むらくも

四国の山歩き

黒岳~権現山(愛媛県)…7/2

2010-07-04 | 四国の山歩き
黒岳、権現山       くろだけ、ごんげんやま




標高           1635.9m、1593m
登山口          四国中央市土居町上野河又
駐車場          なし(林道路肩広いところ)
トイレ          なし
水場           上の林道取り付きより15分、標高790m辺りの沢

同行者          つむじかぜさん&HANA




登山と人生、比較するのも考えるのも野暮かも分かりませんが、なんとなく似ている。

山に登る前日までに登山口までの道順を調べ、天候を気に掛ける。
それまでに自分に適したコースを決め、主な特徴を調べ、歩行時間と休憩休息時間を計画する。
地図を広げて眺めながら、計画するこの段階が一番楽しい。

靴、ザック、衣類や当日必要な携行品・必需品を点検する。
しかし、実態は冬と夏の季節で若干点検し、差し替え入れ替えするくらいで済ませている。

当日、朝早く起きるのは大の苦手、いつまで経っても慣れない。
目覚ましが鳴って、頭も体もボーッとしたまま、気怠く、もう行くの止めようかと思いつつ、15分ほどもぞもぞしてやっと布団から這い出す。

家を出る前から何杯もコーヒーを飲み、それでも目が覚めず、車を運転しながらなおコーヒーを手放さない。
そして、登山口に着いて、準備をして、やっぱりボーッとしたままの頭と気怠い体で登り出す。

ある人が自分の人生に対してこんなことを言った。
わたしの人生は苦しみや悲しいことばかりが多くて、幸福だと思うことはほんの少しでしかないような気がする。
だから、最近では人生って、生まれ落ちたときから、厳しく苦しい闘いが始まり、それが死ぬまで続くものだと思うようにしている。
それが生きるってことなんだと。

登山も登りだしたときから苦しく厳しい歩きが始まり、下山口に到着するまで歩みを止めるわけにはいかない。
その間、長く辛く苦しい、下りはラク、しかし、油断はできない、上りよりも下りの方が危険が高い。

登山も、総じて辛く苦しい、花や動物との出会い、冷たい山の沢水や滝との遭遇、山頂や稜線からの景色などが一瞬幸せな気持ちにさせてくれるが、それはほんの一時でしかない。

人生も、入学、進学、卒業、それぞれの成長する過程で、友だちや恋人との出合いや語らい、なによりも大切としたい家族の絆、しかし、立ちはだかる壁や障害は小さくなくて、それを乗り越えるために、あるいは家族との生活を築いていくために、ありとあらゆる努力を惜しまず、苦難に対して全力で克服していくことになる。

そして、それも束の間、やがていつか別れがあって、楽しく幸せだったがゆえに永く辛い悲しみを味わうことになる。
あるいは幸せな場所から、自らの意思とは無関係に、去っていくことになるかも知れない。

丁度、汗かき汗かきして山頂に立ち、爽やかな空気を胸一杯に吸い、そこからの絶景に一時の幸福感を味わった後、長く辛い歩きが待ち構えているように。

辛くて苦しいなら止めてしまえばいいのですが、止められない。
山頂に立ったとき、ドーパミン、アドレナリン、セロトニンのような脳内ホルモンがでていることは確かだと思うのですが、それだけではなさそうです。




当初の山行は黒岳に登るついでに熊鷹山へ行くことを視野に入れて考えていた。
しかし、河又から熊鷹山へ登るにはその西に派生する尾根を辿るか、それとも大窓へ登る尾根を辿るか、もしくは防火帯を登るかのコースを選択するようになるが、そのどれもが時間を相当に費やしてしまう。

河又から熊鷹を経て黒岳・権現山、そして大森越経由河又の周回は体力的には厳しいと考え今回はパス。
熊鷹山を外しての周回コースとすることにしました。

つむじかぜさんといつものコンビニで待ち合わせ。
今回もHANAちゃん同行、前回の前赤石~東赤石山までの岩場を、斜めに、あるいは上下自由自在に走り抜ける姿を目の当たりにしただけに、会う度に驚異の思いでHANAちゃんを見詰め、頭を撫でてしまう。

つむじかぜさんのHANAちゃんへの愛情と育て方が素晴らしいんでしょうね、我が家の登り坂を見ると踵を返す愛犬は、今頃、ドテッとひっくり返って朝寝を楽しんでますよ。

国道11号線をしばらく西に走って、新居浜市に近づいたところで東赤石山への大きな青い看板に従い左折。案内板に従って道なりに進み、関川を遡っていく。

河又に架かる小さな橋のところでつむじかぜさんがスピードを弛めて左の尾根筋に目を遣る。
わたしも釣られてそちらへ視線を向けると、そこには立派な登山道が尾根へと上がっているのが見えた。
大窓へ登る尾根筋の登山口だと教えてくれたが、やり過ごして、さらに奥へ。

やがて右へ大きくカーブを切るところで三差路、左にはゲート(開いている)があって、ここから登山口へと林道が続くが、下山口がこのカーブの直ぐ上にあるので、路肩広いところへ駐車。

6時30分、準備を済ませて、いまかいまかと待ち構えるHANAちゃんにレッツラ・ゴーの合図。
この左への林道は住友林業の私道で、前回来たときは雑草が茂っていたが、植林の伐採を始めるのかトラックなどの轍が路上で練られていて、いまは雑草などない。

