むらくも

四国の山歩き

烏帽子山…徳島県

2012-09-06 | 四国の山歩き
烏帽子山              えぼしやま


登山日               2012年9月3日
標高                1669.9m
取付地点              西祖谷山村松尾川ダム
駐車場               なし(ダム近くの路肩)
トイレ               なし
水場                なし

メンバー              坊主さん、むらくも




またまた坊主さんから悪魔のような誘惑メールが届いた。
今度はどこ?
届いた地図を見ると徳島県祖谷にある烏帽子山、取り付きは松尾川ダム、やっぱりな~、まともでないわ。
カシミールでコースを確認した。

危険、もしくは困難、注意すべきポイント、現在地確認地点に赤丸を入れてみた。
両手の指では足りなくて、文字どおり足の指も足した。
とくに注意するべきところが2ヶ所、1ヶ所は下山地点に架かるダム直ぐ下の橋。
もう1ヶ所は、下山予定ルートで1357m峰から北西尾根上破線までにあるやや複雑な地形。

即返で行くとは言ったものの正直ビビッた。
チェックを入れて、前夜布団に潜り込んだが、久々に目が冴えて寝られない。
午前5時前に目覚ましを鳴らすようにしてたが、3時半に目が覚めて、そこからまた寝られない。
悪く言えば小心者、良く言えば適度に緊張して、体と頭がバリエーションルート?に備えようとしている。

だけどこんなルートどこからどうやって見つけ出すんだろう。
地図を眺めていて、突然頭の中で「ここだ!」と叫ぶんだろうか。
ピカピカッと閃くその摩訶不思議な仙人坊主の脳みそ。

歴史物のミステリアスな本を読んでいると、昔、人は猿や羊などの脳みそを食っていた、いや今でも。
所によれば人の脳みそまで食っていた痕跡があったとか。
脳みそを食うと、頭って良くなるのかな?
話がそびれた。

わたしも見倣って、これからは地図を枕元においてじっくりと眺めることにしよう。
たぶん、睡眠導入剤代わりになるんでないかと思う。




というわけで、32号線を南下し、祖谷口橋を渡って、出合から松尾川沿いを遡る。
松尾川温泉を横目にくねくねと、やがてダムに到着。
運良くダムか電力の工事関係の方がいたので、橋のことを尋ねてみた。
親切な方だったが、橋のことは知らないとのこと。

不安が芽生えた。
すぐに道を引き返し、ダム下の橋を確認しに破線の踏み跡を辿って深い谷へと降りてみることにした。
破線の踏み跡入口には古びた赤テープが一本。
踏み跡は最近、歩かれたとは思えないほど荒れていて、下に行くほど悪化している。

谷底に降りた。
すぐに橋が見えた。
壊れてる。
ワイヤー四本に支えられた人一人渡れる細い橋はなんとかぶらさがって持ちこたえていたが、45度に傾いており、真ん中に進むとその傾きはさらに増すのではないかと思った。
しかし、ワイヤーにすがって渡れないことは?ない??…のでは???
川の水は深くて澄んだ緑色、橋の下は淵のようになっていて、歩いて渡ることなど出来そうにない。
対岸はつるつるした岩壁、登れそうにない。

右下を見ると、淵はなく流れもほとんどない。
石伝いに渡れるところがあった。
その対岸は崖っぽい急な斜面だが、木を摑みながら降りられそう?かな??めちゃくそイヤな感じ。
「行ける、かな。」言葉とは裏腹に流石に坊主さんの目も点になっている。

砂地のところに鹿かカモシカかの足跡が点々と残されていた。


              車道から眺めた烏帽子山の頂


一応、それでも予定どおりに周回することにして、ダムを渡る。
午前9時、出発時刻がやや遅くなった。




先ほどのダム下は深い谷、ここからは壊れた橋は見えない。
谷の向こうには降りてくる予定の尾根と、急激に落ち込んだ小さな頂が見える。
ダムを渡って左手に山からゴーッと流れ落ちる水路の細い階段から上がりだした。

しかし、階段から先は踏み跡のない急斜面。
いきなり汗が吹き出す。




滑りやすい斜面を登って小さな尾根に乗っかり、やや左方向へと尾根を追う。
スタートして30分ほどの地点に四等三角点、点名春ノ木尾。
坊主さんにダム下に春ノ木尾という地名があると教えられた。




地図ではこの辺り一帯が杉の植林地になっているが、自然林も適当に交ざっていた。
左下に大きなヌタ場が見えた。
水は泥で濁っている。




とんでもない急登に出くわした。
斜度50度はあるだろうか、ヒーヒー這いつくばる。
一度60度ほどの斜面をロープのお世話になりながらつむじかぜさんと下ったことがあるが、あれ以来の
急斜面、しかも登り、たまらん。

やがて、破線手前のなだらかな鞍部に着いたが、尾根を横切るように踏み跡が薄く読み取れた。
地図では鞍部からもう少し南へ登ったところに破線が記されていたが、本当はここ鞍部に破線があるのではないのか?
二人でえらそうに「国土地理院もときどき間違って地図を作ったりしてるからな~」「そうよ、しかも一度描いたらもうそのまま直さへんしな」などと誹しりながら歩く。
本当は地理院の地図には山へ行くたびに大変なお世話になってるのに、その恩を仇で返すようなもの、まあ、わたしという生まれつき愚かな人間はそんなもんです。
ごめんやして。




