メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『家族ゲーム』(1983)

2014-10-24 15:14:47 | 映画
『家族ゲーム』(1983)
原作:本間洋平 監督・脚本:森田芳光
出演:松田優作、伊丹十三、由紀さおり、宮川一朗太、辻田順一、戸川純、阿木燿子 ほか

「家中がピリピリ鳴ってて、すごくウルサイんだ!」

trailer

実は、去年クドカンがやってる番組『眠いいね』の予録を今ごろ観て、ゲストに由紀さおりさんが出て、
なにかのキッカケで今作での優作さんが「とても変わったことをする人だった」と言っていたのを聞いて、急に観たくなって借りてみた。

もしや、昔観てるかも?とブログを検索したらなかったからセーフv
優作さんの魅力に圧倒されて、他の作品も観たくなった。
それにしても、がんで39歳で亡くなるなんて、運命はなんて数奇なんだろうか。

ウィキを見ると、今作はこれまで何度もドラマ化されてきたんだな/驚
去年の神木隆之介くんver.も観てみたかった。どっちかといえば、弟役のほうが似合いそうだけど。

森田さんは、この頃からすでに子どもたちの教育や取り巻く環境が十分狂ってるってことを撮っててスゴイ。
当時流行ってた「金属バット殺人」が、今じゃ「うつ」に代わっただけで、
現代劇にしても、まったく違和感がないだろう。根底は、まったく何も変わっていないのだから。

家族を養うため」に一流企業で働く父親+それを支える母親
一流企業に入るために、一流大学に入る
一流大学に入るために、一流高校に入る
一流高校に入るために、一流中学に入る
一流中学に入るために、一流小学校に入る
一流小学校に入るために、一流幼稚園に入る。
その連鎖で家族が歪み、社会が歪み、世界が歪む。

次男の茂之くんは見事な絵を描いている。もしかしたら、画家になったり、
大好きなジェットコースターの設計士になったりする可能性もあるだろう。
それでも、みんなはなぜか無意識に横並びになって、学力社会、成果主義に猛進して、それで幸せは掴めただろうか?


story(ネタバレ注意
風変わりな父、平凡な主婦の母は、高校受験を控えているのに成績がクラスで下から6番目の次男・茂之を心配して、
それほど頭のいい大学とは言えない大学に7年もいる吉本を雇い、

「茂之は“問題児”でね。今までの家庭教師も何人も辞めている。成績を上げてくれたら、給料を上げよう
「それはテストの点数ですか、偏差値ですか?」
「クラスの順位が1つ上がったら、1万円ずつあげよう
父親は、優秀な長男・慎一と茂之をいつも比較してばかりいる。

学校では、テストの点数が低かった順から読み上げて用紙を返し、みんながバカにして笑う。
クラスメイトの土屋は、いつも取り巻きと一緒に茂之をイジメている。

吉本がやって来た初日。ノートに書き取りをやらせると、全部のページに「夕暮れ」と書いて、殴られ、鼻血が出る

 

母「あのコ、ほんとは頭が良いと思うんですよ。ジェットコースターの本なんか1回読んで全部暗記したんですから」
(それって、「アスペルガー症候群」では

一方、慎一は学校を休みがちになり、家では寝てばかりいる。
クラスメイトの美栄子に恋をして、何度も家を訪ねる。

悩んだ母は、父に漏らす。
「子どもたち2人のために、私たちがなんでこんな犠牲を払わなきゃならないのかしら? もっと遅くに産めばよかった」


 

母は、同じ団地の女性(純ちゃん/驚)に声をかけて、家に招くと、深刻な悩みを相談される。
「私、ここに引っ越してから話しかけられたの初めてなんです。この団地、水商売の人多いじゃないですか?」
あまりに座り位置が近いから「この状態は辛いので、ちょっと位置を変えてもいいですか?」て

悩みは、夫の父の介護をしていて、先が短いのだが、
「もし亡くなったら、どうやって下に降ろすんですか?! エレベーターに棺おけなんて乗らないじゃないですか!」

そこに息子がケンカして帰ってきたから、「話は後で」と帰そうとすると怒って、
「自分の家のことだけじゃなくて、もっと人の家のことも心配してくださいよ!」(団地の人間関係の希薄さだね・・・