ゲートから14分のところで柾木橋。




橋のところで右上を見上げれば柾木滝。
水量多くゴーッと唸りをあげて滝壺へ流れ落ちている。

流れ落ちているというよりは、上から下へ向かって噴射しているといった方がいい。
この滝に打たれたら、首を捻挫、立っておれない。




チェーンが張ってあり、車はここまで、直ぐ先のピンカーブの谷筋から取り付く。
踏み跡は薄い。




ホースに沿うようにして登っていくと造林小屋に。
7時5分、上部林道に飛び出す。




そのまま真っ直ぐ、踏み跡の薄い谷筋へと入っていく。
踏み跡が段々と明瞭になり、登山道脇には様々な山野草が茂る。
「ワ~オ~ワ~オ~」鹿の鳴き声のようだ。

サワギク。




ヤマアジサイ、コナスビ。



ダイコンソウ、ヤマトウバナ。




やがて薄暗い植林帯前方に大岩が見え、右に巻いていくと、尾根に出た。左へ行くと熊鷹山、右へと進むと、平たい地に、「大窓」だろうか。ザックを降ろして休息するが、あまりにも平なので、うろうろしてみた。




左前方には石垣が残っていた。どうやらここは昔には何かの建物があったように思えた。
尾根道の先は傾斜角40度はありそうな急登。
草を掴みながらよじ登る。




シャクナゲの瘠せ尾根になったり、笹茂る登りになったり、急登が続く。
ときどき立ち止まりながらも、しんどい、えらいわ~の連発、汗が滴り落ちて、帽子、タオルが雨を被ったようにグシュグシュに濡れる。

稜線が見える頃にはすでにペットボトル二本を空けてしまっていた。
前方左に黒岳のトンガリ頭。




10時38分、縦走路の保土野越に到着。
赤い杭が目印、ヒエ~!やれやれじゃわ~。
しかし、なんとつむじかぜさん、登ってきた辺りの草刈りを始めた。
こちとらザックを降ろして一息、バサーバサー、鉈を振り回すつむじかぜさん。




今日の天気は曇り。
家を出るときは雨覚悟で出てきた。
稜線からの景色はガスでほとんど見えない。
二ッ岳から権現越へのロングな縦走路は踏み跡濃く、人気の縦走路であることを窺がわせた。

後方を振り返ると幻想的なガス間に権現山方面の尾根筋が樹幹越しに見え隠れしている。

バイケイソウの花咲く先は黒岳山頂への急登で、ザレている。




ガレバを右寄りに登って、10時58分、山頂到着。




東西南北ガスでなにも見えない。
晴れていれば二ッ岳・エビラ山、権現山・東赤石山がドドドーンと見えてる…はず。

コメツツジ、爆咲きだったと思われるシャクナゲ。




バイキンマンがザックの陰でギヒヒヒと意地悪く笑っていた。
ガスが退いた瞬間にわずかに見えた日本石。




権現山へと向かう先にコツクバネウツギ、さらにその先にある岩場に登り、そこでお昼ごはんにすることに。
HANA、もう少しでご飯だぞ、涎を抑えて抑えて。




シロバナニガナ、ニガナ。
写真を撮ってる間にもつむじかぜさんはバサーバサー、岩場への笹を刈り祓っている。



ドウダンツツジ。
前方ではつむじかぜさん、岩の間を通り抜けようともがいている、ザックがつっかえているようだ。




岩場をどうにか登るとイワキンバイが迎えてくれた。




ガスで展望はないが、至福の時を刻む。
期待していた日本石は見えるようで見えない。

カモシカでもいるのだろうか、HANAが岩の先でジッと下を見つめて動かない。
つむじかぜさんもHANAも食がいい、おにぎりにラーメンにデザートにモリモリ食べている。
元気の源だ。




とうとう小雨がちらつきだした。
急いで権現山へ。




いくつかのコブを越えて、1時10分、権現山山頂に。
以前のヤブはどこへやら、快適な縦走路でした。
ペットボトル4本目に突入。

それにしても誰にも会わない。鉈の刃先がキラリンチョ。




縦走路のあちこちで見られたヤブウツギ。
床鍋への鉄塔保線路分岐口。




フジイバラ?
早くもタカネオトギリが咲いている。




二週間ぶりの20番鉄塔、右折し大森越へ。
つむじかぜさんと二人で、ホエ~、あと二時間だわ、さー、下山開始、気合を入れなおす。




17番鉄塔の先にある伐採地まで降りるが、今日は林業関係の方は誰もいない。
チェーンソーや索道の唸る音もなく、シーンと静まり返っている。




ガスが湯煙のように山肌から立ち上る。




やがて権現谷分岐、直進し大森越(20分)へ。




2時58分、大森越に到着、右折すれば柾木滝(35分)へと降りられるが、増水で川を渡れないことを憂慮し直進し尾根道へ。
つむじかぜさん、尾根道は厭きた、滝道へ行きたかったとしきりとぼやく。




長い尾根下り、3時32分、林道に降り立つ。
すぐ目の前に朝止めたつむじかぜ号が見えている。

帰り道での山から流れ落ちる沢水が冷たくて美味しかったこと。
今日は初めて見ることのできた花が二種、そして憧れの縦走路の一部を歩くことができました。

感動の一日でした。




本日見ることのできたクモキリソウ。




河又駐車地点6:30-柾木滝6:44-林道登山口6:55-上部林道7:05-8:03大窓8:20-10:38保土野越10:45-10:58黒岳山頂11:15-11:45日本石近くの岩場12:30-13:10権現山山頂13:20-20番鉄塔13:37-権現谷分岐14:26-大森越14:58-15:32下山口(河又駐車地点)




              
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