ヒト遺伝子想定的生活様式実践法

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大衆の誤認誘導報道の疑わしい例 (7) 先天性奇形

2013年03月25日 |  誤認誘導の疑い

 〔更新履歴:4/14追加〕


 言及するのを忘れていたけど、3.11から2年経過し、3年目に突入した。健康影響の面ではかなり進展があり、既に福島で小児甲状腺がんが10名ほど出ている模様で個人的に想定していた最悪シナリオ、あるいはそれより悪いものである一方、それ以外の多くの面ではあまり進展がない印象を受ける。

 放置ブログを再生させてから早1年だが、ブログの趣旨からすると残念ながら現況は良いとは言えないようだ。

 元々ブログに記事をまとめ始めたのは、某掲示板が閉鎖される可能性が考えられたためなのだが、その可能性は当面はなくなったように思われる。先週のJ-castニュースの記事から、

2ちゃん元管理人ひろゆき氏は不起訴に 薬物書き込み放置問題で
2013/3/20 12:21
http://www.j-cast.com/2013/03/20170338.html

 この意味でこのブログも役割を終えたような気もするけど、まだまだ●の影響が世間で適切に評価されてるとは考えられないので、継続していくことにも多少意味があるだろう。ということで、引き続き宜しくお願いします。


 さて本題に戻ると、最近(元々3/13頃にアップしようとしていたネタなので、少し時期外れかも・・・)、風疹の流行に関する報道をよくみかけるのだが、前々回記事
NHK番組「ためしてガッテン」 (5) 大動脈解離・腹部大動脈瘤  2013/3/6
で言及した類型に属する別の疑い例として指摘しておこう。


(A)  該当する大衆の誤認誘導効果を有する報道の類型

 風疹といえば、かつては自然流行でほとんどの人が免疫を獲得していた感染症であり、現在50歳以上の人、つまり祖父母になろうかという世代の人なら、風疹や先天性風疹症候群はかなりなじみ深い病気であろう。

 ヒロシマ・ナガサキの例から推測すると、足元で先天性奇形が増加しているのではないかと考えられるのだが、仮にこれが正しいなら、一連の風疹関係の報道は、

なじみ深い病気(現象)との関連をことさらに強調して報道するパターン

に該当していて、●の影響による先天性奇形の増加を先天性風疹症候群のせいに誤認誘導する意図を有した可能性があるだろう。


(B) 疑わしい報道

 幾つか見かけたものを紹介しておくと、「zakzak」と東京新聞から、

妊娠望む女性に異例の注意喚起 風疹流行が拡大 胎児が危ない
2013.03.05
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130305/dms1303050715006-n1.htm

風疹の流行が拡大している。昨年の患者数は全数報告の対象となった2008年以降最多の2353人だったが、今年は昨年をはるかに上回る勢いで増加が続いている。風疹は妊娠初期の女性がかかると、赤ちゃんが難聴や白内障、心疾患などの「先天性風疹症候群(CRS)」になる可能性があるが、その報告も昨年10月以降、6例に上った。流行の中心は成人男性で、背景には過去の予防接種制度がある。専門家は「身近に妊婦や妊娠を望む女性がいる人はぜひワクチン接種を受けてほしい」と訴えている。

 
風疹 近年にない大流行 妊婦は特に注意
2013年3月12日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/health/CK2013031202000140.html

関東地方を中心に、風疹(ふうしん)が流行している。特に妊娠初期の女性が感染すると、胎児が「先天性風疹症候群」になる場合があり、注意が必要だ。妊婦はワクチンを接種できないため、厚生労働省は家族などがワクチンを接種するよう呼び掛けている。 (稲熊美樹)・・・

 最も心配なのは、妊娠中の女性が感染した場合の胎児への影響だ。中枢神経障害のほか、心疾患、白内障や緑内障といった先天性風疹症候群になる可能性がある。昨年は五人、今年も一人報告されている。難聴は母体が感染したときに妊娠一カ月だと、発生率が八割以上になる。妊娠四カ月でも五割ほど。ただ、妊娠五カ月ごろになると、いずれの障害も発生率はゼロに近くなる。


 ググッてみると、NHKのニュースでも類似の内容が2月に取り上げられていたようだ。「NHK生活情報ブログ」から、

妊婦が風疹 赤ちゃんに障害
2013年02月01日 (金)
http://www.nhk.or.jp/seikatsu-blog/400/144996.html

去年から続く風疹の大流行が止まりません。こうした中、妊娠初期の女性が風疹になり、生まれた赤ちゃんに障害が出たケースが、相次いで報告されています。流行の現状や対策について、お伝えします。

 しかも、全国で感染者が1名増えただけで何故かニュースになっていたようだ。同じく「NHK生活情報ブログ」から、

先天性風疹症候群 全国7人に
2013年03月16日 (土)
http://www.nhk.or.jp/seikatsu-blog/400/149406.html

風疹が流行するなか、愛知県で、妊娠中に風疹に感染した女性から生まれた赤ちゃんが心臓や目などに障害が出る「先天性風疹症候群」と診断され、去年10月以降、風疹によって障害が出た赤ちゃんは、全国で合わせて7人となりました。


4/16追記:
 8人目についてもわざわざ報道があったようだ。何のためかは分からないが、必死さは感じられる。FNNニュースから、

都内で3月に生まれた赤ちゃん、「先天性風疹症候群」と診断
(04/03 19:09)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00243404.html