吉本の暴力的な教え方で、だんだん成績が上がる茂之。
「成績が上がると嫌がるヤツがいるから面白いんですよ

吉本に恋人のことを聞いて「その人と結婚するんですか?」と言われて、急に無言でハンカチを出して額をぬぐうシーンはサイコー

土屋は頭のイイ「西武高校」を目指しているため、茂之は敢えて1ランク下の「神宮高校」に入ると言い張る。
父は「西武高校」に行かせたいため、母を叱る。
「やっぱりお前じゃダメなんだよ、甘やかして。オレが言ったらバット殺人になるんだよ。だから代わりにやらせてんだろ!」

 

慎一「オレ、大学なんか行かないかもしれないよ。やりたい事がいろいろあるんだ。それは大学に行かなくたってできる事なんだよ」
父「お前が大学行かなかったら、父さんと母さんはどうするんだよ」
慎一「どうにかなるんじゃない? あんたら夫婦じゃない」

どんどん会話が険悪になり、食卓がカオスになっていく様は今作の見どころ。優作さん、マヨネーズをビームみたく出してるし/爆

慎一「西武高だって辞めたっていいと思ってるんだ」
父「西武高は国立大に行くためなんだぞ!」
慎一「そんな事言ってるからバット殺人が起きるんだよ」

 

音楽もなく、これまでの争い事のセリフが流れて、不穏なヘリの音が響き渡る。
とにかく食べるシーンが多くて、時々、声が消える演出があったりして今観てもとても斬新。

 

吉本「顔はいいんですよ、ボクは」てw
優作さんの独特なキャラが龍平くんにしっかり受け継がれているのが分かって、なんだか嬉しくなった。





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『本屋さんのすべてがわかる本3 見てみよう! 本屋さんの仕事』(ミネルヴァ書房)

2014-10-24 14:33:56 | 
『本屋さんのすべてがわかる本3 見てみよう! 本屋さんの仕事』(ミネルヴァ書房)
稲葉茂勝/文

『世界の本屋さん』(ミネルヴァ書房)
本屋さんのすべてがわかる本2『調べよう! 日本の本屋さん』(ミネルヴァ書房)

シリーズ第3巻目。
表紙の写真を見て、すぐにぶくろのジュンクだって分かった
中身のほうにも、ジュンクの表側&裏側がたくさん紹介されているとともに、
長野の平安堂ほか、地方も紹介されていて嬉しくなる。

改めて、書店員さんたち、それに関わる人たち(取次や出版社)の苦労が垣間見れるとともに、
店内にはさまざまな工夫、目を止めてもらうための仕掛けがあることが分かる1冊。

システマチックな大きな書店は便利だけど、思わぬ出会いがある小さな書店、古本屋さんも楽しい


【内容抜粋メモ】



本の種類
日本の本は、大きく分けると「雑誌」「書籍」の2種類。
外国では、雑誌は書店ではなく、スーパーやドラッグストアなどで販売されている。

「ムック(mook)」magazine+bookで雑誌と書籍の中間。アメリカで誕生。日本では1972年に第1号が出版。


「コミック」
コミック誌に掲載された作品を単行本化したもの。立ち読みできないよう「シュリンク(透明フィルム)」がかけられている。


ためし読み(こんなのもあるんだぁ!驚


書棚の工夫
書棚は、ジャンル、著者、出版社などによって分類されている。

[ジャンル別]
読者対象によって、女性誌、男性誌、音楽、カルチャー、スポーツ、文芸、児童書別などに並べられる。
書籍は、「一般書」「実用書」「学習参考書・辞典」、サイズの小さい「文庫」「新書」別、
雑誌は、最新号のみが目立つ所に置かれることが多い。


「回転塔」


「ディスプレイ」(見せ方)の工夫は、売れ行きに大きく影響する


「平積み」:「平台」(低い台)は目立つので、新刊書、話題の本が置かれる。
「面出し」「面陳」:表紙を見せて陳列する。
「たな差し」:背表紙を見せる。色やデザインに工夫している。

「棚づくり」:並べ方、見せ方に工夫するのも店員の大切な仕事。

「ポップ」(point of purchase):本の内容をひと言で書いたりする紙。


『白い犬とワルツを』は、2001年、津田沼にある昭和堂の副店長が手創りして本のそばに置いたのがキッカケで、
出版して3年目にも関わらずベストセラーになった。


町田市の久美堂本店では、地元中学校の生徒が、自分の好きな小説をポップで紹介するフェアを開催。
国語教師が「生徒が読書する動機をつけたい」と店に相談した。この活動は全国的にも増えている。


