むらくも

四国の山歩き

平家平・冠山…高知県

2012-10-10 | 四国の山歩き
平家平、冠山              へいけだいら、かんむりやま



登山日                 2012年10月8日
標高                  1692.6m、1732m
登山口                 いの町高藪
駐車場                 林道広い路肩
トイレ                 なし
水場                  なし

メンバー                ピオーネ、むらくも




三連休なのにどこへも出かけず。
妻の実家は秋祭りの真っ最中、昨日から慌ただしく走り舞い。
お祭りの当番で「もっそ」(アラメなどで炊き込んで作ったおにぎりのこと)を作ったりして、朝からせわしなく立ち働きしている。
太鼓の音が早朝から深夜まで響き、賑やかだ。
昔は、このお祭りが終われば一斉に稲刈りだったが、いまはそうでもない。
祭り前にコンバインでアッという間に刈ってしまって、農協へ持ち込んで、はい終りってところも多い。
それに輪を掛けているのが農家の激減だ。
1960年代高度成長期にはまだ三ちゃん農業といって、おとうちゃんは勤めに出て、いない、田圃ではじいちゃんばあちゃんおかあちゃんが作業の担い手だったが、いまやそれもない。
農業の担い手jはそれぞれてんでんバラバラ、崩壊している。
五穀豊穣を願う秋の大祭も少し興が殺がれてしまうのもいたしかたない。
それでも祭りは延々と続くのだから、脈々と受け継がれていく伝統文化というものはすごいものです。
そのお祭り、実家では今日で終わり、祝日の明日は解放される。

秋のお山、剣山はライブカメラで見たところ大賑わい。
木道は芋の子を洗うような人手だった。
紅葉の素晴らしい霊峰石鎚山はもっと多くの人たちが詰めかけていることが想定される。
いくなら静かにそれなりの紅葉が楽しめるところ、この時期はまだ高所、少なくとも1600~1700m以上。

遠出はできない。
妻はお祭りで疲れているようだ。
近くてそこそこに歩いて登れる山。
帰宅も早めがいいという。



ふっと思い浮かんだ山が大川村の小麦畝から登る平家平・冠山。
春にはカタクリやアケボノツツジに逢いたいために愛媛側からなすび平を経て登ったり、夏にはキレンゲショウマを見るために、一ノ谷越から登ったりするが、高知県側から登ることは少ない。

小麦畝からは歩きよい送電線保線路がある。
秋の陽差しを浴びて保線路を歩き、鉄塔のある稜線へ出て左折、ブナなど自然林が一杯残る稜線上は紅葉が始まっているだろう。

青空が広がる高速道、西条ICで降り、加茂川を渡って左折、194号線を高知方面へと走る。
長い寒風山トンネルを抜けて、木の香温泉を過ぎたしばらくのところで県道17号線へと左折する。
車窓を開けていると入ってくる空気はひんやりして気持ちがいい。
いの町と大川村の境界ちょい手前で、山手のほうへ左折し、くねくねと走るが、なんだかな~、ややこしいのだ。
適当に走ったところで、平家平の道路標識が三叉路にあった。
平家平へは直進となっている。
略図が看板に記されている。
今年の春にここを走って、小麦畝の登山口へ行っている、んが~、覚えていない。

何を思ったか左折してしまった。
地図によるとすぐに左折するかのように記していると思ったのだが、実は直進してすぐのところでもう一つ三叉路があるので、そこを左折するのが正解、一つ早すぎた。
あとで気づいたのだが、なんと高藪方面(地図では行き止まりとなっていた道)へと進路をとってしまった。

しかし、要所要所の三叉路ではこじゃんと「平家平登山口へ」と案内標識があるではないか。
竹を割ったような素直で純真素朴なわたしはフンフンと鼻歌でそれに従った。
それにしてもくねくねと、昨年走った道と様子がちょっと違うようだな~などと助手席の妻にそれとなく呟く。

やがてダートな道に入った。
ここで確信した。
「この道はちゃうで~」
あの案内標識はなんじゃいな?
そっか~、高藪登山口かもしくは足谷登山口への案内じゃがいな、小麦畝とはちゃうで~。

