むらくも

四国の山歩き

姥ヶ岳・月山…山形県

2017-10-09 | 四国外の山
姥ヶ岳・月山            うばがたけ、がっさん



山行日               2017年9月26日
標高                1670.3m、1984m
登山口               姥沢
駐車場               登山口に500台
トイレ               登山口およびリフトの各駅、頂上付近に有り
水場                リフト各駅、牛首下分岐から牛首の間に流れる沢
メンバー              ピオーネ、むらくも




暑き日を 海に入れたり 最上川
            -松尾芭蕉ー


8月、薬師岳から帰って間を置かず、シマチマおいちゃんが朝日連峰へ行く計画を知らせてくれた。
朝日連峰は、松尾芭蕉が奥の細道の旅で登った出羽三山(羽黒山・月山・湯殿山)のすぐ南に位置する山塊、一昨年秋に登った飯豊山から眺めた山だった。

芭蕉が詠んだ最上川は、福島県安達太良山の北に聳える西吾妻山の火焔の滝を源とし、朝日連峰、出羽三山をぐるっと東に回り込み、日本有数の米どころ庄内平野を悠然と流れ、延々と229km、酒田市河口から日本海に流れ込む。
旅に生き、旅にて死んだ松尾芭蕉は、1689年(元禄2年)3月27日に深川を出発し、6月3日に羽黒にたどり着き羽黒山・月山・湯殿山を歩き、6月13日夕刻に酒田の旅人宿で泊まったと記録されている。

月山は歴史もあり信仰の山、朝日連峰と兼ねて登ることにした。

四国からは遠く、高速道を休まずに走って12時間余りかかる。
一足早く25日に車で出発したわたしたち夫婦は、翌日26日に月山に登り、諸事情から26日に出発したチマチマ隊長と夕刻に新幹線山形駅で合流し、翌日朝日連峰へ登る。

季節は丁度紅葉が始まったばかりで、山頂辺りの景色に期待が持てる。



25日早朝4時過ぎに瀬戸大橋を渡り、舞鶴若狭道から日本海東北道回りでひたすら走り、午後6時過ぎ、山形道の櫛引PAに到着。
今夜はここで寝る。

途中、日本海東北道の切れた区間にある「まほろば温泉」に入り、汗は流している。
湯は透明だが、ほんのりと温泉臭があって、ややぬるっとしてた。

車のシートを倒し、マットの上に布団を敷いて横になった。
平日ということもあったが、同じように駐車してる車はわずかに普通車が3台とトラックが2台、山形道や日本海東北道は全線がまだ繋がっていないこともあってか、閑散としていた。
運転疲れもあって、隣に停まったトラックのエンジン音を子守歌にしてすぐに寝てしまった。


            駐車場                     リフト下駅

5時に目を覚まし、朝靄が立つ五色沼から月山を見上げたあと、登山口のある姥沢駐車場に7:15到着。
リフトはまだ動いておらず、駐車する車は少ない。
駐車場から歩いてリフト下駅へ向かうが、途中管理小屋があって、そこで協力金を徴収している。
妻がおじさんに一人200円×2を手渡しながら、熊が出ないか訊いた。
このあたりの山は月山も含めてあたり前にいるんだそうで、道で見かけることもたまにあるらしい。
鈴を持って来なかった妻の顔は一瞬こわばったが、すぐに笑って胡麻化したように見えたのは気の所為だろうか。
パンフを貰って、駅へと歩いた。
空は青く快晴。


       ペットボトル落とす                   上駅スロープ                                

下駅に着くと、係の方が8時からの運行だが、今からリフトを動かしますと口頭で告げた。
翌日の大朝日岳への登山のことを考え、往復切符を買った。
省エネで体力温存だ。

リフトは本来スキー用で、ペアリフト。
ここ月山スキー場は様々な冬季大会が行われ、アルペンなどウィンタースポーツが盛んなところ。
姥ヶ岳か牛首、もしくは月山山頂辺りからガーッと滑り降りると気持ちいいでしょうね。


