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大衆の誤認誘導報道の疑わしい例 (4) ツバメの減少

2012年11月29日 |  誤認誘導の疑い

 短く手抜きで。動植物は余り扱わないつもりだったけど・・・

(A) 該当する大衆の誤認誘導効果を有する報道の類型

 以前の記事で(ココ)、「ある病気の従来からの増加傾向をことさらに強調して報道するパターン」に触れたけど、このパターンの類似型で、

ある事象の従来からの減少傾向をことさらに強調して報道するパターン

についてである。今回は、病気についてはないので、「事象」と変更してみた。


(B) 疑わしい報道

 共同通信の記事を東京新聞のサイトから、

「ツバメ減少」4割が実感 野鳥の会調査に市民
2012年11月28日 18時19分
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012112801001322.html (*1)

 日本野鳥の会は28日、全国の市民にツバメの生息について尋ねた結果、分布は従来とほぼ同じだったが、この10年で数が減ったとの回答が約4割あり、減少傾向が示唆されたと発表した。

 ツバメを襲うカラスの増加や、環境の変化が原因とみられ、同会は「カラスは人間が出すごみを餌にして都市部で増えているとされる。人の生活がツバメの減少に関係している可能性がある」としている。・・・ (強調は引用者)


(C) コメント

 上記の記事は、調査を実施した「日本野鳥の会」のサイトをみると、プレスリリースがあり、その要点をまとめたもののようだ。

日本野鳥の会のツバメ全国調査2012 結果報告
プレスリリース 2012.11.28
http://www.wbsj.org/press/121128.html (*2)


 3.11後に鳥類に異変があるのではないか、という指摘はよくみかける。例えば、ツバメの場合だと、「つりきち三平のブログ」から、

放射能汚染地帯ではツバメ減少中?
2012-07-04
http://ameblo.jp/turikiti-3pay/entry-11294341151.html (*3)

今年、ツバメを見ましたか?

千葉県成田周辺では、ほとんど姿を見せなくなりました。
まったくいないわけではないのですが、かなり減少しているように感じます。・・・


 従って、このような点をきちんと調査するなら、3.11前後での状況を比較して調べなければならないだろう。しかし、上記の調査結果の詳細をみると、3.11前後での変化が読み取れないような設問をして調査していたようだ。日本野鳥の会のサイトから、

消えゆくツバメをまもろうキャンペーン
「日本野鳥の会のツバメ全国調査2012 結果報告」詳細
http://www.wbsj.org/nature/research/tsubame/result2012_tsubame.html (*4)

2.調査結果
 ・・・
(2)ツバメの生息数について

 繁殖期の分布は大きな変化は見られませんでしたが、「最近(10年間)ツバメは増えた?減った?」の設問に対しては、回答者のうち39%が、ここ10年間でツバメが少なくなってきていると感じていることが明らかになりました(図4)。・・・ (強調は引用者)


 さすが、日本野鳥の会。次のような指摘を受けるだけのことはある。設問に手心を加えたと疑われても仕方がないだろう。ブログ「院長の独り言」から、

重い腰を上げた日本野鳥の会だが・・・法人会員には原発マネー企業がずらり
2012年05月11日
http://onodekita.sblo.jp/article/55776803.html (*5)


 ただ、日本野鳥の会も、後ろめたいと感じているのかもしれない。上記プレスリリースの方には、原発事故には全く言及がないが、上記の結果詳細の終わりの方に、一応次の説明がなされている。*4のURLの記事から、
 
2.調査結果
 ・・・
(5)経過報告:放射性物質の影響調査

 チェルノブイリ原発事故では、ツバメに部分白化や尾羽の異常が生じたことが報告されているため、当会では主に支部会員に呼びかけ、情報を集めました。その結果、ツバメの部分白化については全国平均で5.7%、尾羽の異常は3.1%の割合で発生していました。一方、福島では、部分白化の発生率が6.5%、尾羽の異常が0%。隣接する宮城県でも部分白化の発生率が6.5%、尾羽の異常が3.2%で有意に高くなる傾向は初年度の調査では、特には見られませんでした。

 しかし、2012年7月に、宮城県内で尾羽に異常のあるツバメが複数いるとの報告が寄せられ、巣立ち後の巣を持ち帰り汚染の有無を調べたところ、5巣中 2巣から、それぞれ7,200、6,700ベクレル/kgと比較的高濃度の放射性物質が検出されました。今後ツバメの被曝の有無や繁殖率などについても地域を絞って継続的な調査をする必要があると考えています。

 最終的に、継続調査をする必要があるとまとめている。設問の立て方が悪すぎて資産を無駄遣いしようとしているのではないかと個人的には感じられるが・・・


 なお、中には、調査結果の詳細まで読んで、この点を記事に盛り込んでいた記者もいたようだ。読むならこういう記事にあたりたいものだが・・・

ツバメ:全国規模で減少か 過去10年間に…野鳥の会調査
毎日新聞 2012年11月28日 21時16分(最終更新 11月29日 05時28分)
http://mainichi.jp/select/news/20121129k0000m040095000c.html (*6)

 ・・・
 このほか、チェルノブイリ原発事故後、繁殖率低下などが報告されているため、東京電力福島第1原発事故による放射性物質の影響も調べた。福島、宮城両県と全国平均で異常の発生率に差はなかったが、立ち入りが制限されている警戒区域などが含まれていないため、精査が必要という。【比嘉洋】

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