◆泰山で行われた秘儀
皇帝即位の2年後(紀元前219)に始皇帝は封禅と呼ばれる儀式を執り行った。
封禅とは、中国古代の祭祀の一つである。天命を受けて天下を治める皇帝が、中国随一の霊山と崇められて来た山東省の泰山に於いて天と地を祀り、国家の永続を祈念する儀式である。
春秋時代の覇者となった斉の桓公は封禅を行おうとしたが、宰相の管仲により戒められたと云う伝承が残っている。
つまり、封禅とは、天命を授かった王者のみが行える伝承の儀式だったのである。
始皇帝は多くの儒学者を集め、どの様に封禅の儀を執り行うべきかの意見を求めた。
しかし、名のみ伝わり、実際に行われたのを見た者は誰一人いなかったので、儒学者の意見は中々一致しなかった。
業を煮やした始皇帝は、南麓より泰山の山頂を目指し出発した。
そして山頂に壇を設えて天を祀り、石に始皇帝の徳を称えた文章を刻み付けた。
「泰山刻石」である。
それを終えると今度は北側に下山し、地を祀る儀式を挙行した。
祭祀の細かな形式に定説はなく、誰も分からなかったので、秦国の雍城で古来執り行われていた上帝の祭祀に倣って、祭祀の体裁を整えたと言う。
伝説の時代には72人の帝王がこの儀式を行ったと伝えられているが、伝承であった泰山封禅の儀を実際初めて行ったのが始皇帝だとされる。
その後、前漢の武帝など十数人がこの儀式を行ったことが伝えられている。
画像
泰山の南門天の階段。
旧角度の傾斜は70度~80度もある。
当時は当然階段などなく、始皇帝はこの峻険を登って封禅を
行なったのだ
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