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宇宙旅行、脳に永続的な影響を与える恐れ、最新研究

2018-10-31 | 宇宙

結構な影響があるようです。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181030-00010000-nknatiogeo-sctch

半年間の宇宙滞在から戻って7カ月後も髄液減らず、脳の一部の組織が減少

 人間の体は、重力の中でうまく働くように進化してきた。無重力下では、地上と同じようには機能しない。体液が頭のほうに上ることから、DNAの働きの変化まで、宇宙旅行は健康に何も問題がない人にも過酷な経験だ。

 新たな研究によって、宇宙に滞在した宇宙飛行士の体を調査した結果、特に重要な臓器に影響が見られるという懸念が報告された。脳である。この研究結果により、無重力状態で長期間滞在すると、地球に帰還して7カ月が経過しても、脳に影響が残りうることが明らかになった。

 2018年10月25日付けの学術誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」に発表された論文で、およそ半年間におよぶ国際宇宙ステーション(ISS)での滞在が、宇宙飛行士にどんな影響をもたらしたかが報告されている。ベルギー、アントワープ大学の科学者たちが率いる研究チームは、10人の男性宇宙飛行士のミッション前後の脳を、核磁気共鳴画像法(MRI)で撮影した。また、そのうちの7人については、ミッション終了後7カ月目にも撮影した。

 これまでの研究で明らかになってきたように、宇宙に滞在すると、頭蓋骨内の脳脊髄液(脳漿、髄液ともいう)が増加すると考えられる。脳脊髄液は透明な液体で、動いたり衝撃が加わったりした際に脳のクッションのような役割をし、脳圧を正常に保つ働きもある。

「人間は地球の重力下で立って生活するように適応しており、重力がなくなると、体内の液体はすべて頭の方に移動します」と論文の共著者でドイツ、ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンの教授ペーター・ツー・オイレンブルク氏は話す。論文によると、宇宙から帰った直後は、脳の「灰白質(主に神経細胞の細胞体が集まる組織)」の体積が最大で3.3%減っていた。宇宙に滞在中に、過剰な脳脊髄液が圧迫していたためと考えられる。そのときに減った分は、しばらくすると回復したものの、数カ月経つと今度は別の場所の灰白質が減っていた。宇宙に行く前と比べると、灰白質は全体で計1.2%ほど減っていた。

 一方、主に神経線維からなる脳の「白質」は、当初は宇宙滞在の前後で変化がないように見えた。しかし、地球に戻って数カ月がたつと、体積が減っていたことが明らかになった。

 これらの原因として疑われるのはやはり脳脊髄液だ。地上に戻って約7カ月を経過しても、一部の脳脊髄液の量は増えたままになっていた。その影響によるものと考えられている。

 これらの身体的変化が、認知機能や心の健康に影響を及ぼすのか、どのような影響があるのかを明らかにするためには、さらなる研究が必要だ。しかし、今回の研究により、宇宙に長期滞在した影響が、宇宙飛行士に永続的に残る可能性がまたひとつ加わった。さらに、地球の周回軌道、あるいは、いつの日か遥か彼方の宇宙を目指す者が、備えておかなければならない生物学的な変化は他にもある

視力が戻らない宇宙飛行士も

 脳脊髄液の量が変化すると、別の影響が出る可能性もある。視界がぼやけるのだ。これは、地球に帰ってきた宇宙飛行士によく見られる症状で、最初に疑われた原因は、体液(血液とリンパ液)が頭に上ることだった。NASAの推定では、340日間宇宙に滞在した宇宙飛行士スコット・ケリー氏の場合、足から頭に向かって2リットルほどの体液が移動したという。この影響で宇宙飛行士の顔がむくむことはよくあるが、同じ理由で視力が低下するのかもしれないと科学者は考えていた。

 しかし2016年、原因は体液ではなく脳脊髄液であることが明らかになった。脳内に移動してきて過剰になった脳脊髄液のせいで、眼の裏側の圧力が高まり、眼球が平らに変形し、視神経が外側に押されることが判明した。宇宙飛行士の中には、地球に帰ると重力のおかげで、視覚障害が治る者もいるが、今回の論文で示されたように、地球に帰還すれば、すべての脳脊髄液が元に戻るわけではない。このため、不幸にも視力が戻らない宇宙飛行士もいるが、宇宙滞在による視覚障害の治療法は知られていない。

DNAが変化した!?

 2018年、「スコット・ケリー氏のDNAが変化した」という驚くべきニュースが報じられ、話題になった。ケリー氏自身も、この報道に驚いたという。「なんだって? 私のDNAが7%変化した? 知らなかった! この記事で初めて知ったよ」とケリー氏はツイートした。「たぶん良いニュースだ! これでもう双子の兄弟の『マーク・ケリー』と間違われないね」

 実際には、スコット氏のDNAが変化したわけではない。もちろん、地球に暮らしていた一卵性双生児のマーク氏のDNAが変化したのでもない。宇宙に滞在したことが、スコット氏の一部の遺伝子の発現に影響を与えたのだ。

 DNAは遺伝子を構成するいわば文字列であり、遺伝子は体を作るタンパク質の設計図のようなものだ。実際になんらかの器官が作られたり、なんらかの機能が働いたりするためには、特定の遺伝子が発現しなければならない。宇宙滞在は、とりわけ免疫系、DNAの修復、骨の成長に関する遺伝子の発現に影響を与えるようだ。NASAの研究によると、スコット氏が地球に帰還した半年後でも、これらの遺伝子の発現の7%が変化したままであると確認された。

筋肉と骨が衰える

 地球の重力の下では、ソファに横たわり動画を見ている時でさえ、体は驚くほど働いている。しかし宇宙では、こうした負荷が一切かからない。このため、筋肉はすぐに衰え、骨折しやすくなる。宇宙に1カ月滞在するごとに、およそ1~2%の骨量が失われる。特に腰や脚の減少が著しい。骨量の減少により、血中カルシウム濃度が増加するため、腎臓結石になる危険性も高まる。

 こうした悪影響はだいぶ前から知られており、ISSに滞在する宇宙飛行士は、低重力環境での筋肉と骨の衰えを防ぐため、精力的に運動している。カルシウムやビタミンDが特に豊富な食事に変更することも、リスクの軽減に役立つ。

 反対に、宇宙飛行士が地球に帰って来た際には、鍛える方法はいくらでもあり、地球の重力に慣れる時間もたっぷりとある。「頭を手で支えるという奇妙な初体験をしました」と2013年にISSに滞在した宇宙飛行士クリス・ハドフィールド氏はCBCニュースのインタビューで答えた。「5カ月もの間、首の上で頭を持っていなければなりませんでした」

精子は宇宙でも元気だった

 宇宙に滞在すると人体に多くの悪影響が出るが、未来の宇宙飛行士が心配する必要がないかもしれないことが1つある。子作りだ。2017年に発表された研究によると、凍結乾燥して周回軌道上で9カ月間保管したネズミの精子からでも、健康な子どもが生まれた。

 もちろん、宇宙での性行為には、別の問題が生じるかもしれない。この手の実験は、まだ認められていないからだ。低重力下における物理学は、本稿のテーマから外れるが、いずれにせよ、このネズミの研究結果により、将来の世代が他の惑星に定住する際に、生殖補助技術が役立つ可能性が示唆された。

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