和泉市職員労働組合blog~地域住民と働くなかまの幸せを願って~

第54回自治体学校in浜松に参加して(1)

少し古い話になりますが、第54回自治体学校in浜松が7月21日~23日で開催され、参加してきた報告です。

目先の課題にとらわれがちな日常の中で、大きな視点で情勢の勘所や地方自治の政策や発展方向を学びたいとの思いで毎年参加させていただいています。

今年の自治体学校のテーマは「みんなでつくるホンモノの地方自治」。

学校長の中嶋信徳島大学名誉教授は、フランスの詩人ルイ・アラゴンの「教えるとは希望を語ること。学ぶとは誠実を胸に刻むこと」の詩を紹介しながら、自治体学校で「希望を語り、誠実を胸に刻み、ホンモノの地方自治をつくる力を磨こう」と呼びかけられました。

 

ホンモノの地方自治を探求するパネラー

初日、全体会の最初はパネル討論。最初は浜松市職員組合の学校給食調理員・宮下さん。浜松市の学校給食が合併の影響で直営、センター、民間委託とさまざまな形態で行われている実態のもとで、子どもたちの発達に重要な給食のあり方や調理員の役割について語られ、たいへんな職場実態のもとでも、「学校給食まつり」を地域で開催し、直営給食を守りたいとの思いが語られました。

2人目は、東京・大田区役所で生活保護面接員をつとめる渡辺さん。テレビタレントの母親が生活保護を受けていた報道をきっかけに生活保護バッシングが強まっているが、窓口で接する市民はマスコミ報道とは違い生活保護をできれば受けたくないが、受けなければホームレスになりそうな生活苦の人がほとんどであること。札幌市の姉妹の病死・餓死事件の調査活動に参加したことにも触れて、住民の命を守る砦としての福祉事務所の現場から住民と共同して生活保護バッシングや自己責任論をはねかえしていく決意が語られました。3人目は、愛知県商団連の服部さん。地元の稲沢市で繊維産業の撤退や大型商業店の進出に何の規制もかけない中で商店街が崩壊し、個人商店の廃業が止まらないと実情を訴え。「残った人と手を携えて第1次~3次産業かけあわせた6次産業で調和のとれた地域社会をつくっていきたい」と語り、そのためにも自治体と公務労働の役割発揮してほしい。県に働きかけて中小企業振興条例づくりの運動や自ら仕事の回しあいネットワークづくりをすすめていること、県の姿勢にも富士山型から八ヶ岳型への政策を職員が考えるなど変化が出てきたことを話されました。

最後は、ふくしま復興共同センターの小川さん。「大飯原発再稼働を福島県民を見捨てたに等しい、新たな安全神話で安全対策を取らない再稼働は許せない」と政府の姿勢を強く批判。福島県民の実情にふれ、原発事故の中であらためて自治体の役割がうきぼりになったことを強調。汚染地域でも住民の立場にたった復興政策が必要、神戸であったような復興災害が繰り返されてはならないと訴え、汚染も再生エネルギーも何でもゼネコンに丸投げするのではなく、自治のレベルで住民と一緒に学びながら解決していくことが重要と指摘されました。

自治体の置かれている実相とホンモノの地方自治への探求をつづけるパネリストの姿勢に学ぶことがいっぱいでした。

住民自治と基礎自治体の重要な役割

川瀬憲子静岡大学教授の総括講演「『分権改革』と地方財政-住民自治と福祉社会の展望」では、

 分権改革の流れを俯瞰した後、市町村合併と自治体財政への影響を静岡市を例に明らかにし、合併しても大型再開発など借金は逆に膨らみ、一方で人件費や住民サービスが削られ、国保料などの負担は増えていること。とりわけ合併周辺地域の旧市町村では「サービスは低い方に、負担は高い方に」あわせられていることをわかりやすく示され、小さくても輝く自治体に学んで、「広域行政」ではなく地域のセーフティネットを守る住民自治と基礎自治体の役割が重要であるとまとめられました。

(M・A)

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「まちづくり」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事