271828の滑り台Log

271828は自然対数の底に由来。時々ギリシャ・ブラジル♪

無理数と連分数(追記あり)

2010-07-28 05:27:20 | 数学
年内に解決したい工学的な課題があって、代数の感覚を取り戻したいと思っていました。大分さび付いているのでユークリッドの互除法あたりの基礎からやり直そう。そんな折、自宅の書斎を片付けて、横の本を縦にして背表紙が見えるように整理することにしました。娘と家内に強く言われて、これがきっかけです。
沢山のお宝を発掘しましたが、その中にゲリファント他著『方程式の解き方』(東京図書、銀林浩訳、1993年)がありました。目次を確かめると、方程式の整数解から始まり、ユークリッドの互除法が主役を演じています。掃除をサボって読み始めました。
同書の元本は1957年が初版、前年にソ連は人類最初の人工衛星打ち上げに成功し、科学技術の高さを世界に誇っていました。その頃、ソ連では『数学普及講座』と題するコンパクトな冊子が多数発行されました。この『方程式の解き方』もその一冊です。著者のAlexander Gelfondヒルベルトの第7問題を肯定的に解決して数学史に名を残しています。数論の大家が書いた啓蒙書ですね。似た名前のIsrael Gelfandと混同するな、と英語版のWikipediaに書いてあります。
読み進むと直ぐに無理数の連分数展開が出て来ます。まず(1)の自明な関係から出発し、無理数の正則連分数を求めます。(2)

ここまで進んで、つい√7の連分数展開を思いついてしまいます。やばい!しかし7はmを0でない整数として7=m^2+1と書けないので正則連分数にはなりません。それを承知で以下のようにやってみました。

そして√7=xとして整理すると以下の有理関数を得ます。さらに連分数の階層を深くして(6)まで計算してみました。

この二つの関数を用意し、エクセルで「廣大の関数」と収束競争をさせてみました。私の期待に反して「廣大の関数」に負けます。少しですが。理由は直ぐに分かりました。tonagaiさんの判定条件|ad-bc|=1とならないからです。Aを平方数でない正の整数として、その平方根を求める関数は一般に以下のように書けることが推測できます。

(7)から

となる整数の組を求めることに帰着されます。これはいわゆる「ペル方程式」そのものです。この方程式がペル方程式と呼ばれるのはオイラーの誤解に端を発しています。本当の研究者はウィリアム・ブラウンカーで『ピープスの日記』にしばしば登場するので名前だけは知っていました。
ペル方程式は最小解の組が求まれば全ての解を求めることが出来ます。A=7の場合は(8、3)でこれが「廣大の関数」となります。香ばしいのはA=13で、最小解は(649,180)となります。具体的に書くと以下です。

もうこうなると簡単でA=2010をやってみました。最小解の組は(269、6)です。

私がここまで到達出来たのはGelfondさんとtonagaiさんのお陰です。感謝します。断っておきますが、gbさんとそのアバターのコメントは公開しませんよ。


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(10/07/30追記)この記事を書いてから、ブログを通じて知り合った方々へもgbのスパムコメントがあり、とても不愉快な思いをしました。そこで x^2-7y^2=1 の一般解を求める記事を書いてやろうかと思いました。でもこれは挑発に乗せられたことになるのかも知れません。それより工学的な課題に取り組む方が生産的です。
ペル方程式については「私的数学塾」に記事があり、ペル方程式の応用例が掲載されています。大変参考になります。また当該ページに紹介されている北村泰一著『数論入門』(槙書店)も私の書架に眠っていたのを見出しました。背表紙が見えるようになったからです。

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6 コメント

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完全解決! (rikunora)
2010-07-28 12:12:25
すばらしい、モヤモヤが晴れた気分です。
1.連分数展開は、正則にこだわらなければ幾通りかの展開ができる。
 近似分数の式も幾つか作ることができるのだが、
 その中からどうやって収束の速い式を見つけるか?
2.判定条件|ad-bc|=1
3.ペル方程式から解の組を求める
なるほど。こうして見ると、おもしろい問題だったのですね。

それにしても「横の本を縦にして背表紙が見えるように整理すること。。。娘と家内に強く言われて」
といったあたりから271828さんの日々の様子がうかがえます。
完全解決、でも (271828)
2010-07-29 04:43:35
rikunoraさん おはよう

広大の問題では一番の被害者がrikunoraさんではなかったでしょうか。本当にお疲れ様でした。この問題に限っては、今後マルチポストの被害は出ないと思いますが、安心は出来ません。
私の記事にコメントを頂いた方のブログにあの方は「271828が訂正記事を書いたから、コメントを書き換えろ」という無礼なコメントが書き込まれています。
彼の次のターゲットは「複素関数」らしいので、皆様ご注意を!

連分数もペル方程式も本来は考えて楽しい対象のはずです。それをいやな思い出に結びつけたことがgbの最大の罪です。
連分数についてもクイズではなく、なぜ先人はこれを考えたか、これについて書きたいと思っています。よろしくお願いします。
無視にかぎる (Hal.T)
2010-07-29 13:54:08
馬鹿者は無視するにかぎるってのが、広く聞かれた通信網の原則です。アマチュア無線からBBSまで、そうだった。ただし、無視はこちらの意志力が問われるのがめんどうだね。

ともあれ、この記事は久しぶりに、すっきりしている。人間が使える知の素材を組み立てて役に立つ並べ方を見つけている感じだ。

美しさとはある意味有用性の中にある・・・有用性といえばコケにする数学者も多いが、わかった!ってのも有用性のひとつ、巾は広いんだ。
わかった! (271828)
2010-07-30 05:38:33
Hal.Tさん コメントありがとう。

短いけど良い文章ですね。

真理は分かってしまえばごく簡単なのですが、そこに至るまでが大変だった。成功体験を積みながら、それに溺れないというのが難しい。
Unknown (tonagai)
2010-08-07 22:12:29
はじめまして。Casioのサイトの掲示板でコメントをつけたtonagaiです(ちょっと記号ミスってましたが)。
私のコメントに変な返答が返ってきてたので???って感じでしたが、271828さんが迷惑かけられてたっとことで納得しました。コメント返さなくてよかった。。。ありがとうございます。
ペル方程式も私もPython, Excelで計算したことがあります。またおひまでしたらうちのブログも見てやってください。
Fallen Physicist, Rising Engineer (271828)
2010-08-08 04:48:55
tonagaiさん おはよう

あの広島大の問題では解決のヒントを与えて下さり大変感謝しています。後はペル方程式の最小解を求めることに帰着されました。その先には2次体の整数が見えたので高木の『初等整数論講義』を買ってしまいました。

tonagaiさんのブログ「Fallen Physicist, Rising Engineer」
http://sci.tea-nifty.com/blog/
を見つけるのにちょっと苦労しました。今後も宜しくお願いします。

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