メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

福武文庫 灰色の谷の秘密 マスパン/著 福武書店

2024-08-22 15:30:20 | 
1990年初版 河盛好蔵・林田遼右/共訳

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


【内容抜粋メモ】

登場人物
ジャック
ジョエル 妹
アギールおじいさん
パンパリーナおばさん
イリゴワイヤン 庭師
フェルトン イギリスの大学で考古学の先生をしている

ベッチリ、ナニ グラチアン家の兄弟 父は税関
飼い犬イズア




■第1章
父がアメリカで仕事があり、母もついていくことになり
ジャックと妹ジョエルはサール村のアギールおじいさんのもとに
夏休み中預けられることになった

父が車で連れて行って、村に着いたのは夜で、兄妹は寝てしまい
翌朝起きた時はもう父は発った後

きょうだいは朝食後、家の周りを探索していると
遠くでブキミな鳴き声を聞く

パンパリーナおばさん:
税関のグラチアンさんの犬イズアにきまってます
子牛より大きくて意地悪で、村中の人が怖がっている
この辺りでは税関の役人は嫌われている



庭師のイリゴワイヤンに連れられて
広場で子どもたちがペロタ(テニスに似た競技)をしているのを見る
ナニ:けして灰色の谷に足を踏みいれないこと を条件に仲良くなろうと申し出る

白クマのようにデカいイズアが鎖を切ってやって来てみんな逃げていく

アギールおじいさんの友だちのフェルトンさんは
イギリスの大学で考古学の先生をしている
子どもたちをお茶に誘う



数日もすると散歩にも飽きて、シダのはえる谷で小川づくりをしていると
また奇妙な叫び声がする

アギールおじいさんは、昔から職人や農家が密輸をしていて
税関の役人と犬猿の仲だと話す

きょうだいの前にイズアを連れたベッチリとナニ兄弟が現れて、谷に近づくなと脅す



ジョエルが風邪をひいて2日寝込み、またきょうだいで散歩している時にイズアが現れる
ハチを飲んで、ノドに針が刺さって苦しんでいるのを見て、すぐに抜いてあげるジョエル
きょうだいはすっかりイズアと仲良くなる

翌日もベッチリとナニがイズアをけしかけようとしたが
きょうだいがイズアと仲良しなので驚く

ベッチリ:僕の犬の友だちは、僕にも友だちだ

ベッチリの首飾りはクマの歯でできていて
その秘密を教えるからと明日の朝9時に待ち合わせる



4人はカラマツで隠れた小さな洞穴に入る
天井の低い泥だらけの中を這っていくと、広い鍾乳洞に出る

ロープをつたって井戸のような谷におりると
クマの骨がたくさんある場所に着く
ジャックも夢中で歯を拾う

“クマの洞くつ”という名前をつけて、あさってまた探検しようと約束して別れる



フェルトンさんの淹れた紅茶を飲み、先史時代についての話を夢中で聴く
これまで氷河が4回もあったこと、ネアンデルタール人や北京原人など

ジャックはついクマの化石について熱心に質問して、フェルトンさんに怪しまれるが
ベッチリとの約束を守って洞穴について秘密にする



3日雨が続いて、すっかり退屈するきょうだい

父母から手紙が届いて読む

「機械を使うのは人間だ
 人間が機械に使われてはならない
 動物、植物、風景を大切にして、ものをつくり、磨きあげることが大切だ」

ジャックは将来、原始時代について研究しようと思う



また4人で洞窟に行く途中、ベッチリが不機嫌なのに気づいてワケを聞くと
税関の役人の子どもだからという理由でペロタの試合に出られないと明かす

ベッチリはペロタが得意だが、チームのキャプテンのドミニックが許してくれないと聞いて
ジャックは友だちのために話し合うと約束する

クマの洞くつの先にさらに道を見つけるが、狭くて入れない
ベッチリが縄ばしごを作ると約束



ジャックはドミニックに銀のシャーペンをあげて納得させようと考えるが
実際会うと賢い少年だと分かり、税関の息子だからという理由でのけ者にするのは卑怯だと訴える

ジャックの中学で発行している雑誌にこの夏の話を書くと約束していて
そこに卑怯な少年について書くと脅すと、ベッチリをチームに入れるから
雑誌には立派な少年だと書いて欲しいと頼む



フェルトンさんに連れられて教会のミサに行くと
ベッチリが試合に出られることになったと喜んでいた

フェルトンさんはバスク地方の有名な洞窟を見に連れて行ってくれるが
広い入り口に観光客がたくさんいて、秘密の香りは一切ない

フェルトンさんが何気なく拾ったものが貝殻の化石で驚き
クマの洞くつに連れて行ったら一体何を発見するだろうと想像する



ペロタの試合を見に行くと、ファンダンゴのダンスが披露され
ベッチリはわざわざ客席のジャックの所に来て、チョッキを投げる

ベッチリの素晴らしいプレーによりチームは勝利し
これまで嫌っていたイリゴワイヤンさんも名選手だと褒める

ベッチリは縄ばしごが完成したから、明日、洞窟へ行こうと約束する



小石が窓に当たって目が覚めると、朝の4時で
ベッチリはナニがいなくなったから一緒に探してくれと頼む
ベッチリ:縄ばしごがなくなってる きっと1人で洞窟へ行ったんだ

勇敢なイズアは数mもの谷に飛び降り
ナニの靴のにおいを嗅いで探し周るが見つからない

落石もあり、危険すぎるから大人の救助を呼ぼうと提案しても
弟が心配なベッチリは正気を失っている

以前、狭くて通れなかった道でイズアがナニを発見
石が崩れて下敷きになっていたのを助けて、家に戻る



昼まで寝て、初めてベッチリの家を訪ねると
ナニも病気だと思われて寝かされている
ナニ:僕は発見したんだ 人間の足跡を!

オートバイのヘルメットを借りてかぶって、再び洞窟に入る
金槌とノミで石を掘った先に、裸足の足跡を見つける
その先には粘土でつくったクマの見事な彫刻があった

ジャック:
この遊びはもう終わった
僕たちの発見したものは、とても貴重で、これを秘密にしたら罪をおかすことになる
僕たちのお陰で先史学は大きく進歩するかもしれないんだ

ジャックが将来、先史学を学びたいと話して、ようやくベッチリ兄弟を説得する



フェルトンさんにクマの歯を見せるとアナグマの歯の化石と認める
クマの彫刻の話を聞いて、フェルトンさんは車で洞窟まで飛ばす

フェルトン:
一生のうちで最も素晴らしい日のひとつだ
おそらくこの洞穴は魔法の儀式に使われたのだろう
狩人がたくさんの獲物を捕まえるために
芸術は、人間という種族の一番大元となる活動なのだよ



フェルトンさんは、パリ人類学博物館や教授たちに電報を打つと
若い優れた学者たちがサール村に駆け付けて
地質学の調査、岩石の分析、写真撮影などをジャックたちも見学できた

新聞や雑誌にも載って、世界中に知られることになる



父が迎えに来て、帰る途中でラスコーの洞くつに寄る

夏休みの出来事を書いて学校の雑誌に載せるつもりが
長文になったので、出版社に送ることにする



あとがき
本書は1963年のサロン・ド・ランファンスの児童文学大賞を受賞
審査員が全員児童の賞

マスパン
児童心理学者として性格障害児を手掛けてきた経験と
自らの小さい頃の思い出が作品に活かされている

『みつばちのやぐら』

バスク語は、フランス語とまったく違う言葉

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