遅かりし馬之介。
ダート道の右山手側には、チャラーン、朝陽を受けて登山口の白い道標が光っていました。
高知ナンバーの車も一台、道沿いに駐まっている。

ま、いいっか~、ここから登ろうや。
高藪直登ルート、ガイドブックには1時間30分で平家平へ登れると書いてある。
2~30mほど足谷方面に行ったところに3台ほどの駐車スペースがあったので、そこに止めて登山口へ。

道ぶちにはシロヨメナによく似た野菊の花やアカバナなどが満開でした。




高知県側からのこの平家平直登ルートは相当にヤブいていると認識していたのですが、登山口へ足を踏み入れてみると、遊歩道のようにきれいに整備されていました。
後ほど道沿いに止めていた高知県からの男性にお会いして、お話を伺ったところ、昨年来たおりにはあまりのヤブなので途中で撤退したとのこと。
いまはヤブいていたとは思えないくらいに、素晴らしく歩きよい道です。

アケビの皮が道にたくさん落ちている。
中味がない。

ホギーッ!
近くでサルの威嚇する鳴き声が聞こえてきた。
頭上を見上げたが、姿は見えない。
サル側からは歩く人間がよく見えてるんでしょうね。
群から離れている一頭の雄ザルのようです。
アケビを食ったのはおまえさんかい?




色鮮やかなシコクブシがいくつも咲いていて、出迎えてくれる。
葉の先が異様に細長い棘のあるアザミ、ピンクの花を咲かせ、見方によっては意外と可愛いもんだ。
道の周りはシロモジなどの気持ちのいい灌木が茂っているが、なるほど、背の高い手強そうなスズタケも茂っている。
この笹が道いっぱいに茂ったら、引き返したくなるわな~。

小さな尾根に乗ったところで、ケルンに出合った。
国土地理院の地図を確かめてみると、ここら辺りに破線の道が右手に描かれている位置だ。
しかし、東への明瞭な踏み跡は見当たらない。

ちょっとしたシコクブシの群生地に出合った。
そこを通り過ぎると西に景色が開けた。
特徴のある頂が見える。
筒上山と手箱山だった。

尾根を外れて、西側の巻き道を歩いているらしい。
パイプ鋼材で組んだグレーチングの橋を三つほど渡り、急な木枠の階段を昇る。




再び尾根に乗ったようだ。
今度は東に展望が開けた。
三ッ森山から大座礼山への稜線の向こうに権現山・黒岳・エビラ山・イワカガミ岳・二ッ岳。

写真のさらに右の方に送電線が尾根筋に林立している。
大座礼山と三ッ森山の間にある尾根のものらしい。

小麦畝登山口から稜線に至る登山道は写真の真ん中の比較的小さな尾根のようだ。




こちらは高知県長沢方面のようだが、どこの山並かはさっぱり分からない。




9:25、足谷登山口からのものと思われる登山道と合流した。
道は木の枝でとおせんぼしており、笹などでヤブいている。
足谷からここまで所要時間1:20程度とのこと、とすると平家平へは高藪登山口(山頂まで1:30(ガイドブック記))からのほうがダントツに近いことになる。
平家平に寄らず、冠山に行くもしくは周回するには足谷ルートからということになりそうですが、いまは歩く人はいないようで、ヤブヤブ覚悟でのぞんだほうがよさそうだ。

妻はそんな登山道には無関心、とっとと先を歩く。
ブナ林の気持ちのいい尾根だ。
足元にはイガグリがたくさん落ちている、ただしイガ皮だけ。




小さな岩を超えて、蒼空にはうろこ雲。
眼下には吉野川と南に細長く延びる大橋貯水池が光って見えていた。

頭上には紅葉が…、足元には登山口から延々と続くリンドウたち。




先ほどから度々立ち止まっては風景の撮りっぱなし。
切り取りは止めて、ワイドにした。

左は吉野川さめうらダム方面への渓谷。
真ん中に先ほどまで歩いてきた尾根筋、一番高いピークが西に巻いた1428Pか。
その右の渓筋が大橋貯水池。
谷から谷への、奥に見える高い稜線は左から熊谷山-東門山-西門山-稲叢山。




