むらくも

四国の山歩き

黒岩山ー下川峠…愛媛県・高知県

2018-04-18 | 四国の山歩き
黒岩山、下川峠           くろいわやま、しもかわとうげ


山行日               2018年4月16日
標高                1341.7m、おおよそ1330m
登山口               四国中央市富郷町落合
駐車場               なし
トイレ               なし
水場                下川峠から落合方面に下っておおよそ標高950mの沢
メンバー              単独




季節の移ろいは早い。
つい3~4週間ほど前は、山では雪が残り、尾根に噴き上げてくる風は冷たかった。
その後、早春の花たちが次々と咲き、あれよと言う間に桜が咲き、散った。
いまではツツジたちが山間を彩り、クロバイも白い花を木の上を覆うようにして一杯に広げている。
花が好きな人たちは、蜜蜂か熊のようにして、あちこちの山を寸暇を惜しんで飛んだり徘徊したりしている。
忙しいことだ。

山で歩き疲れて帰ってきて、やれフーと大きく息を吐きながら風呂に入ったりしたとき、足や腕にピリピリっときて、そこを見るとひっかき傷や、打撲したりして、赤く腫れたりしていることがよくある。
あるいは翌日になって痛みが出て、見るとオリンピックの1000円記念硬貨ほどの青痣ができてたりする。
特に男は女性に比べて、鈍感にできている。
古来、男は肉を得るための狩人であって、敵から村を護るための戦士なのだ。
少々傷ついたり、咬まれたからといって、いちいち敏感にハヒーなどと反応して、痛がったりしてたのではいけない。
ちょっとたんま、血が出てる、手当せにゃいかんなどといってかまったりしていては、死につながってしまう。
男は、ごめんなさいするわけにはいかない、血が流れていても、肉が削げ落ちても、闘い続けなければならないのだ。

ところがどうだ、なぜか普段の男は、血を見て卒倒する。
手術をして内臓を切り開いている場面などは怖くて顔をそむけてしまうのだ。
女はその点、血など平気で、手術には、ふんふんと頷きながら、しっかり見ている。
このメスオスの違いはどうなんだと不思議に思ったりしている。

というわけで、前回の山歩きでこしらえた打ち身の痣がようやく癒えた頃に、再び山を歩くことにした。
向かう山は、愛媛高知県境にある兵庫山と野地峰の間にある黒岩山だ。
前回に続いて、富郷町落合に車を止めて、林道から黒岩山を直登し、下川峠へ出て落合へ下る。



下川峠はわたしにとって、懐かしい匂いがするところで、5年のブランク、今回で4度目に訪ねることになる。
最近、杜仲茶を飲むようになって、腸のお花畑が改善されたのか、朝から快腸。
毎年ひどく悩まされていた杉・桧花粉アレルギーは、今年はほんの心持目に痒みがある程度で、大した症状は出ずに過ごしている。

裏山で山鳩がクークーと鳴いているが天気はすこぶるいい。
6時自宅出発。
黄砂とPM2.5の影響だろう、すぐ近くの山でさえ霞んで見える。
川之江、伊予三島の製紙工場の煙突から出る白い煙は、真っ直ぐ天に立ちのぼっている。

津根山大橋を渡って、通り過ぎる落合の民家では鮮やかなハナズオウが満開だ。
落合橋を渡って500mほどのところの沢の手前にある広い路肩に車を止めた。
ここから先への林道は住友林業の所有地で、普段はチエーンが張られているが、平日は木材が切り出されており、作業者などが出入りしているため、今日はチェーンが解除されている。
しかし、作業が終わった夕方には再びチェーンが張られロックされるため、車は立ち入ることはできない。

