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人間よりも「科学の目」? 「若きモナリザ」の真贋めぐり美術界で脚光

2013-03-29 | Art

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/books/art/609139/

人間よりも「科学の目」? 「若きモナリザ」の真贋めぐり美術界で脚光

2012/11/23 22:14更新

モナリザ財団がスイス・ジュネーブで公開した「アイルワースのモナリザ」(左)。右は仏ルーブル美術館で展示されていレオナルド・ダビンチの「モナリザ」(AP=共同) 

モナリザ財団が公開した「アイルワースのモナリザ」(ロイター=共同)
レオナルド・ダビンチの「モナリザ」(AP=共同)
尾形光琳「紅白梅図屏風」の現在の姿(MOA美術館提供)
コンピューターグラフィックスで復元された尾形光琳「紅白梅図屏風」(中井泉・東京理科大教授提供)

記事本文

 ルネサンスを代表する名画「モナリザ」とは別に、レオナルド・ダビンチ(1452~1519年)がもう1枚、モデルの女性の若い日の姿も描いていたとする鑑定結果が発表され、大きな話題を集めた。20世紀初めに英国で発見された女性の肖像画をダビンチ作の“若きモナリザ”だとする結論を導いたのは、科学技術を応用した鑑定法だった。一方で、他の研究者からは異論も相次いでいる。これまでは人間の目と感性をなによりも重視してきた美術史学。果たして「科学の目」は今後、美術界に次々と新発見をもたらすのだろうか。(坂下芳樹)

 ■“本物”を若返らせると…

 問題の“若きモナリザ”は、1913年に英アイルワースで発見され、現在はスイスの財団「モナリザ基金」が管理している女性の肖像画。仏ルーブル美術館のモナリザに対し、「アイルワースのモナリザ」とも呼ばれる。

 モデルの女性が体をやや右に向けて腕を組むポーズはルーブルのモナリザと同じだが、年齢は明らかにアイルワースの方が若く見える。財団は今年9月、35年にわたる鑑定の結果、モナリザのモデルとなった女性の若い日の姿をダビンチが描いた真作だと発表した。

 鑑定の過程では、エックス線はもちろん、最新の高解像度カメラによる図像分析や統計学的分析など、あらゆる科学調査が実施された。美術の鑑定では異例の法医学の技術も応用し、ルーブルのモナリザの画像をデジタル処理で11~12歳若返らせ、アイルワースのモナリザと比較。その結果、アイルワースはルーブルと同一人物の若い頃を描いたものだと判断したという。

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記事本文の続き さらに、画家ラファエロ(1483~1520年)がダビンチを訪ねた際に描いたとされるモナリザのスケッチと、アイルワースのモナリザの構図が一致することなどから、ダビンチの真作だと結論づけた。

 ■相次ぐ「ノー」

 しかし、この発表は世界中の研究者の「ノー」の合唱にさらされた。

 ダビンチ研究の権威、オックスフォード大のマーチン・ケンプ教授は米ABCテレビなどに、「よくできた複製品」と指摘。イタリア美術を研究する宮下規久朗・神戸大准教授も「(財団以外で)アイルワースのモナリザをダビンチ作とする専門家はいない」と話す。

 宮下氏は、遅筆で未完成作が多いダビンチが同一人物の肖像を何度も描くことは考えられない、とした上で、実際にアイルワースのモナリザを見た印象として「目と目の間が離れ、ルーブルの本物とは顔が違う。それは模写した画家の癖が出たものだ」と述べた。

 ■レンブラントの半数以上は偽物

 もともと、学問としての美術史は、作品を見る人間の「目」を最も大切にする。このため以前は、自然科学的なアプローチを積極的には採り入れない傾向にあった。しかし、20世紀後半以降、作品を破壊せずに画材や技法を分析する技術が発達してきたことに伴い、次第に状況が変わっていく。

 そして、美術史学と自然科学が融合していく流れを定着させたのが、数多いレンブラント(1606~69年)作品の真贋を科学調査ではっきりさせようと、美術史学者らが1968年にオランダで立ち上げた「レンブラント・リサーチ・プロジェクト」だった。レンブラント作と伝えられる作品は一時は1000点以上に上ったが、プロジェクトの調査によって、その半数以上が贋作と判定された。

 現在では、作品の真贋鑑定や作者特定を行う際には、芸術的な様式分析や、所有者の来歴、文献の調査といった従来の手法に加え、科学調査が「絶対不可欠になっている」(宮下氏)という。

 ■制作当時の姿を再現

 もちろん国内でも、美術史学への科学の貢献は著しいものになってきている。

 昨年末には江戸時代の画家、尾形光琳(1658~1716年)の代表作で、国宝に指定されている「紅白梅図屏風(こうはくばいずびょうぶ)」(MOA美術館蔵)をエックス線回折法で調べた結果、中央の流水部分には銀が用いられていたことが判明。現在の状態とは全く違う、制作当時の華やかな姿がコンピューターグラフィックスで再現された。

 今春、神戸市立博物館で開かれた「南蛮美術の光と影」展でも、同館とサントリー美術館(東京)がそれぞれ所蔵する重要文化財「泰西王侯騎馬図屏風(たいせいおうこうきばずびょうぶ)」をめぐり、大きな発見が公表された。

 同屏風は日本の初期洋風画の代表作で、神戸本とサントリー本はもともと一組の大画面と考えられてきた。ところが光学調査の結果、神戸本とサントリー本では金箔(きんぱく)の厚みや金の純度、緑色の顔料である緑青の成分が異なることが判明。携わった画家や職人を含め、制作状況に相違点があることが浮かび上がった。

 ただ、こうした成果の半面、昨今は科学が持つ高い信頼性のイメージを利用して、世間の注目を集める話題を提供するのに熱心な人たちも現れているようだ。

 モナリザをめぐり、今年7月、あるニュースが世界で報じられた。モデル女性の遺骨が見つかった、というものだ。

 発表したのは、現在は廃虚となっているイタリア・フィレンツェの修道院で、地下に埋葬された遺骨の発掘を進めている同国の考古学チーム。この発掘調査は、モナリザのモデルの有力候補とされるリザ・デル・ジョコンドが1542年に亡くなった後、この修道院で埋葬されたという記録に基づいている。

 しかし、発表された“発見”とは、無数に埋まっている人骨のうち、これまでに数体を掘り出したに過ぎない。同チームは、間違いないと思われる遺骨が出たら、顔を復元してダビンチのモナリザすることも計画しているというが、果たしてこれがイタリアの美術史に貢献するものかどうかは疑問だ。

 美術史学が行っている表現様式の分析などと、最新鋭の科学調査から得られるデータ。それらを立体的に組み合わせ、いかに正確で実り多い美術の歴史をつづっていくか。そのプロセスにはまだまだ成熟の時間が必要であることをアイルワースのモナリザのケースは示しているようだ。

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