 東京都によると、母親が妊娠中に風疹に感染したことが原因で、3月に生まれた赤ちゃんが、目や心臓などに障害が出る「先天性風疹症候群」と診断されていたことがわかった。
 2012年10月以降、母親が風疹にかかった影響で障害が出た赤ちゃんは、全国で8人だという。・・・



(C) コメント

 風疹の流行関係の報道では、通常は次のような感じだろう(これは1週間で感染者数が200人を超えたため大きな扱いになったのであろう。その翌週データ(2/25~3/3)は199人、本日公表された、その翌々週データ(3/4~3/10)は241人)。

風疹患者、5年で最多 1週間で219人、首都圏が過半
2013年3月8日19時32分
http://www.asahi.com/national/update/0308/TKY201303080279.html

【森本未紀】大流行が続く風疹の患者数が、最新の1週間(2月18~24日)で全国で200人を超え、週ごとの感染者数はこの5年で最高になったことが、国立感染症研究所が8日に公表した集計で分かった。患者の7割以上が首都圏で報告されている。流行地域は予防接種率が低かった。・・・

 このような場合は単なる注意喚起の目的の報道とみられ問題ないのだが、違和感が生じるのは、先天性風疹症候群に関し、5人、6人と少ない数字をやたらと強調しているものがある点であろう。先天性奇形自体は一定の割合で出現するものであり(通常なら1000人に1人程度か?)、先天性風疹症候群をことさらに強調する理由はあまりないように感じられる。

 似たような違和感を感じる人もいるようで、ツイッターでみかけたものだと、

わくわく原子力博士@wkwknpdr
NHKニュース 東京の風疹患者 去年1年間を上回る「妊娠中の女性が感染すると赤ちゃんに障害が出るおそれがある『風疹』」なぜかいつもこの枕詞ではじまるのお。 http://www3.nhk.or.jp/news/html/2013313/k10013182931000.html
2013年3月13日 - 16:58


 ヒロシマ・ナガサキで先天性奇形が増加した点については、例えば、ブログ『「広島の視線 」原爆・ヒロシマ・平和公園・ガイド・花・英語』から、

広島の助産婦の証言 ー 原爆による奇形
2012/10/7(日)
http://blogs.yahoo.co.jp/mitokosei/30256009.html

 ツイッターからだと、

@okanori75  13 Mar
林解剖による長崎の胎児・新生児の奇形割合(年次別) 【1949年9月~1950年】→被爆群22.1%、非被爆群8.9% 【1951年】→被爆群 24.1%、非被爆群16.1% 【1952年】→被爆群17.7%、非被爆群14.6% 【1953年】→被爆群13.6%、非被爆群5.2%

@okanori75
被爆者の胎児・新生児を解剖した林一郎と岡本直正。当時900体近くを解剖した彼らも、無脳症については特に印象深かったらしい。林は無脳症に特徴的にみられた内分泌腺の変化に着目、後にその研究の第1人者となる。(岡本による無脳症の記述。英文)  https://twitter.com/okanori75/status/313638383358447616/photo/1
2013年3月18日 - 6:09

@onodekita
無脳児が増えてくるのは3年後くらいから。フクシマはずっと出し続けているから、増えだしたらピークを迎えないままいくらでも増えると思われる
posted at 21:06:24 of 2013/3/18


 最近の風疹の流行の原因については、以前の記事
「コルチゾール過剰症候群」とステロイド剤の副作用 (7-3)  2012/8/29
でも指摘しているように●の影響のせいだと思われる。しかし、東南アジアから輸入された流行との報道もみかける。「NEWSポストセブン」の記事から、

風疹 首都圏の患者数は昨年の30倍で20~40代男性が圧倒的
2013.03.10 07:00
http://www.news-postseven.com/archives/20130310_175092.html

かつて数年に一度大流行を起こしていた風疹は、1994年の予防接種法の改正で、男女幼児のワクチン接種が定期(無料)になり、罹患数が激減した。しかし2011年以降、患者が増えている。その理由としてベトナムなど東南アジアでの風疹の流行が、日本に入ってきたのではないかと考えられている。 (強調は引用者)

 東南アジアとの人の往来は従来からあるわけで、最近は景気も悪く往来が急増したとも考えられず、仮に東南アジア由来のウイルスが流行しているとしても、何か別の原因があると考えるべきであろう。


4/16追記:
 上記の説の出所は国立感染症研究所らしい。組織の名称に恥じないよう、「拡大してしまっている」などと言わずに何故拡大したのかを調べないといけないだろう。FNNニュースから、

風疹の流行について、専門家に聞きました。
(04/14 18:31)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00244101.html

 流行の原因は、どこにあるのか。
 国立感染症研究所感染症疫学センターの多屋馨子室長は「2011年ごろに、海外で流行していた風疹ウイルスが、たぶん日本に持ち込まれて、拡大してしまっているという状況だと思います。予防接種法の制度の変遷っていうのがありましたので、それによって、(ワクチンを)受けている方、受けていない方がいらっしゃるということになります」と話した。



 風疹の流行自体が問題といえば問題なのだが、前回2004年の流行では推定で約3.9万人の患者が出たらしいので、現状はまだまだ想定の範囲内で制御可能な状況にあると考えられる。読売新聞の記事から、

パパになる前に予防接種を…風疹流行の兆し
3月21日(木)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130321-00000688-yom-sci

 厚労省によると、風疹の患者は昨年後半から増え始め、この3週間は毎週200人以上が報告されている。都道府県別では今月10日現在、東京が755人、神奈川205人、千葉139人、埼玉132人など、首都圏を中心に流行の兆しをみせており、同省は「推定で約3・9万人の患者が出た2004年以来の流行になる恐れもある」としている。・・・


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