7:35、林道入り口からザックを担いでスタート。


    津根山大橋袂から黒岩山方面を…                    林道入り口

1分ほどで富郷景勝地「雌蛇渕」へ。
ザワザワ流れるツツジの咲く渓を覗き込むと、浅葱色(あさぎいろ)を少し濃くしたような色合いの水を湛えた渕が見えた。

取りつき地点までの道のりは4kmほどある。
後ろから荷を積んだトラックがやってきた。
道の端に避けて、運転席と助手席に乗っている二人に軽く会釈。
1時間弱で林道三叉路に差し掛かる。
渓より上の山一帯は伐採地で、裸地となっている。
直進方向には下山口があるが、右折してさらに進む。


             雄蛇渕                       林道三叉路          

伐採作業が始まっていて、チェーンソーの音と重機の音が重なり合うようにして、山間に響く。
突然、バリバリッと烈しい音がして、渓の上をワイヤーロープに吊るされた木材が山から山へ渡ってゆく。
索道の元へと歩いてゆくと、そこは重機が動き、木材が積まれた集積場、重機はいま刈り出されたばかりの木を鷲掴みにし、いとも簡単にチュワーンという音を残して輪切りにする。

最近の伐採する重機はすごい。
切り出しから、枝打ち、輪切りまで一つの重機でやってしまう。
ジュジュワーン、ウィーン、スパパパーン、チュワーンで一連作業の終わりだ。
一本の煙草を吸っている間に終わってしまう、アッアッだ、実にあっけない。

北西方向にハネズル山と小箱越、二ツ岳と鯛の頭がわずかに霞んで見えている。


             伐採材集積場                    ハネズル山

標高860mから900mにある林道沿いでは、瑞々しい花弁のツツジが丁度見ごろを迎えていた。
標高890m付近で一筋の沢が目に留まった。
傾斜が少し急だが、登れそうだ。
8:50、林道を離れ、岩ゴロの沢に取りつく。


             ツツジ                       取りつき

思ったより急斜面で、木を掴み、休み休みしながら這い上がる。
黒岩山まで直登するか、それとも黒岩山のほんの少し西にある北尾根を登るか戸惑いながら登ったが、9:31、うまい具合に横掛けの作業道に出合った。
左りへの道には何本かの倒木があったが、潜り抜け、支尾根を回り込むようにして谷へと進む。
鹿の鳴き声が響く。


             作業道(右)                      作業道(左)

作業道は谷突き当りで消えていたが、わずかに水の流れる沢を跨ぎ、黒岩山山頂直下へ続く尾根に乗った。
やれやれ、一安心、ザックを下ろして一休み入れることにした。
サイドポケットに入れていた杜仲茶のペットボトルを取り出し、飲む、うまい!
かつて胃の中でピロリ菌を飼っていた身分としては、沢水は飲めないが、山で飲む水などはかわりなくおいしいと感じるものです。

ジッとして座っていると、必ずといっていいほど小鳥がやってきて、梢から梢へと渡り飛ぶのですが、いつも持参している軽いコンパクトカメラでは残念ながらズームが利かず撮れない。
落ち葉の上に座って、眺める樹木の間からは、東北方面に先日登った兵庫山と、その南にある大登岐山らしい山容が垣間見えた。


              谷                         兵庫山方面

再び腰を上げて歩き出す。
ヤマドリがバタバタバターっと10mほど先のヤブから飛び立ち、驚かされる。

笹を敷き詰めたイノシシベッドがあった。
だんだんと足が重くなってきた。
歩きだしがいつもより軽快だったので、こういう日はなぜだか途中で早バテするのがいつものパターンなので、意識的にスローで歩いたつもりなのですが、やっぱりなのでした。

たくさんのブナの木が現れ、雷に打たれたのでしょうか、幹の途中で無くなっているモミの木があった。
山頂にだいぶ近づいたようです。


             ベッド                         ブナ

10:43、黒岩山山頂東の稜線に出た。
5年前と変わらず健在な八方ブナを眺め、黒岩山及び、10:56、その南、高知側にある三等三角点・麻谷山へ寄った。


            八方ブナ                      黒岩山三角点・麻谷山

以前に歩いた三角点から少しヤブ気味の上津川へ下りる踏み跡を確認して、黒岩山へ引き返す。
途中で展望のよいところから、野地峰を眺めた。
反射板が小さく写り込んでいて、左端奥の山合いから東光森山の三角頭がうっすら頭を覗かせている。


