ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

私の「三種の神器」

2009年07月04日 | 社会福祉士
 天皇家が継承している三種の神器は、鏡、剣、玉であるが、私の三種の神器は、財布、手帳、フラッシュ・メモリーである。

 私は、毎朝家を出かける時、また大学から帰る時に、最後にもう一度確認するものが、三種の神器を鞄に入れたかどうかである。この内のどれかを大学なり自宅に置いてしまった場合には、翌日はパニック状態になる。それほど重要な物であり、本当に無くなってしまえば、数日間は鬱状態に陥ることは間違いない。

 先日も、2回も3種の神器で大失態をした。どちらも自宅を出る時に、忙しく、三種の神器を確認することなく、出かけてしまった。

 最初の事件は、手帳が鞄に入っていないことに、自宅を出て大学に到着して分かった。そこで、直ぐに自宅に電話をしたが、妻は机の上にもどこにもないという。そこで、パニック状態となり、前日東京に出張していたため、新幹線の新大阪駅、博多駅の忘れ物係、当日会議を行った会場、会場に行く時使ったタクシー、また会場から東京駅まで乗ったタクシーに電話をかけまくった。この時のために、私は必ずタクシーの領収書を貰うことを習慣にしている。

 どこも無いということで、明日の予定も分からず、どう生きていけばよいのかということで、打つ手もなく、自失呆然としていた。ただ、再確認のため、自宅に電話をかけ、妻に再度探してもらうと、「新聞の下」にあったとのことが分かり、ほっとした。但し、その日は、授業をやっていても手帳のことが気になり、熱の入って話しができず、頭に手帳のことばかりが浮かんで困ったことがあった。

 もう一回は、自宅から大阪市内で開かれる編集委員会や理事会に出席し、その後、横浜で開かれる日本ケアマネジメント学会に出かける日のことであった。その日は朝にバタバタしており、近鉄特急に特急券を買うことなく、飛び乗った。私は、近鉄やイコカ(JRや地下鉄)のチケットはいつも胸ポケットに入れているが、それ以外は全て財布で生活している。

 車掌さんに、「特急券を下さい」という時までは良かったが、鞄から財布を出そうと思ったら、財布が入っていないことが分かった。いずれにしても、携帯で妻に尋ねたら、今回は、置いてあるとのことで安心はしたが、これから東京までどのように行こうか思案に明け暮れた。同時に、私はほとんどの買い物の支払いはカードであり、そのカードさえあればという気持ちであった。

 まずは、特急代金の870円が払えない。ところが、この車掌さんは、「いつもご利用頂いている方ですから、今回は結構です。最寄りの駅で、いつか払って下さい。」との言葉を頂戴し、ほっとした。次は、地下鉄であるが、これは胸ポケットに入れてあるイコカで対応できた。編集委員会ではまだお金は一切なく、昼からの理事会は、昼食が出て、一万円弱の交通費をいただいた。このお金で東京まで行けるのか不安で一杯であったが、伊丹までの空港バス代が610円であり、ここではタクシーは乗りたくても乗れない。

 伊丹の飛行場では、既にチケットレスでチケットは買っていたが、ビザカードもANAカードももっていなく、乗せてくれないのではということが心配であった。カウンターで、ANAのID番号を言うと、直ぐにチケットを作ってくれて、ついに羽田までは到着した。

 ここから、空港バスで横浜駅に行ったが、500円程度であった。ここから、「ミナト未来」までは、残金は僅かであるが、タクシーを使ったが、これもワンメーター程度で済んだ。そこでの理事会が終わると、無料の懇親会があるということで、美味しい食事を鱈腹頂き、またワンメーター程のホテルに到着した。

 ホテルは3泊とっていたが、明日の朝に、財布が宅急便で届くことを伝え、明日まで支払いを待っていただくことをお願いした。やっと、自宅から、一銭ももたず、横浜まで来れたことにホッとした。翌日の朝9時過ぎには、妻が送ってくれた財布が到着していた。

