ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

売れている『ストレングスモデルのケアマネジメント』への追加的意見

2009年07月07日 | 社会福祉士
 私が書いた書籍の売れ具合をアマゾンでチェックしていたら、先般発売になった『ストレングスモデルのケアマネジメント』(ミネルヴァ書房)は、高齢化社会の部門で第1位となっていた。但し、この1位という数字は数時間ごとに変化しており、最大瞬間風速であることもお断りしておきたい。急に、勢力が劣ろえるかもしれない。


 著者としては、多くの人に読んでいただけるわけだから、大変光栄である。

 この著書へのご意見を数人から頂戴している。そこで頂いたご意見について、私の考えを述べておきたい。

 ここでは、この著書でも述べている「医学モデル」と「生活モデル」の関係についての私の考えを述べておきたい。ここで、この議論をする前に、医学モデルと生活モデルの定義が必要である。ただ、これを正確に定義することは難しいため、ここでは、医学モデルは「治すこと」に着目することとし、生活モデルは「生活すること」に着目するという抽象的なものに留めていく。

 意欲、嗜好、能力といったストレングスを捉えることは、「医学モデル」ではなかった。さらに、1970年代に起こってきた「生活モデル」の潮流は、人と環境との関連性に着目し、両者の関係から問題が生じることを示した。その意味では、生活モデルは、原初的な形態から、ストレングスの思想を注入することにより、次の段階に入ってきたといえる。

 その意味では、医学モデルと生活モデルの関係について、医学モデルは現在でも必要不可欠であり、原因を探り、問題を究明し、ひいては治していくことは極めて重要であると認識している。そのため、医学モデルは今後も一層発展させていくことが大事である。

 しかしながら、「治らない」人々や、場合によっては「治ること」よりも「良い生活をすること」に関心を向ける人々が増えてきている。こうした人々に対しては、「生活モデル」での対応が必要となってくる。

 同時に、両方のモデルは同時に対応することになり、一体的な適切な支援ができたり、時には矛盾することが生じたりすることになる。その際に、利用者側の自己決定が大きな意味をもつことになる。

 以上の結果、医学モデルと生活モデルは対立するものではないと言うことを述べておきたい。WHOが2001年に提案したICFでは、医学モデルと社会モデルを対立軸にしており、ICFはそのどちらでもなく、両者を統合したものとの考えを示している。その意味では、医学モデルなり社会モデルがモディファイされて、生活モデルが生まれてきたともいえる。但し、生活モデル自体もストレングスの思想を取り込んで、発展を遂げているといえる。