        エゾオヤマリンドウ                  姥ヶ岳分岐

リフトはゆっくりゆっくり動き、15~6分で上駅に着いた。
リフト上からペットボトルを落とした妻が、そのことを係の人に告げて、姥ヶ岳へと歩きだす。


                       姥ヶ岳肩

分岐で姥ヶ岳方向に直登。
ちょこっと歩いて展望のいいベンチに着く。
妻が途中で一緒になった女性に遠方に見える山並を教えてもらってる。
明日登る朝日連峰で、右側にややゆったりした三角形の以東岳、左側にトン切り頭の大朝日岳などなど。


             月山                        南後方

北東方向には嫋やかな姿の月山が見えているが、いわゆる信仰の山、修験者の山らしい粗々しさはない。
月山から南には胎内岩のある尾根を挟んで四ツ谷川が流れ、清流はやがて麓の月山湖に流れ込む。
月山湖からは寒河江川へと水は流れ、最上川に合流する。


       ミヤマリンドウ                    姥ヶ岳山頂

分岐から20分ほどで姥ヶ岳山頂に着いた。
まっすぐ進めば牛首経由月山へ、左へ行けば展望所に立つことができる。


           雪渓跡                        湯殿山

左の木道を進んでみると、雪渓跡と思われる場所に出た。
南に景色が開け、小さな池塘が草紅葉の合間に見え隠れしている。
南西には湯殿山が眼下に頂を見せていた。

芭蕉は6月6日、羽黒山から弥陀ヶ原を経て月山に泊まり、翌日に湯殿神社に参拝し同じ道を羽黒へ引き返したようだ。
天気はよかったらしいが、豪雪地のこと、山には雪が残り、まだまだ寒かったと思われる。


           品倉尾根                       月山

前方に嫋やかな品倉尾根が見えてきた。
遠くに日本海が見えているようないないような、南西の方角には佐渡島が位置すると思うのですが、目の弱いわたしにはわからなかった。


        磐梯朝日国立公園                 姥ヶ岳と木道

森敦が書いた月山という本がある。
芥川賞受賞作だ。
若いころに買って読んで、しばらくしてそれを忘れてまた買った記憶がある。
そのときにおらは記憶力の弱いバカだと自覚して、今日に至っている。
バカは世間様から嫌われるいろんなことをしでかして、顰蹙を買う。
死ぬまで直らない。

「月山」は映画にもなった。
舞台は注蓮寺、冬の厳しい月山麓での生活が描き出されていたが、近くの十王峠だろうか辺りから雪深い月山が映し出されていた。
いまは秋、人々を優しく迎えてくれる。


        柴灯森と月山                      品倉尾根

四国の冬山にしか登ったことのないわたしにとって、東北の冬山がどんなものなのか想像もできないが、低気圧が近づき、風雪が吹き荒れる山なんて考えただけでも身震いがする。


          1688峰                     ハクサンイチゲ

しかし、この風景、お天気のいい日に真っ白な稜線を歩いてみたいものだ。
現に、木道にはアイゼンの爪跡がいくつも残されている。

金姥を振り返ると、装束場方面からの横掛け道を一人の女性の歩く姿が見えた。


          月山                ナンブタカネアザミ

妻と話をしていた女性が柴灯森への上りで立ち止まり、カメラを構える。
大きな一眼レフだった。
写真が好きなようで、二日前にもここへ登ってきて、写真を撮ったらしい。


         柴灯森への登り               四ツ谷川南方面を望む              

女性の方は、ここから眺める金姥の斜面が最高なんですよと言いながら、あなたもどうぞと言って、撮影場所を譲ってくれた。
装束場から歩いてくる女性と、写真好きな女性はここで出会うことを約束していたようで、合流してからというものは会話が途切れることのない二人だった。


         月山への登り①                     ②

妻の話では、装束場からやってきた女性は志津キャンプ場近くにある自然公園から登ってきたらしくて、小さなザックを背負ったトレランをしている方だった。
ささっと追い抜かれた。
足が速い。
若いって、羨ましくて、眩しい。


                     姥ヶ岳を振り返る

久しぶりにパノラマで撮ってみた。
後方左にうすーく朝日連峰、佐渡島は右雲の下あたりか?
※翌々日の雨でカメラが壊れ、これがこのカメラでのパノラマ撮影最後になった。

