太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

黄色い外壁の家

2013-05-28 20:03:46 | 人生で出会った人々
変わってるなあと思う人には何人も会ってきたが(この際自分のことは置いといて)

ダントツの位置にいる人は、今も変わらずダントツのままだ。

前の職場にいた人の奥さんで、Yさんとしよう。

携帯電話など、ほんの限られた人しか持っていなかった時代だ。

夕方近く、会社にYさんから電話がかかってくる。

旦那を出せという。

出先にいるので、ポケベル(懐かしい!!)で呼び出さなければならないというと、

「今すぐに帰ってくるように言って。大根が、最ッ高によく煮えたから、今すぐ」

子猫を拾ったからすぐに帰って来い、というのもあった。



生保の営業をやれば好成績だというし、

普通の学校を出て、普通の家庭に育って、詩の同好会に入っている。

おしゃれで、美人だ。



旦那さんは、徹底的に妻にコントロールされており、

夜中に子供にミルクをあげるときに、自分だけ寝ているのはズルイといって

朝が早い夫を、毎回無理やり起こすだとか、

私たちは毎日披露される家庭内事情を聞いて同情したものだ。

「でも、略奪婚でしょ?」

誰かが言った。そうなのだ。彼はYさんが好きで、結婚していたYさんを略奪したのだった。



ある時、Yさんの旦那さんが、うっかり結婚指輪をなくしてしまったときの彼の狼狽ぶりはすごかった。

妻に知られれば殺されると、仕事も手につかないほどあわてていて、

結局、親にお金を借りて、同じものをこっそりと買った。





Yさんの旦那さんは、2年後に会社を辞めた。

Yさんには『夫を年収1000万にする計画』なるものがあり、

その計画によれば、この会社の次に行くところも決まっていて、さらにその次も決まっているらしい。



彼らの消息もわからなくなった頃、

私の友人の、そのまた友人が、最近越してきた隣家の奥さんに困っている、という話を聞いた。

まだ挨拶ぐらいしかしていないのに、突然観葉植物をわんさと抱えてやってきて

数日家をあけるので、庭木と観葉植物に水をやってくれという。

そして、この木は午前中はカーテン越しの光に当てて、これはこうで、あれはこう、

と細かく細かく説明したあと、じゃあよろしく、と言って去った。

頼まれたほうは釈然としないまま、それでも何とかできるだけ努力した。

果たして戻ってきた隣家の奥さんは、水のあげ過ぎだと文句を言い、お礼もそこそこに帰ってしまった。


最初、私は「ふーん、大変だねー」と聞いていたのだが、

その隣家の家の壁が目にしみるような真黄色で・・・というろころで ハタ! と気づいた。

Yさん夫婦が、目にしみるような黄色い外壁の家を買ったと聞いたことがあったからだ。

場所を友人に確かめると、まさにそうであった。


庭木の件、あのYさんなら、さもありなん・・・



Yさんは自分に正直で、悪い人ではない。

ただちょっと、周りに対する想像力に欠けているだけで。



相手が誰でも、どこであっても、YさんはYさんでいられることは

すごいことだと思う。

Yさんが生協のサークル活動をしていたときに、

きれいな格好ばかりしていく私を妬んで、サークルの仲間が私に冷たい、と言っていたことがあった。

それは間違いなく、Yさんの言動行動が理由で避けられているのだと断言できるが、

それを妬まれている、と思うあたりが羨ましいではないか。

自分の何が悪いのだろうと落ち込み、好かれようとジタバタしたくなる私には羨ましい。





今日、車で走っていたら、目にしみるような黄色い外壁の家を見つけた。

Yさんは今、どうしているだろう。








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2 コメント

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Unknown (ひなた)
2013-05-31 15:43:52
今私の職場には個性的で変わった人ばかりなので
どんな人がいてもあまりおどろかないけど
これは強烈だわ!

旦那様も苦しいだろうなぁと思うけど
はたでみているよりは幸せなのかもしれないし
分かんないもんだよね

黄色いお家を買えたってことは年収1千万円計画
達成されたのかもしれないねぇ

ひなたちゃん (シロ)
2013-05-31 15:54:34
こんな強烈でも、略奪してまでも一緒になりたい人がいるんだからねー。
旦那さんは幸せなのかもしれないね。

今思い出したけど、Yさんのお母さんが、まるっきり同じタイプだった。
ということは、彼女の娘も?

ブルドーザーでわが道を行くっていうの、逞しいわ・・・

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