 年のせいか、こんな失態を繰り返しているが、「三種の神器」を常に確認することで、こんな失敗は三度としたくないと思っている。また、リスク管理の観点から、財布とカードの分散、コンピュータデータのフラッシュ・メモリーと本体での二重管理、紙ベースの手帳と携帯電話の二重のスケジュール管理といったことをすれば、リスク管理にはなるが、煩わしいこと限りない。同時に、「五種の神器」となり、自宅を出る時や大学から帰宅する時の確認が3から5になり、かえって煩雑になる可能性もある。

ケアマネジメントとソーシャルワークの関係26コミュニティ・ソーシャルワーカーのネットワーク調査(6)

2009年07月03日 | 社会福祉士
Ⅱ.専門職ネットワーク

1.専門職ネットワークを構築する【他専門職種間との関係作り】

 CSWは【他専門職種間との関係作り】により、地域における様々な課題に包括的に対応する専門職ネットワークの構築を図っていた。【他専門職間との関係作り】は<他専門職との業務を通じた関係づくり>、<必要な専門職種についての気づき>、<個別ケースを通した他専門職との関係づくり>という3つからなり、様々な業務における他専門職との連携を通した関係構築であり、専門職ネットワークの基礎となる活動である。

 <他専門職との業務を通じた関係作り>は、様々な専門職が業務に取り組むにあたり、それぞれの業務に精通している他専門職と連携を取ることによる専門職間での関係作りであると考えられた。この関係作りにおいて重要となるのが、一方的に他専門職種からの援助を享受するのではなく、関わる専門職がお互いに助け合う関係作りをするということである。各CSWはそれぞれ所属している機関が異なるため、専門としている分野も異なってくる。そこで、あまり馴染んでいない分野についての制度や情報について他専門職と協働で研修会を開くことにより様々な分野の情報を得ることが出来る。あるいはCSWはそれぞれの地域に精通しているため、他専門職に対してそれらの地域についての情報を提供していた。このようにそれぞれが互いに支え合う関係づくりが専門職間で行われていた。

 <個別ケースを通した他専門職との関係づくり>は、CSWが地域の個別支援に取り組む中で、各個別ケースにおいて連携をとった他専門職間での関係づくりであると考えられた。これは上記の<他専門職種との業務を通じた関係づくり>と類似しているが、とりわけ個別ケース支援という状況下で連携による関係づくりを示している。CSWはその職種上“各制度の狭間”にあるケースへの支援に取り組む場合が多く、そのため個別支援では様々な制度の専門職と協働して取り組む必要がある。この個別支援における他専門職との協働を通して、様々な専門職との関係づくりが行われる。

 <必要な専門職種についての気づき>は、個別ケース支援の中で、地域住民を支援していくために必要となる他専門職種への気づきであると考えられた。CSWがあまり専門分野としていない事が多い多重債務者や精神障害者といった個別ケースへの支援を通して、司法書士や行政書士、またPSWといったそれぞれの分野の専門職種との関係づくりの必要性に気づき、そのような気づきから上記のような<他専門職との業務を通じた関係づくり>や<個別ケースを通した他専門職との関係づくり>に取り組むことになる。

 このような関係づくりを基礎として、各地域課題への対応を目的とした様々な専門職ネットワークが構築されていた。このような専門職ネットワークに関してはインタビューを受けたほとんどのCSWが関わっていた。これは、あるCSWが『その人たち(各専門職)は全員やらなあかん人たちばっかりやから、いつでもしようと思ったら、サッと手を組めるんですよ。多少力量の差はあるけど。…関係機関のネットワークなんていつでも、いつでも電話1本ですぐにできるわけやから。』と述べていることからも、住民主体ネットワークに対してネットワーク構築が比較的容易であると考えられた。

 また地域には多様な専門職ネットワークが多数存在している。それらの専門職ネットワークが持っている情報を、それぞれの専門職ネットワークが地域全体の課題として共有して協働していくために<専門職ネットワークの統括>が行われていた。この<専門職ネットワークの統括>は、それぞれの専門職ネットワークによって持ち上げられた地域課題を全体化し、普遍化していくためのネットワーク、つまり地域全体を網羅する専門職全体ネットワークの構築であると考えられた。