「ほんのまくらフェア」:「まくら」とは本の出だしの文章のこと

 
児童書コーナーには、子どもたちが靴を脱いで読めるスペースもある/各フロアに椅子を置いている

「すわり読み」用の椅子を用意したのは、日本ではジュンク堂書店が初めてと言われる。


「サイン会」「トークショー」などで人を集める

書店員さんが、子どもたちに読み聞かせを定期的に行っている店もある

「特設コーナー」:1人の作家や、1つのテーマで本を集める。

ベストセラー:特定期間内によく売れた本。
ロングセラー:何年も売れ続けている本。
これらは、「奥付」の発行日が古かったり、「第○刷」の数が多いことを見れば分かる。


書店員さんの仕事
売るだけではなく、「棚づくり」「ポップづくり」「イベント企画」「本さがし」などいろいろあって忙しい
とくに開店前は大いそがし

1.荷受け
配達された荷物を受け取り、個数を確認。大量の本が届くのは早朝。雑誌の発売日が重なる日はとくに大変。

2.荷開け作業は重労働
取次から来た本を早く店頭に並べるため、ダンボール箱から出す。

3.検品
入荷商品のタイトル、価格、冊数を点検。

4.仕分け
売り場別に分類する。


「ひもかけ・シュリンクかけ」
雑誌本体に付録をくくりつける(最近は、本体より付録メインだから大変だなあ!


 
有隣堂の文庫用ブックカバーは10色からえらべる

「ブックカバー」日本独自のサービス。大正時代がはじまりと言われる。会計が済んだことがひと目で分かる。


本のルール

[本の裏表紙]
 
日本図書コード

「ISBN」(国際標準図書番号)
世界共通。番号で本が見分けられるシステム。

日本独自の「Cコード」
Cにつづく4桁の数字。分類記号。本の住所みたいなもので、店内のどこに置くかが分かる。

例:C8321
1桁目:販売の対象(一般書、専門書 etc...
2桁目:発行形態(単行本、文庫、絵本 etc...
3、4桁目:内容(哲学、歴史 etc...)「日本十進分類法(NDC)」をベースにしている。

「価格コード」
2004年に「内税」表示が義務付けられたが、本・雑誌は「外税」でも良い。例:¥2500E

「日本図書コード」
「ISBN」+「Cコード」+「価格コード」
「日本図書コード」をバーコード化したものを「書籍JANコード」と呼ぶ。

「雑誌コード」
号数、発行月が表示されている。例:雑誌 03779-12

「日本十進分類法(NDC)」

本の種類を10に分け、それぞれをさらに10に分ける仕組み。
書店では「Cコード」が使われるが、100分類までしかないので、足りない場合に利用する。


店頭に並びきらない本は?
日本で、1年間に新しく出版される書籍は約7~8万点、雑誌は3千~4千点と言われる。
売り場面積には限度があるので、店頭に置かれる期間が短くなり、売れないとすぐに返品される。
(出しすぎじゃない? だから付録競争や、小さな書店は経営が苦しいんだ

書店員さんは、書棚の状況を毎日見て、「棚づくり」を繰り返し、返品したり、発注したりしている。「補充」
出版社から「品切れ、重版未定なので注文をお受けできません」と言われたら、在庫がないということ。

「重版」:「初版」と同じ版で刷り直すこと。

「在庫」

日本の大型書店では、100万冊を超える本がある店が多い。
それらは、「書棚下の引き出し」「バックヤード」に保管(ストック)されている。

「バックヤード」
書店の隅にある部屋。在庫チェック、発注、ポップ書きなどをしている。


「バックヤード」でイベントを企画しているところ


紀伊国屋書店新宿本店の倉庫

雑誌:週刊誌は発売日から45日、月刊誌は60日以内なら返品可能。
書籍:新刊書は105日以内なら返品可能。
期限が過ぎると在庫処分が必要(返品本、処分された本たちはどこに行くの???


