太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

涙腺

2018-04-14 20:31:29 | 日記
涙腺が、ヤバイことになっている。

職場に、ミドルエイジの人がその親とともに来て、そのやりとりを見ただけで

胸に熱いものがこみあげてくる。

それが日本人であったら、なおさらである。

「おかあさん、これ見て。これなんか○○さんにいいんじゃない?」

「どれどれ、ああ、そうだねえ、これにしようか」

いいなあ、母親と旅行して買い物なんて、いいなあ。

もっと母と一緒に過ごせばよかったと、今になって思う。



って、母はまだ生きてるけども。



日本にいたとき、実家まで車で1時間余のところに住んでいた。

たった1時間のところにいたのに、なぜもっとたくさんの時間を両親と過ごさなかったのだろう。

母の手料理を、なぜもっと食べておかなかったのだろう。



先日、父が家の中で転んで、大腿骨を骨折し、入院した。

血液をさらさらにする薬を飲んでいたので、手術まで10日以上待たねばならない。

手術したら数週間は病院にいて、そのあとはリハビリ病院に行くというのだけれど、

父の年齢を考えたら、もう自分で歩くことができないかもしれない。

母は、ゆっくりだけれど自分で歩く。

けれど病気で、得意だった洋裁はむろん無理だし、簡単な料理しかできない。

両親が年をとってゆくことはわかっていたのに、私は何もわかっちゃいなかった。

祖父母をみてきたから知っているつもりだったのに、私の両親にはそれは起こらないと、

私はどこかで高をくくっていた。



「もうハワイには行けないなあ」

3月に日本に行った時、父がぽつりとそう言った。

その時はまだ骨折はしていなかったが、20分も歩くと腰に力が入らなくなっていた。

それでも、あのとき日本に行っておいてよかった。

両親を連れて桜を見に行けたし、父は元気に歩いてお蕎麦屋にも行った。

妹が父を検診に連れていった間に、母と一緒にランチを食べに行った。

元気だったころは夫婦で毎週、繁華街に出かけていたものだ。

ランチのあと、デパートで洋服やバッグなどを少し見て、母は楽しそうだった。

近くにいたら、もっと頻繁にこうして母を連れ出すことができるのに。

今は、なるべく母に電話をする。

洋服が好きなのに、もう買い物にも行けなくなった母に、似合いそうな洋服を送る。

そんなことしか、できない。

どんなに心を尽くしても、もっとああすればよかった、と思うものだと人は言う。

それを私は、できるのに、じゅうぶんにしなかったのだから、悔やんでもそれは自業自得だろう。





日本からみえた、母より若いご婦人が、お金が入っている封筒を取り出した。

どこにでもある茶封筒の裏側に鉛筆で

『楽しい旅行をしてきてくださいね』

と書かれているのを見たら、いきなり涙腺崩壊して、それをごまかすのに困った。

この人が、ほんとうに楽しい時間を過ごせますように。











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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Bijouka)
2018-04-16 05:13:59
しろちゃん、まだまだ親孝行たくさんたくさんしてあげてね
お父さまもお母さまも大変そうだけれど
しろちゃんがとってもとっても羨ましいです
私は今月頭に突然母をなくし帰国し
今再びこちらへ戻った所です
bijoukaちゃん (シロ)
2018-04-16 07:04:17
あぁ、bijoukaちゃん、そうだったのね・・
驚いたね、悲しかったね、寂しかったね、そして近くにいられない自分が、悔しかったね。

コメントを読んだだけで、また泣けてきたよ。
生きていてくれることが、どんなにありがたいか。

私たちが選んだ生き方には、こういうどうしようもなく悲しい感情もくっついてくるんだよね。

おかあさまのご冥福を心よりお祈りします。


Unknown (Bijouka)
2018-04-17 05:07:47
私こそお返事読んで再び涙が。
シロちゃん どうもありがとう
bijoukaちゃん (シロ)
2018-04-20 02:46:40
わーん
大きなハグを送るよーーーー

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