 小括

 これらをまとめると、CSWはまず【他専門職との関係づくり】を行う中で、個別の専門職ネットワークを構築し、その後地域全体を網羅する専門職全体ネットワークを構築するために、それぞれの<専門職ネットワークの統括>に取り組むことになる。このような一連のプロセスを経て、地域における様々な課題に対応する専門職ネットワークと、それらのネットワークによって発見された地域課題に対して包括的に対応する支援システムとしての専門職全体ネットワークが構築される。しかしこの専門職全体ネットワークについては多くのCSWが必要性は感じているものの、ほとんどのCSWが構築に向けて取り組んでいる最中、もしくはまだ取り組めておらず、専門職ネットワークにおける今後の課題となっている。

ケアマネジメントとソーシャルワークの関係25コミュニティ・ソーシャルワーカーのネットワーク調査(5)

2009年07月02日 | 社会福祉士
4.住民主体ネットワークによる影響

 上記のようなプロセスを経て確立された住民主体ネットワークは、【地域の福祉力の強化】という影響をもたらしていた。【地域の福祉力の強化】は、<住民主体ネットワークによる要援護者の早期発見>、<ネットワーク活動による繋がり強化>という2つからなり、確立された住民主体ネットワークが地域にもたらす影響である。

 <住民主体ネットワークによる要援護者の早期発見>は、住民主体ネットワークが地域に存在することにより、地域に隠れてしまっている要援護者を早期に発見するという、まさに住民主体ネットワークが期待されている目的であると考えられた。要援護者の発見が遅れてしまった場合においては非常に支援が困難になってしまう可能性が高い。そのため要援護者の早期発見の重要性が指摘されているが、専門職が地域に隠れている要援護者を発見することは非常に困難である。住民主体ネットワークは、地域の隠れた要援護者の早期発見という地域の重要課題に効果的であることが示された。

 <ネットワーク活動による繋がり強化>は、ネットワーク活動に住民が参加を通した地域住民同士の繋がり強化という、ネットワークによる影響と考えられた。これは<地域住民同士の繋がり形成支援(29)>においても述べた通り希薄化している地域の繋がりを強める、というまさにネットワークが期待されている効果の一つである。

 住民ネットワークには様々な目的や役割が期待されているが、本分析において明らかになった住民主体ネットワークの影響にはそれらの目的や役割に一定の効果があることが示された。


5.住民主体ネットワークの促進・阻害要因

 CSWがネットワーキングを行う上で様々な【促進・阻害要因】が示された。【促進・阻害要因】は<所属機関の利点>、<ネットワーキングを左右する地域特性>、<ネットワークをリセットする人事異動>という3つからなる。

 <所属機関の利点>は、それぞれのCSWが所属している機関の特性を活用することにより、ネットワーキングが行いやすくなると考えられた。所属機関がすでに地域との信頼関係を構築していたり、法人が地域福祉という理念を持っておりCSWの活動に協力的であるなど、ネットワーキングにおいて様々な形で所属機関からの支援を受けていた。

 <ネットワーキングを左右する地域特性>では、それぞれの地域の特性によりネットワーキングが行いやすくもなり、また行いにくくもなると考えられた。

 <ネットワークをリセットする人事異動>は、人事異動によりCSWが変わることにより、また1から地域との関係を作らなければならないため、ネットワーキングにおいて阻害要因になると考えられた。多くのCSWがネットワーキングの長期的な関わりの必要を述べており、その中で人事異動があるとそれまで築き上げてきた地域との信頼関係をまた1から作っていかなければならない。

 このようにネットワーキングには様々な【促進・阻害要因】が存在するが、CSWはそれらの促進要因を活用し、阻害要因に対応しながらネットワーキングを行っていた。


小括

 このようにCSWが行っているネットワーキングは、まず準備段階としての【地域に知ってもらう】、【地域を知る】活動に始まり、そのなかで地域住民との信頼関係を構築していた。その後【ネットワークの啓発】によりネットワークを立ち上げ、ネットワークの初期においては【基本技術】を駆使することによりネットワークを安定させ、ネットワークが安定期に入ってからは【ネットワークの拡充】と【ネットワークの維持】するための支援を行っていた。さらにこのようなプロセスを経てネットワークが確立した後は、それらのネットワークをモデルとして他の地域にネットワークを展開していき、様々な地域においてネットワークを確立するという一連のプロセスが示された。このようなネットワーキングのプロセスには様々な【促進・阻害要因】があり、CSWは促進要因を活用し、また阻害要因に対応しながらネットワーキングを行っていた。