レジカウンター
「スリップ」

片面が「売上カード」、もう片面は「注文カード」。両面に商品情報が印刷されている。大正時代に登場した。
「注文カード」は、「書店印」の空白に店のハンコ「番線印」を押して、注文冊数を記入取次が出版社に届ける。「補充」


「POSレジ」を導入しているレジカウンター

「スリップ」の代わりに「POSレジ」を導入している書店が増えた。
バーコードで読み取り、売れ行き、客層、時間帯等がデータ化され、在庫も効率よく管理できる。

「取り寄せ」
レジ奥の書棚には、取り置きされた本が置かれている。


書店員さんの応援団
出版社、取次から営業担当者が来て、互いの情報を交換している。

・在庫状況
・新刊書情報
・他社の売れ筋、話題本の情報収集
・複数の出版社の商品をセットにして「フェア企画」を提案 など


[写真提供]
増田書店
オリオン書房ノルテ店
平安堂長野店・飯田店
ブックハウス神保町 など

編集 こどもくらぶ
校正 くすのき舎

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若い芽が育たない、科学技術創造立国ニッポンの現状

2014-10-24 13:37:46 | テレビ・動画配信
ノーベル賞受賞 "科学技術立国"ニッポンの未来は?@週刊 ニュース深読み
 

ノーベル賞受賞者が、実際、研究に没頭して成果をあげていたのは、30~40代。この時期がいちばん大切。
「科学技術創造立国」を目指すと宣言した日本だったが、その基本法の中身は、産業につながりそうな研究を重視する、というもの。

 

せっかく苦労して「博士号」を取得しても、教授ポストはなかなか空きがなく、
1人の教授の下について、毎日ピペット(スポイトみたいなやつ)を持つだけの日々・・・
そんな研究者のことを「ピペット奴隷」と呼んでいる

 

そんな、日本の「ポストドクター(通称ポスドク)」は16000人! 10年前の統計でも14000人いて、何も変わっていないのか?!
仕方なく、企業に就職しようとしても、コミュニケーション不足なのでは?と面接官から断られてしまう。

原因
1.大きな理由の1つに、企業のニーズと、研究分野の「ミスマッチ」がある。

2.企業が商品化するために資金を出して応援する期間はせいぜい2~3年。
  しかし、研究にはだいたい長年かかるため「タイムラグ」が出る。

3.まだまだ「終身雇用」のシステムが根付いている日本の現状と、
  「企業」「大学」「国」などを行き来する必要のある研究者とはズレが生じる。

4.日本では「博士号」を持つ者への待遇が低すぎる
  「人件費削減」で「低収入」なため、生活費に困る、カードは作れても、ローンは組めないなど

5.大学では、教授の力が強すぎて、「変化」が必要。
  企業に就職したくても、就活していることが教授にバレるとクビにされてしまう

6.企業に就職後は、企業に属しているため、たとえ「特許」が取れても企業の功績となる。
  研究者1人では成功させることは出来ないが、その配分に問題あり。

7.企業は「成果主義」。成果がすぐに上げられないと切られてしまう。
  「任期」の平均は3~5年間。最後の1年は就活に追われて、腰を落ち着けて研究などできない状況。
  長い「キャリアパス」が描けない。

結果、アメリカに有能な人材がどんどん引き抜かれ、自ら渡米する人も増加している


基礎研究が大切
 


研究者のコミュニケーション能力を育成

ノーベル賞をとった人には「変人」が多い?!
電話にも出ない、飲み会も参加しない、とにかく研究に没頭して、人間関係を築かない人が多い。


訓練の結果、受講生の就職率はアップした

博士号を持った人が、企業に採用面接に行った際、研究内容を話しても、担当者は文系が多いためチンプンカンプン
まずは、科学者側の会話力をあげようという試みがある(『スーパープレゼンテーション』のスピーチにもあったね

【ブログ内関連記事】
「科学のことを熱く語って!」@スーパープレゼンテーション

研究者がビジネスマンにもなれるよう訓練する。
相手のニーズが分かれば、それに合った能力、技術を提供できる。


ベンチャー企業へのはたらきかけをする科学者たち

「100年後の世の中を変えるかもしれない」という視点で動いている

企業では「それじゃ、儲からない」と足を引っ張られることが多いため、
研究者と企業の橋渡しをするマネージャー的役割を担当。
銀行に科学への目利きを置き、投資する動きもある。

研究の中には、何に役立つか分からないものも多い。LEDもそうだった。
そういった、自分でも分からない潜在能力を発掘して育てる、「国」「大学」「企業」社会全体の連携が必要とされている。
技術の世界は変化が早い 研究者が自由に活躍の場を行き来できる環境も必要。

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「長いものには巻かれろ」的な、安定志向&権威好きな人は、老人だけじゃなく、若者にも多いからね
目先の利益ばかり追い求めていったツケが、科学の分野だけでなく、あらゆる場所で、今の若者の芽を摘んでいるんだ。

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