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算術、算数、数学、数が苦、数楽

2010-07-19 04:09:34 | 数学
明治維新後の初等教育において、初等数学を「算術」と呼んでいたことは知っていましたが、それが算数となった時期と経緯を調べています。算術も数学も学術用語ですが、算数は行政用語である事を教えてくれたのは板倉聖宣さんでした。それ以来、算数と言う用語には文部官僚の役人意識の臭いを感じるようになりました。
私の持っている数学教育に関するまとまった書籍は『遠山啓著作集』ですが、ざっと目次を追いましたが、それらしい記事は見当たりません。岩波の『数学辞典』(第2版)では「算数」の項目すら見当たりません。

小学校で教えられる初等数学を「算数」と呼ぶのは日本だけの「ガラパゴス状態」です。自称百科事典には"中国、台湾、韓国、北朝鮮では、「算数」ではなく「小学数学」と呼ばれている。"とあります。「小学数学」はelementary mathematicsの訳でしょう。

戦前に刊行された『カジョリ 初等数学史』は現在でも復刻され、大変評価の高い著作です。原書名はA History of Elementary Mathematics, with hints on methods of teaching です。原著にはない図版や解説を訳者の小倉金之助が付け加え、これが邦訳の価値を高めています。

ではドイツ語圏ではどうでしょうか?

F.クラインの『高い立場から見た初等数学』の原題は"Elementar Mathematik vom hoeheren Standpunkute aus"ですね。

さて算数の「算」の字を漢和辞典で調べると、算は竹と具の合字、歴または数を計るの義、竹は「竹かんむりの下に弄」の省書にてソロバン、具は両手にて弄ぶ・操作すること、ありました。「算」も「数」も数値計算のイメージで、幾何の領域が抜け落ちているように感じます。

算術もarithmeticという本来の意味を考えると数論です。『算術』という書物で最も有名なのがディオファントスのArithmeticaで、このラテン語訳の余白にフェルマーが書き込みをして、以後400年間、数学者を悩ませることになりました。

算数という教科名が使われるようになったのは1940年代以降であるらしいのですが、詳しいことは教育制度に関する専門書に当たる必要があります。でもあまり読みたくないので、どなたかご教示して下さると有り難いです。

現状では、多くの生徒にとって理解より習熟を先行するので算数=数が苦であり、これを数楽(すうがく)となるように教員は知恵をしぼって授業を改革して欲しい。

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(10/07/21追記)算術が算数に変わった時期をあるメーリングリストで質問したところ、岩波の『伝説の算数教科書〈緑表紙〉―― 塩野直道の考えたこと ―― 』の前書きに、1940年(昭和15年)以前は算術だったと書いてあることを教えてくれた。ありがたい。
この頃に日本は戦時体制を整え学制も例外ではありません。尋常小学校が国民学校に変りました。国民学校令には

3 理数科ハ之ヲ分チテ算数及理科ノ科目トス

とあります。ここで「算数」が登場しました。この教科名が戦後も引き継がれることになります。時期は分かりましたが、算術という教科名が廃止された理由はまだ分かりません。

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2 コメント

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イギリスの小学校では (ブルン)
2010-07-19 17:48:33
Maths(アメリカではMath)というのが正式の教科名なのでしょうが、低学年の頃(日本より1年早く5歳で小学1年生)はNumbersと呼んでいた記憶があります。初等数学と言ってもまずは「数」の勉強ですものね。
高学年になると数学らしくなります。そして概念重視で、計算練習(勉強ではなくて反射神経の訓練ですね)は日本ほどやりません。学校だけでは訓練が足りないと思う人はKUMON Mathsなどを子供にやらせたりするようですが、私は個人的に概念重視のイギリス式の方が好きです。でも日本独特の和算も捨てがたい。
詳しくはないですが、和算は日本の文化という認識です。
KUMON Maths ! (271828)
2010-07-20 06:03:45
ブルンさん おはよう

イギリスの教育事情についてお知らせ頂きありがとうございます。KUMONがこれほどグローバル化していたとは驚きです。
フィンランドが教育の成功事例としてよく取り上げられますが、逆に学習意欲の低下は日本以上であるとも聞いています。学力の底上げが進むと必然的な傾向のようです。

群馬ケンミンなので上毛カルタの「わ・・・
和算の大家、関孝和」を覚えていますが、和算に欠けているのが「証明」の概念です。

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