教育史研究と邦楽作曲の生活

一人の教育学者(日本教育史専門)が日々の動向と思索をつづる、個人的 な表現の場

学校教育改革・教師の働き方改革のビジョン(粗々の私案) (2)

2022年02月12日 22時30分00秒 | 教育研究メモ
 昨日の記事が爆発的に反応があったので、続きで補足。
 授業時間20時間以内とは多めに見積もった。また、そんなに実現のうえで非現実的な数字ではない。
 TALIS2018によると、日本の教師の週平均授業時間は、小学校で23.0時間、18.0時間であった。私が問題にするのは、これが平均時間数であり、多い先生と少ない先生がいるということである。全ての教師について、20時間以上増やしてはいけない、という意味でとらえてほしい。小学校では、平均が目標値を超えているので、全ての教師の授業時間を減らさなければならないだろう。中学校では平均が目標値を下回っているので、多い先生に焦点を当てて重点的にその時間数を改善する必要がある。なお、20時間以内という目標値は暫定的な数値であり、今後の研究と合意形成によってより適切な数値を定めていくべきだ。
 むしろそれ以上に重要な論点は、授業時間外の20時間をどう使うかというところにある。部活動や補習などの「教師でなくてもできること」に使うのではなく、授業改善やカリキュラム開発、学校経営などの「教師だからこそすべきこと」に使う必要がある。勤務時間の半分を、授業の効果を高め、学校教育の効果を高めるための時間として使っていくべきだという考えが基礎にある。
 最後に、もっとも重要なのは、高めるべき教育の効果は何のためのものか、という論点である。教師の働き方改革は、教師の多忙化解消を結果しないといけないが、それが目的になると話がややこしくなる。コミュニティスクール制度は、ガバナンス確立という側面はあるが、それが目的になると学校教育の役割を果たすことが二の次になりかねない。あくまで子どもたち一人一人の学習保障のために、働き方改革も学校改革も進めるというところに、目的を一貫させることが大事である。
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