

2011-12-06 22:20:30 | 女性作家あ行・か行


遠い異国の地で人質になった8人がはじめた自分の内にある物語を順番に語っていく朗読会。死を前にしたこの朗読会は人質達のほか見張り役の犯人と現場を盗聴していた男が聞き手となる。この1人ずつの語りが短編小説のように収録されている。

これぞ川上ワールドといった世界が広がる。どこの場所か時代か分からないような設定。淡々と進む静かでどこか奇妙な物語。
この小説はもうこの世にいない人々が語ったという前提で始まるところが大きなポイントだろう。最後までぐいぐい読ませる作品。
「やまびこビスケット」の物語が不思議と印象に残っている。

RDGレッドデ-タガ-ル(4)世界遺産の少女*荻原規子

2011-06-29 22:13:59 | 女性作家あ行・か行


REGシリーズ第四弾。学園祭編。

夏休みが終わり寮に戻る和泉子。生徒会に参加しているため学園生活が始まると学園祭の準備に追われる。生徒が学園祭で浮き足だっている一方で幽霊のウワサも飛び交う。学園内の雰囲気がどことなくおかしいことに気がつく和泉子たちだった。

シリーズ初の続きもの。このシリーズで和泉子に憑依する姫神の謎が少し解けてきたり、ラストに向かって物語が動き始めてきたのかな?という雰囲気。

大人も楽しめるファンタジー。

わたしを離さないで*カズオイシグロ

2011-06-17 21:50:19 | 海外文学


舞台は1990年代のイギリス。物語は31歳のキャシーが過去を振り返る一人称によって語られる。キャシーは子供時代ヘールシャムの寄宿学校で過ごす。そこでは外界から遮断され教師代わりの保護官が子供達をまとまている。子供達は詩、絵を描くなど創造性が重要視され、健康に保つことが義務付けられる。ここで育った子供達は自分達が何者か、どんな将来が待っているか全てを知らされているようで全てを知らされていない。

物語が進むにつれ、キャシーたちが何者か、何を知らされていて何を知らされていないのかが明らかになる。この設定が明らかになるにつれて読者は物語にぐいぐいと引き込まれていくだろう。
読後キャシー達が自分達の運命を抗いながらも受け入れているという事実が重くのしかかった。

鴨川ホルモー*万城目学

2011-06-16 22:11:39 | 男性作家ま行・や行・ら行・わ行


京大に入学し主人公阿部が入ったサークルは「京大青竜会」。一体何をするサークルなのか全く分からないのに目当ての女の子がいるからという理由で在籍。そして「ホルモー」と呼ばれる競技を行うサークルだと分かった時にはすでに抜けられない状況だった。

物語はこのホルモーが何か?どんな風に競技をするのか?を主人公とともに知っていく形で進んでいき、友人、恋愛、といわゆる青春ものの味付けがされていく。ホルモーという競技が現実離れしているにも関わらずこの味付けによってそう感じさせない。

京都の大学生青春ものとなると森見登美彦と被っているかな?と思わせる設定でもあるのだが。

鹿男あをによし *万城目学

2011-05-23 21:32:55 | 男性作家ま行・や行・ら行・わ行


著者の作品は初めて読んだ。最近映画化になったりと何かと話題にのぼることが多く手に取った。この作品に関してはドラマを観ていたので後から原作を読むかたち。

大学での失敗から奈良の女子高で臨時教師になった主人公。高校でも上手く生徒とやっていけないと落ち込んでいたある日「鹿」に話しかけられる。鹿が言うには1800年前から60年に1度行われる儀式を執り行うために目と呼ばれるものを自分が運ばなくてはならないという。

設定が突拍子のないものなのにどんどん物語に引き込まれる。大体のあらすじは知っていたがそれでも次はどうなるかと読ませる力がある文章だった。おもしろかったので他の作品も読んでみようと思う。

白銀ジャック*東野圭吾

2011-05-22 21:19:02 | 男性作家な行・は行


シーズン始めのスキー場に脅迫メールが届く。そこには雪の下に爆弾を仕込んだとあり、スキー客は自身が知らぬ間に人質となった。現場の社員は警察に届けスキー場を閉鎖しようとは意見するが、役員は警察には報告せずゲレンデも通常営業しつつ犯人の要求通りに金を支払う選択をする。現金を運ぶことになったゲレンデでパトロールをする社員達、偶然事件を知ってしまったスノーボーダー、昨シーズンゲレンデの事故で妻を亡くしたスキーヤーが絡み合いながら物語が進んでいく。

初期の作品と比べて軽い感じになったなあとは感じているがこちらも然り。読みやすく最後までさらりと読めるのだけれど物足りなさは感じる。映像化すしやすいのだろうけれど。