すぐにシャクナゲの茂る尾根を経てちょっとしたコブに着いた。
そのコブが1254.9m峰と勘違いしてしまって、必死になって三角点を探した。
ありません。
無いはずです、1254.9m峰はまだ先でした。
地図上では破線のちょい南の位置、完璧に地図を読み違い現在地を見誤ってしまってました。
ちょっとしたショックでしたが、気を取り直して、正しい位置と歩く方向を修正確認。

10分ほどでほんとうの1254.9m峰、三等三角点・高場に到着。




尾根からは矢筈山方面と、烏帽子山が見えていたが、生憎の天気で曇ってます。




索道用のワイヤーがところどころでとぐろを巻いたまま放置されてた。

えーっ!
突然、林道に飛び出る。




伐採のための林道のようで、景色は開けているが、ガックリ。
張り詰めてた体の力が一気に抜けてしまいました。




へなへなへな。
どこまで続く、この林道。

オープン・ザ・ドア




伐採地が目前に迫る。
またまた、金網の扉に。
開けて外に出た(内に入ったが正解か?)が、林道は下へと下っている。
仕方なく稜線へと這い上がる。
ところがそこには長々と鹿避けネットが張られており、なんとか超えられるところを見つけて、稜線に復帰。




林道を歩いている間に1357m峰は通り過ぎてしまい、復路の分岐を確認することができなかった。
あちこちに黒っぽい動物の糞と巣穴。




やがて急斜面になり、一つの岩場を乗り越えようと、岩に足を載せた途端に岩が崩れ落ち、体ごとひっくり返る。
向こうずねを思いきり打ち付けて、仰向けになった。
手足をバタバタ、まるで亀だ。

坊主さんが大丈夫かと声を掛けてくれたので大丈夫と答えたものの、痛い。
浮き石ってこういうことなんだなと実感した。
下はなんでもない柔らかな窪み、切れ落ちた岩場でなくて良かったわ。

腰から肩ほどの高さの笹ヤブに突入。




笹を抜けるとテンニンソウの群生地、ホッとしのも束の間、またもや笹藪に突入。




繰り返しているうちに、落合峠を走る44号線沿いの造林小屋からの登山道にひょっこり飛び出した。
やれやれ着いたわ。
13:34、烏帽子山山頂です。




西にある崖へ寄ってみた。
ガスでなにも見えない。

山頂に引き返し、遅い昼食。
ガスが一段と濃くなり、雨粒が落ちて来だした。
遠くで雷の音、慌てて下山開始。
雷の音は次第に近づいてくる。




笹を掴みながら滑って転んで、地べたに突っ込む。
雷が鳴ってるのにこんな時に限って、危険な桧の大木に出合う。
早く通り過ぎよう。
焦って通り過ぎたものの、待てよ、あんな大木来る途中はなかったぞ。

尾根筋を間違ってる。
引き返した。
雨は止む気配がない。




烏帽子山を振り返ったが、山中からガスが湯気のように立ちのぼるばかり。
稜線上の1357m峰の分岐まで帰ってきたが、そこには四段巻きの古いテープが幹に施されていて、ここは分岐ですよと言っているようでした。
復路とする予定の尾根筋を見たが、踏み跡はない。

雷雨、ガス、ダム下の半崩壊状態の吊り橋、歩いたことのないルート、時刻はすでに15:29、予定の周回コースは止めよう。
やや遠回りだがより安全な往路を下ろう。

再び林道に降り、終点から尾根へと入り込む。




一度通った尾根だが、それでもルートを何度か踏み外す。
その都度引き返し、元来た尾根へ復帰。

やがて、朝通った灌木の茂みに、ただでさえずぶ濡れだのに、木の枝や葉っぱに引っかかり、ますます濡れる。

そろそろ大きく左折せんといかんピークが近いぞ。
坊主さんに声を掛けてもらいながら、やがてその問題のピークに達した。
分かってるはずなのに、来たルート方向が谷に見え、間違ったなだらかな歩きよい尾根へと外してしまう。
なにかに取り憑かれたような気がした。
慌てて引き返す。




右に大きなヌタ場を見た。
ホッとする。

1040.8m三角点に到着。
やれやれ、これでもう少しでダムに帰り着くことが出来る。

ダムに流れ混む水音がゴーゴーと小気味よく耳に入ってきた。
尾根から右方向に急斜面を下って、ダムへ。




坊主さんと歓喜のハイタッチ。
幸いにもダムの門扉は閉められることなく、開けて車道に出ることが出来た。
18時ジャスト。

この山に登る前にあれほどルート確認を行って、危ないと思われるところをチェックして、チェック漏れのこんなところでという場所で方向を間違ったりもしたが、チェックしたところでも方向を誤ってしまう。
この稚拙さは…呆れてしまう。

心に隙間風がビューッと吹き抜けた。
秋が近づいている。
うつむいてジッと見つめた手と指には山の土がこびりつき、足元に視線を移すと、スパッツや靴は泥だらけ。
山を見上げる。
いつの間にか雷は遠ざかり、シンとしていた。

帰路は温泉をとおらずに、腕山を超えて池田へ降りた。
ヘッドライト点灯、日が短くなった。




ダム取り付き地点9:00-1040.1040.8m三角点・春の木尾9:30-1254.9m三角点
高場11:03-13:34烏帽子山14:00-1357m峰分岐15:29-林道終点15:50-1254.9m三角点・高場16:20-1040.8m三角点・春の木尾17:31-18:00ダム取り付き地点


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