                          野地峰                       

ブナの葉芽が大きく膨らんでいた。
八方ブナを右に見ながら尾根を下って、石柱の立った分岐の目印のあるところで前方にヤブ気味の薄い踏み跡があるのを気にしつつ、右の濃い踏み跡を追った。
あっと、思い出した。
いま歩いてるこの踏み跡は、高知側へ下る道だった。
分岐へ引き返してヤブ気味の尾根道へ入る。


            ブナの葉芽                       分岐

ジワリっとヤブが濃くなってくるが、プラスティックの県境杭を確かめながら稜線を追う。
1231mポイントを過ぎた辺りまではまだ歩きよい。
次のおおよそ1260mピークはスズタケのない北側を巻いて、バイケイソウの芽吹いた辺りで腰を降ろし、弁当を広げてお昼ご飯とした。
牛乳を飲みながら、視線を下に泳がすと、ピンクのテープが付けられた細引きの白い紐が幹に括られ揺れているのが見えた。
この北に伸びる支尾根の先には、今朝歩いた林道がある。
下りることが出来るなと思ったが、今日の目的は下川峠なので、思いは振り払った。

20分ほど休憩して、稜線へ上がると、スズタケブッシュが待ち構えていた。
我慢しながらかき分けていくと、展望のいい小さな岩棚があって、そこからは先ほどまでいた黒岩山や、眼科には吉野川の上流がちらり。


            バイケイソウ                      黒岩山

南には吉野川沿いの高知の山がずらり、中でも早天山が格好いいですね。
右奥には能谷山から東門山などが見えてるのですが、靄っていてはっきりしない。
駐車してる車に細かい砂埃が幕のように積もってたりしてるので、この時期特有の黄砂とかPM2.5でしょうね。


                          早天山

スズタケはますますひどくなってきた。
ヤブの中にストックの先や、コンパスの蓋のようなものが落ちてたりで、縦走者がスズタケや木に引っ掛けて盗られたのでしょう。
1369m峰のちょい先でもう一つの小さな岩場があって、そこも展望よく、登岐山から大己屋山の尾根を望むことが出来た。
ところがその少し先から様子ががらりと変わった。
スズタケがすっかり枯れてしまって、まるで寒峰台地(カヤト)のような雰囲気になっていて、以前と比べてあまりの違いにびっくりしてしまいました。


             スズタケ                       大登岐山
            
あれほど生い茂っていたスズタケはない。
13:00丁度に下川峠に着いたのですが、ここにも密集していたスズタケはありません。
高知の下川へ下りる踏み跡は容易に見つけることが出来ました。
なんという変わりようでしょうか。


              峠手前                       下川峠

シカたちが増えて、比較的シカが歩きよいところにある笹の葉を食べてしまって、笹が枯れ、こういう風景になってしまったんでしょう。
この山域の鞍部とか平らなところは全滅かもしれませんね。
しかし、1369峰あたりの高いところはスズタケは健在な様子ですので、大登岐山への登り斜面は残ってると判断していいのではないだろうか。

5分ほどうろっとした後、峠から愛媛側に折り返すようにしてついている薄い踏み跡を下ってゆく。
踏み跡は少し先で消えてしまうので、尾根を忠実に下った。
13:20、標高1250m付近で尖がった大岩に突き当たったので左に巻いて下る。

14:00、横道に突き当たった。
尾根には下らず、左に折れて、しばらく横道の西側の様子を探ってみた。


              大岩                        横道

保安林の黄色い看板が道沿いに立っていたりして、なおも追ってゆくと沢に突き当り、その先は踏み跡が消えていたが、しばらく先でまた現れるかもしれないと思った。
沢を渡ったその先の尾根は、丁度お昼ご飯を食べたところの上にあるおおよそ1260mピークから派生している。