山頂が近づいてきた。
ガラスのように澄んだ青空に刷毛雲、濃い緑の笹原。




白い雲と空。
やっぱり口ずさんでしまう、にっぽん百名山テーマソング「空になる♪」

唄うと妻が「エ-ッ!」(やめてくれ~っ!)と絶叫した。
ドのつく音痴の宿命だ。
悲しいかなどうやっても大きく外れてしまう。
なので妻の前でしか唄わないことにしている。
他人の前では1000円やるといってもイヤだ。
1万円だと…、検討するに値する。




だだっ広い山頂に着いた。
青々とした平家平だ。




正真正銘言葉どおり360度の展望。
南、高知方面。

誰もいない。




送電線鉄塔が立ち並ぶ尾根の向こうに、先日坊主さんと歩いた井野川山・小座礼山・大座礼山の稜線。




抹茶休憩した後、冠山へ向かう。
登山口に車を止めていた高知の方はすでに冠山だろうか?
とりあえずこの広い野原いっぱい笹の夢舞台を二人占め。

冠山の左奥に寒風山、右には笹ヶ峰とちち山、雲に隠れるようにして沓掛山。




振り返り、笹のスロープを見おろし。




またまた振り返り、そして正面に近づく冠山を眺め。




うっすらと色づく斜面の奥に伊予富士と鷹ノ巣山、その奥に筒上山と手箱山。




紅葉は始まったばかりだ。
眼下に大座礼林道だろうか、山の中腹を縫うように走っている。




11:27、冠山頂に着いた。
こちらも淡く色づいている。

高知からの男性に出合った。
いろいろとお話をお伺いすることが出来た。

見おろす尾根は冠山直下の南尾根。
寒風山から大座礼までの林道は完成しているようにも見える。
だとしたら、この山域の周回はこれまで以上に容易に行える。
しかも、コースはよりどりみどり自由だ。




頂の西にある岩場の展望所に立った。
瓶ヶ森や石鎚山が見える。

大座礼林道がやはり寒風山方向に走っているのが見えた。
一度車で走ってみよう、もちろんダートは承知のすけ。




妻が岩の上でジッと佇む。




崖の真下は淡く色づいていた。
1週間先には真っ赤だろうか。

瀬戸内側に沸き上がる雲、時間がゆっくり流れていく。




ナスビ平から登ってきた明るく賑やかな女性たち2グループとソロ男性が休む間もなく平家平へ




わたしたちもゆっくり過ごしたあと、平家平へ




鹿の鳴き声が谷から響いてきた。
お母さん鹿だろう、子どもたちを呼ぶ鳴き声だ。
いまのうちにターンと餌をとっておけよ、寒くて厳しい冬を乗り切るために。




平家平では2グループのうち4人の女性たちが楽しそうに会話をしている。
ソロ男性の方が降りて行かれたが、わたしたちはここでもコーヒ-ブレイク。
笹の中にどっかり腰を落として、コーヒーを入れようとして下を見たら、なにか変な細い棒が笹間からちょびっと頭を出していた。
抓んで引っ張り出したら、なんと大きな長いヤマミミズだった。
うえ-っ!空中へ放り投げた。
冷たいゴムの感触が指に残った。

抓んだ右手の指が腫れないか、腫れたらどうしよう、心配だ。
急いでおしぼりで拭った。
コーヒーは左手で入れ、左手でコップを掴み飲んだ。

右指を使って飲んだらどうなるか、ひょっとしてエキスがコーヒーに溶け込んで、寝小便が治るかも…。
今はその気配はないが、先々洩らすことも考えておかないといけない年頃だ。




アホなことを言ってないで、そろりと下ろう。
クロツグミが綺麗な声でホ-ヒー、ヒーホ-ホ-と鳴いている。

こころなしか、午後のこの時刻、朝より紅葉がちょっぴし進んでいるような…気のせいだろうか?




冠山とはいつくばったような姿の平家平に名残を惜しみつつ、振り返り振り返り下っていく。




久しぶりに歩く気持ちのいい登山道でした。
帰路、沢に咲いていたこの花なんでしたっけ?
忘れました。
後日、妻に訊いてみることにして。
<シラネセンキュウでした>

間違えた登山口のお陰で、また一つ、初めての山道を歩くことが出来ました。
神様に感謝。
それではまたいつか…。




高藪登山口(直登ルート)8:23-ケルン8:53-足谷ル-ト合流地点9:25-10:20平家平10:39-11:27冠山12:19-13:02平家平13:15-ケルン14:00-14:30高藪登山口


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