 そのようにして確立されたネットワークは【地域の福祉力の強化】という影響を持っており、期待されている目的に効果があることが示された。


ケアマネジメントとソーシャルワークの関係24コミュニティ・ソーシャルワーカーのネットワーク調査(4)

2009年07月01日 | 社会福祉士
(2)ネットワーク安定期における【ネットワークの拡充】と【ネットワークの維持】

 ネットワークが安定期に入ってからは、CSWは【ネットワークの維持】と【ネットワークの拡充】という活動を行っていた。

 【ネットワークの拡充】は<既存のネットワークを活用した人集め>、<ネットワーク活動の住民へのPR>という2つからなり、安定期に入ったネットワークをさらに広いネットワークにするために人を集める活動である。

 <既存のネットワークを活用した人集め>は、既存のネットワークを活用して、立ち上げたネットワークに新たなメンバーを巻き込みネットワークをさらに広げるための活動であると考えられた。

 <ネットワーク活動の住民へのPR>もネットワークのPRを住民に対して行なうことにより、立ち上げたネットワークを広げるための活動であると考えられた。このようにCSWは新たなメンバーをネットワークに巻き込むために様々な活動を行い、立ち上げたネットワークにさらなる広がりを持たせていた。

 【ネットワークの維持】は<住民ネットワークに対するニーズ発見の啓発>、<地域住民同士の繋がり形成支援>、<地域に関わる人材を長期的な視点で確保するための活動>、<ネットワーク活動のフィードバック>という4つからなり、【ネットワークの拡充】のようにネットワークを広げていくための活動ではなく、現在のネットワークを維持し、ネットワークがより効果的に機能するために行われるネットワークに深みを与えるための支援である。

 <住民ネットワークに対するニーズ発見の啓発>は、ネットワークに参加している住民に対して、地域での課題や、要援護者を発見してもらうために行っている啓発活動であると考えられた。住民ネットワークには様々な目的や効果が期待されているが、このように専門職ではキャッチしづらい地域に隠れている課題や要援護者を発見することもその大きな目的の1つであるといえる。

 <地域住民同士の繋がり形成支援>は、ネットワークに参加している住民同士の相互理解を促進するための支援であると考えられた。地域住民がネットワークの場で知り合い、同じ地域に住む住民としての関係がそこで作られていく。このようなネットワークにより住民同士の繋がりが形成されることは、地域住民の関係の希薄化が指摘されている現状においてまさにネットワークが期待されている効果である。CSWは単にネットワークに人を集めるのではなく、ネットワークに参加している住民同士の相互理解を促進するための支援に取り組んでいた。

 <地域に関わる人材を長期的な視点で確保するための活動>は、将来ネットワークの担い手となる人材を確保するための活動であると考えられた。多くの住民ネットワークにおいて主な担い手となっている住民は60代や70代であり、今後ネットワークを継続させていくために40代50代といった若い世代を巻き込んでいくことが課題となっていた。そこであるCSWは『そこでつながった人は、絶対たぶんあるときにはまた社会に出たりするから切れるときあるんですね。切れたときにまた迎い入れる環境を作れてたらいいんで、出来るときに地域の活動に関わってもらえるような間口をどう見せるかというか、日頃でいうと、知り合っておくですかね』と述べているように、次代を担う人材を確保するために、長期的な視点を持って地域の人々とつながっておくということを重視していた。

 <ネットワーク活動のフィードバック>は、ネットワークがどのようなプロセスを経たのか、またその結果どのような効果が得られたのか、ということをネットワークメンバーが共有するために活動に加わったネットワークメンバーにフィードバックしていく活動である。CSWは何よりもメンバーがネットワークについて共有することを重要視していた。

 このようにCSWはネットワークが安定期に入った後も、【ネットワークの拡充】や【ネットワークの維持】という視点からネットワークに関わっていた。また、それぞれのネットワークが確立した後は、<他地域にネットワークを広げる>という活動に取り組んでいると考えられた。CSWはそれぞれの地域で確立したネットワークをモデルとして、まだネットワークが立ち上がっていない地域においてネットワーク立ち上げることにより、多くの地域にネットワークを展開していくための活動に取り組んでいた。