真ん中右側に小さく雪渓が写り込んでいる。
この時期にこの標高でまだ雪が残っていることに驚いた。


      木の実                      日本海方面

月山への登りはかなりな急登で、みなさん汗をかきながら登ってゆく。
先ほどわたしたちを追い抜いていった女性2名は、もう小さな点になっていたが、絶えずしゃべくる会話の声が、内容はわからないがここまで届いてくる。
女性の声は男性と比べてよく透き通るようだ。


           お地蔵さん                  芭蕉句碑

途中にあるお地蔵さんを過ぎて、5~6分のところに芭蕉の句碑が建っている。
雲の峰 幾つ崩れて 月の山


            月山神社                     尾根肩

金剛杖をつき強力を従えた芭蕉の一行は、ここを歩き、湯殿山へ向かい、そして再び引き返してきたと云われている。
そして湯殿山では…
語られぬ 湯殿で濡らす 袂かな
と詠んだ。


          月山神社参詣道                 参拝記念碑

いまこうして同じ道を歩かせてもらっている。
ありがたや ありがたや


          月山神社                      頂上小屋

芭蕉が泊まった月山頂上角兵衛小屋はいまはない。
茅で拭いた小さな小屋だったらしい。


           笹だんご                 ウゴアザミ

月の神が祀られている小さな神社にお参りした後、月見ヶ原や池塘がたくさんある行者ヶ原が見下ろせるところでお昼ご飯にした。
少しガスが下から立ち上ってきた。
妻が懐から笹だんごを出して、ウメーから食えと言う。
笹を開いて写真に撮ったが、だんごは笹と同じ色で、画像では葉とだんごの区別がつかない。
笹の甘い香りがして、おいしかった。


           バッタ                 ハクサンフウロ

食後、三角点に立ち寄ることにして、神社を東に巻いて、弥陀ヶ原方向に歩く。


      ベニバナイチゴ              弥陀ヶ原への尾根

弥陀ヶ原への分岐をロープ伝いに左上へ上がる。


    1979.82m一等三角点・月山               牛首へ下山

三角点ではヘルメットを被ったご夫妻と思われる二人と、単独男性の方が朝日連峰の山並を指さして山座同定をしていた。
同定が終わった後、日本百名山と二百名山を一筆書きで歩いた田中陽希さんが話題になり、「あの方は怪物だ」と声に力を入れて説明していた。

元の道を引き返し、下山。
この時刻になってもまだまだどんどん登ってくる。


                      ビューポイント

先週の土日はこの山は混雑していたそうで、この様子だとこれから紅葉が進む次の土日はもっと混雑するのではないだろうか。


         雪渓下の沢水                      木道  

牛首分岐から左折し、小さな雪渓から流れてくる冷たい水の小さな沢を横切る。


                      牛首下分岐へ

木道の行く手には二つに分かれており、そこが牛首下の分岐のようだ。
左にとると、リフト乗り場へは行かずに、姥沢小屋へと歩くことになる。
妻は当初、往復リフトには乗らず、歩くつもりだったようだ。
たぶん道傍に咲く高山植物が狙いだったのだろう。


      シロバナトウウチソウ          エゾオヤマリンドウ
                       
木道脇にはトラノオのようなブラシ型の白い花が風に揺れ、リンドウがたくさん咲いている。


                         月山

月山を振り返ってみた。
紅葉の本番を迎えるのはこれからだ。


                         上駅へ
 
リフト上駅が見えてきた。


                   
係員の方にあんたたち二人一緒に乗りなさいと云われた妻は、即拒否をした。
別々のリフトに乗ってゆっくり、ほんとうにゆっくりした動きに揺られながら、月山を背にした。

下駅に下りて、月山から湧き出る長生きできる清水を口に含み、駅内のレストランで芋煮と玉こんをおいしくいただきました。

姥沢駐車場7:15-7:30リフト下駅7:40-リフト上駅7:56-姥ヶ岳分岐8:05ー姥ヶ岳8:25-金姥8:50-牛首9:13-10:26月山山頂11:05-一等三角点・月山11:11-牛首12:08-姥ヶ岳分岐12:56ーリフト上駅13:03-13:19リフト下駅13:46ー姥沢駐車場13:59


ルートラボ(距離時間がわかりやすい地図)→こちらへ
グーグルマップ(登山口など位置がわかる地図)→こちらへ
コメント (335)
この記事をはてなブックマークに追加