引き返して、たぶん保安林の黄色い看板が取れてどこかへいってしまったのだろう、鉄杭だけが残っているところに着いた。
上下三段のピンクのリボンや赤テープが巻きつけられていた。
この杭には見覚えがあって、過去二度、ここを通過して林道へ下りたり、峠へ登ったりしている。
尾根を外さないようにしながら北西に下った。


              沢                         鉄杭

しばらくして、右下に沢、左下にも沢で、それが前方で交わるどん詰まり(尾根先端)の急斜面に差し掛かった。
左の緩い斜面を選んで、沢合流地点に下り立つ。


         沢合流地点への下り                      尾根端             

沢右岸に踏み跡があって、その踏み跡は上(東)に向かって左沢の右岸を上部へ延びているが、どこへ続いているのかはわからない。
合流して一本になった沢右岸をしばらく下る。
やがて、2枚の保安林の黄色看板があって、しばらく先の標高おおよそ910mのところで左岸へ渡渉し(対岸にテープあり)、そのまま左岸沿いの道を下れば林道の高い法面に突き当たる。
ちょい戻った左側にトラロープがあるので、これを頼りに下って、14:50、林道関係の方のオフロード車が止めてあるところに下りた。


           沢下り                         林道合流地点        

林道は崩れた沢を跨いで上へ延びているが、沢には応急処置の丸太が4本渡されているだけで、当然、重機やトラックは渡ることはできない。
林業の人は、この手前に車を止めて、歩いて丸太の橋を渡り、上の伐採地で作業をしているようです。

さて、林道を歩いて駐車地点へ下ることにしよう。
林道沿いではミソサザイが雲雀のような元気のいい、小さな体に似合わない鳴き声で谷中に響かせていたり、ヤマルリソウが群生していたり、カケスが青い羽を見せびらかせてくれたりで、退屈はしない。
ところによっては、道は今にも崩れ落ちそうな高い岩場を切り開いていたり、そういうところでは必ず道に小石が落ちてるんだよな。
ほんま、恐いわー。


           流された林道                     ヤマルリソウ

やっとこさ、朝通過した壊れそうな小屋まで降りてきた。
この小屋の右奥から、川床に下りて、少し川を遡って歩くと、右岸に兵庫山の手前鞍部分岐へ登ることが出来る踏み跡がある。
かつて、この道を2度歩いたことのある懐かしい場所だ。

15:40、道左の山側に梯子があって、斜面の上にはピンクのテープや保安林の黄色い看板が立っている。
推測だが、822m峰への尾根伝いに野地峰へ繋がっている道ではないだろうか?


            小屋                         丸太梯子

駐車地点の沢右岸にもピンクのテープが何本か括り付けられており、そこには踏み跡がある。
沢沿いに野地峰へと繋がっている道だ。

15:50、車にたどり着きました、ほっ!


          野地峰への道                       駐車地点

車に乗って、落合橋を渡ったところで、道の真ん中に大きなトラックがドーンと立ちふさがっていた。
車には誰も乗っていない。
ありゃー、困った、帰れない。
車を降りて、トラックの後方を覗いてみると、よかったー、作業服を着た運転手がいました。
すみません、動かすことが出来ますかと訊いたところ、女の子だった。
にっこり笑ってすぐに動かしてくれた。

以前、テレビで林業に携わる若い男の子や女の子が紹介されてたが、うーん、しゃきしゃき動いて大型トラックを難なく運転する。
格好よすぎる。


            津根山大橋奥に聳える大登岐山ー1369m峰ー黒岩山(左から右へ)

駐車地点7:35-沢取りつき地点8:50-稜線10:43-黒岩山三角点10:56-(休憩20分)-1369m峰12:37ー13:00下川峠13:05-二股沢(標高おおよそ950m)14:20ー林道へ下山14:50-15:50駐車地点


グーグルマップ(登山口など位置がわかる地図)→こちら
ルートラボ(距離・所要時間がわかる地図)→こちら
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