幸せの深呼吸

幸せは自分の中にある。
幸せは自分が決める。

紫外線は、2日に1回浴びるほうが、毎日1回浴びるより焼ける。

2018-11-11 | ファッション、美容など。

https://news.yahoo.co.jp/byline/nishikawashinichi/20181110-00103549/

論文を読んで知ったのだが、毎日1回の紫外線照射より、2日おきに1回紫外線照射するほうが、皮膚の色素沈着が激しいことが専門家の間では知られていたようだ。だれだって、照射回数が増えれば増えるほど、日焼けすると思ってしまう。このような期待を裏切る意外な現象の背景にあるメカニズムの解明が、この研究の目的だ。

まず、本当にそんなことがあるのか調べている。マウスや人間に、紫外線照射を毎日1回、2日に1回、3日に1回、の頻度で照射し60日目に組織を調べると、たしかに毎日照射した群や、3日に1回の群と比べ、2日に1回照射した方が色素沈着が強くなる。論文で示されている写真を見ると、一目瞭然で、その差ははっきりしており、説得力がある。

また、驚くことに複雑な組織レベルだけでで起こる現象ではなく、培養した色素細胞株でも同じことが起こる。たしかに面白い現象だが、このメカニズムは突き止められるのか?

幸い、色素細胞の増殖や、メラニン色素の合成の分子機構については、これまで多くの知識が積み重なっている。現象さえつかまえてしまえば、1日1回群と、2日に1回群で色素細胞の活動を示す分子の挙動を丹念に見れば手がかりがつかめるはずで、簡単な話だろうと思ってしまう。

ところがどっこいそうは問屋がおろさなかった。はっきり言って、この論文を読んでも、すくなくとも私は答えが見つかったようには思えない。ここからはちょっと専門的になるので、面倒と思う人は「日焼けの面白い話がある」だけ覚えていただいて、何かの話題にでもしていただければいい。

ではこの論文では何が示されたのか?

ちょっと専門的になるが、色素細胞の発生や活動全般を調節するMITFという分子がある。一般的にこの分子の活性が高まると、色素細胞が増殖し、メラニンの剛性が高まる。色素細胞のガンではこれが発がん遺伝子として機能する場合もある。このような、特定の細胞の機能全般を調整している分子をマスター分子と言っているが、この論文では、この色素細胞のマスター分子の発現パターンが毎日群と、2日1回群で大きく違っていることを見つけている。

まず驚くのは、UV照射(試験管内ではcAMPによる刺激で代えている)すると、MITFの発現は外界の刺激とは全く無関係に、一定の間隔で周期的に増減を繰り返すようになる。そして、増減を繰り返しながらも、発現はだいたい48時間で元のレベルに戻る。しかし、24時間目にもう一度照射すると、新しい周期が誘導され、そのまま続く。このMITFの周期は6ー8時間程度で、これに支配される分子の周期とは大きく異なっている。すなわち、MITFでスウィッチが入るが、その後はMITFの短い周期に無関係に動く分子が多い。

なぜUV照射後MITFが周期的に増減を繰り返すのかは、MITFを制御するHIF1やMir-148の周期的発現の結果としてほぼモデル化できる。また、この2種類の分子をノックアウトすることで、MITFの周期を変化させることもできる。もちろん、その結果24時間、48時間照射による色素沈着の差も消失する。

大変よく解析されているが、では短い周期でのMITFの増減が48時間で消失していくほうが、周期が維持されるより、メラニン色素の沈着を促すのか?という疑問については、残念ながら答えは示されていない。「思いもかけなかったマスター分子の周期的変化が何か重要そうだ!」というレベルで止まっている。

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 衝撃! キャッシュレス大国・... | トップ | 植物状態になっても「戻って... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。