マーサの昔話

デジカメでの景色や花、動物などの写真
海外体験談、今日の一品、糖分控えめ?なおやつ等‥‥‥

堂堂巡りの怪

2010年08月13日 | Un fenómeno sobrenatural
 私のOL時代、毎年何回か気の合った仲間達と1泊2日のドライブ旅行に
 行った事があり、今夜は鳥羽へ行った時の話をします。
 三重県にもよく訪れていて、いつもは名神高速で時間を短縮して早く現地へ
 着ける様にしていたのですが、たまたま名阪で行き、伊勢神峠を通って
 目的地へ行った時がありました。

 その時は車2台、男性4人、女性2人で各3人ずつ分かれて乗車し、運転を
 交代しながらのドライブでした。伊勢神峠に入ると、1車線で、たまに対向車が
 来るのですが、その時は、所々にある車寄せのあるスペースまで近い方がバックして
 行き交うという、スピードを出し過ぎると、超ヤバイ場所でもありました。

 それでも結構スピードを出していたのですが、対向車が来そうな所では、ブレーキを
 効かせながら、進んでいました。 両側に木々が鬱蒼と生い茂り、昼間でも
 少し薄暗い感じの道路でした。 かなり上の方に上がって来た時、何とこんな車道の
 崖側を白装束のお婆さんが杖をつきながら歩いているのが見えました。
 車内で、“こんな危ない道を一人で歩いて、一体どこへ行くんだろうね。”なんて
 言っておりました。

 どんどん上がって行きますと、又、白装束のお婆さんが杖をつきながら歩いています。
 Tさんが、「ここの道って、西国33箇所に関係あるのかな?」
 「よく解らないけど、三重県は入っていなかったと思うわよ。」と応える。
 「でも、あの格好って、お遍路さんの格好だよな。」
 「そうね、ここをずっと行けば伊勢神宮には行けると思うけど、かなりあるから
 今晩は近くの民宿で泊まるんでしょうね。 でも民宿があるような場所じゃ
 ないよね。 私達はよそ者だから解らないだけで、地元の人はよく知っているのよ。」
 「・・・でもさあ、伊勢神宮って寺じゃないぞ。」「・・・・・・」

 そんな感じで、あまり深く考えず、相変わらずカーブばかりの道を冷や冷やしながら
 ドライブを続けていた。

 しかし、行けども行けども、景色も同じだし、何か同じ道をぐるぐる回っている様な
 錯覚に陥ってしまった。 と、思っていた。 暫らくすると、又、白装束の
 お婆さんが杖をついて歩いている。 顔は、菅笠をかぶっているので、全く見えない。
 何故、お婆さんと判断が出来るのかというと、白髪の長い髪をゴムでまとめていて
 骨粗鬆症なのか、背が丸くなっていたので、ご高齢の女性と判断したのです。

 しばらく運転していると、又、同じ格好の人と会い続ける。 どうも景色も同じ様に
 思える。 それで、車寄せに一旦停車して、仲間の車を待つことにした。
 ところが、5分待っても10分待っても、仲間の車が来ない。
 今なら、携帯ですぐに連絡が取れるのに、この頃は携帯も無いし、カーナビなんて
 優れものもありはしない時だった。

 20分位待った頃に、関係の無い普通車が追い越して行ったので、私達も、発車する事に
 なった。 私達の車は、スピードを出していたので、先程の車には追いつける筈だった
 のに、いつの間にか、もっと先を行った様だ。 全く、行き去った自動車を見つける
 事さえできなかった。 又、走り続けると、あの老女の後姿が・・・

 さすがに意識し始めた私達は、徐行で通り過ぎ、顔を覗き込んだりしたが、目深に
 かぶって見えない。 通り過ぎてから、Tさんが「話しかけてみたらどうか?」と
 言ったが、それは私が許さなかった。 「もし、“一緒に連れて行って下さいますか?”
 って言われたらどうするの? 乗せるの? 私は冷たい女かもしれない。 でも、何回も
 会い続けるなんて、どう考えてもおかしいわよ。 でも今は、あまり言いたくないわ。」

 「もう、2時間もこの峠をドライブしているし、いい加減にここを抜け出さないと
 夜になったらもっとヤバイよ。」
 「普通なら1時間位で抜けられる筈なのに、困ったわね。どうして、先に進めないの?
 ・・・あっ・・・そうか? Mさん、あまり逆走したくないけど、車寄せでUターンして
 峠を下りよう。」
 「せっかく、ここまで上がってきたのに、今更下りていたら、ホテルに着くのが
 もっと遅くなるよ。」と二人が声を揃えて私の意見に反対した。 2対1だから
 私もそれ以上言えなかった。
 
 又、同じ道を?走り続ける。 老婆の後姿が見えて来た。 今度は徐行じゃなくて
 普通に通り過ぎる。 その時、私は言った。 「お願い、止まって。」
 車寄せじゃないので、本当はこの場所で止まるのは危険でしたが、とりあえず
 止まってもらった。 ところが、歩いてくる筈の老婆の姿は見えない。バックミラーを
 見ても全然映っていない。 Mさんは、何も言わず、車寄せまで行くとUターンして
 峠を降りて行きました。 2時間以上も登った筈なのに何と僅か20分で峠の入り口に
 戻って来れました。 それから、一般道で、鳥羽シーサイドホテルまで、無事に到着。
 
 仲間の車は、今や遅しと私達を待っていました。 仲間の車は峠の入り口付近で
 私達の車が見えなくなったと言い、一般道を選んだ様でした。
 
 この時の分析を私なりにしたのですけど、やはり、非現実的な結論になってしまいます。
 ただ、言えるのは、峠で会った老婆は、私達を助けてくれたのだと思っています。
 あれ以上先に行くと、事故っていたかも知れませんし、本当に事故寸前だったかも
 しれません。 あれだけ、何回も老婆に会っているのに、どんどん登り続けている
 私達をよくぞ、諦めずに守って下さったこと、未だに感謝しております。
 
 


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