むらくも

四国の山歩き

三嶺敗退の記(徳島)…1/19・一人

2010-01-21 | 四国の山歩き
三嶺   みうね、もしくはさんれい


標高   1893.4m
登山口  三好市東祖谷山村いやしの温泉郷
駐車場  あり
トイレ  山頂にあり
水場   造林小屋を過ぎてしばらくのところ(注 時期によって涸れていることも)

最高点  1791m峰(この日の到達点)




温暖な気候の四国の山、ほとんどが日帰り歩きのハイキングスタイル(特に私の場合)。
だとしても、冬山はやはりそれなりに厳しい。
ある意味では冬山を登ると言うことは、その人の一年間の山登り、もっと大袈裟に言えば、その人の過去の山経験の総決算かもしれない。
冬山はその他の季節と違って、計画段階ですでに用意周到な準備がいるし、持っていく衣類や装備は夏山とはまったく異なっている。
気象条件が厳しいだけに、リスクは比較にならないほど高く、そのリスクに備えて持っていく物は一段とかさばって重たい。
重たい荷物を少しでも避けようとすれば、リスクに対処する術を放棄するしかない。
リスクを知り、対策を知り、装備を身につけ、天気を読み、その山の地形とルートを知り、そして何よりも冬山に登る体力をつけないと目的を達成することはできない。
登山口へ行くにしても、そこの高度がいくらで、道がどんな状態で、状況によっては危険が伴い、多くの困難が待ち受けていることを経験して知っておかないといけない。

冬山で最も怖いのは、風とガスと吹雪、ときにはミゾレ様の雨が降り、体温がとられ、視界が遮られ、なにもかも真っ白な世界で地面と空の境目さえ分からなくなる状態に置かれることですが、それだけではないようです。
お天気のいい日に日帰りで出かけたとしても、夏道は雪が覆い被さり、運が良ければ?先行者のトレースをあてにすることができるが、ないと、地図を読んで、コンパスかGPSを頼りにするしかない。
地図があっても読めない人、GPSもコンパスも持ってない人は登ってはいけない。もちろん、夏道に精通していて目をつぶってでも歩ける人、ほぼルートを正確に歩ける人は別ですが…。

そしてもう一つ、あの素晴らしい白銀の世界を見るためにはどんな努力をも惜しまない人。
努力をしない人は入山禁止か、もしくはさっさと途中で諦めて帰るべし。
弛み無い努力と経験と知識と体力・筋力・耐久力をつけた限られた者だけが得ることのできる冬山を自由に歩き描く軌跡とその展望。なにものにも代え難い幸せの頂点だ。




と言うわけで、今回は体力もなく経験も乏しく、不断の努力をしない怠け者の敗退山歩記です。

行き先は「天狗塚」と決め、4時起床、5時家を出発。猪ノ鼻トンネルを越え、大歩危から祖谷へと走る。ここのところの高めの気温で走る道は問題なし、西久保の三嶺タクシーから右折し西山林道へと上っていく。やがて道は白くなり、四駆に切り替えて、恐る恐る運転。だいぶ上まで行き、登山口のある尾根が見えだしたなと思った矢先に道に落石が…。大きくはないので降りて手で除けようとする。がっ!動かない。落石が道に凍りついていた。(腰の高い4WDなら乗り越えられるが、生憎、四駆でも床の低いワンボックスでは無理)

男前も金もいらないから。筋肉が盛り上がるほどの力が欲しい~。がっ!筋肉は張り裂けそうだのに動かない。
えっ?張り裂けそうな筋肉?どこに?張り裂けそうなのはパニックになってるノンコだけかも。

諦めて、車を動かそうとアクセルを踏む。なんと~、今度は車を止めた位置が悪く、車輪が深みの雪で空回り。前にも後ろにも進まない。空回りするのは車輪だけでない。頭もパニックでカランカランと音を立てて空回り。今日は平日、こんなところを通る車などないぞ、いったいどうすりゃいいの。

しばらくしてスコップを車の後部に積んでいることを思い出した。降りて、車輪の後ろの雪を除ける。前進して登山口へ行くのは諦め。バックで動きだしたので、そのまま狭い道で何度も切り返し、向きを変えて、西久保へ降りる。鹿が7~8頭道を横切る。

帰ろうかとも思ったが、三嶺なら駐車位置の低い名頃かもしくはいやしの温泉郷から登れる。この2~3日、気温が上がっているので雪崩を避けて(名頃ルートはヒュッテ下の登山道に比較的長い急斜面がある)、雪崩の心配のない、いやしルートにしよう。

やっとこさ、いやしの温泉郷に到着。駐車中の車は一台もない。時刻は8時過ぎ、急いで準備をして出発。駐車場の少し上にある小菜家前を通り、登山口標識のある広場から最奥の民家へ。大きなはで杭の横をすり抜けるようにして山道へと入っていく。





猿の群れが近くでいるらしい。ギャーオ、コホッと騒がしい。鹿たちも警戒音をしきりにだしている。どうやら朝食の時間にお邪魔したらしい。それにしても動物の数が多いようで、駐車場から民家の畠地、そして山道回りに数知れず着いている。しばらくのところでモノレールの軌道。くぐって少し歩き、そして再度軌道をくぐるべきところをそのまま軌道に沿って直進。しばらく登ったところで今度はどういう訳か西の沢筋へ降りてしまった。回りの景色がどうも変だ。ここでやっと間違いに気がつき、地図を取り出す。夏道から大きく西へずれている。モノレールまで引き返し、軌道に沿って上部で夏道に合流しようと決め、直登。




やっと、モノレールの監視小屋のようなところに着いた。ここまで1時間40分、時間の掛かりすぎ、不安になってきた。それから20分ほど、登山口から2時間かかって造林小屋跡に。ダメだこりゃ~、三嶺へは行けんわ~。




植林帯を抜け、11時45分、三嶺北西尾根が樹幹越しに見える位置に。ここで尾根らしい尾根に乗る。




ワーオー(^O^)視界が開け、雪原という言葉がピッタンコカンカン♪




ワオワオワオ~~♪あなた、どちらのお山ですか~♪ワオ~♪矢筈山だっす~♪




こちらさんは~どちらさんで~♪知らんとはいわんといてな~♪仲のいい兄弟でっせ~♪




どなた~♪はい、わてだんがな、わて、ほら、塔ノ丸さんと丸笹ですねん♪なにか足跡がついてるな~、途中でダンスでもしたように遊んでるわ~♪




東の空は雲一つ無く、透きとおるように真っ青。




太陽が燦々と雪の上に降り注ぎ、梢の雪が塊になってドサッと音を立てて落ちる。




1791m峰に到着。向かいに堂々とした三嶺の頂が見える。時刻は午後1時丁度。




北西尾根にも雪はたっぷり。写真の丁度真ん中辺りにスキーかスノボーのシュプールのようなトレースが見えているが、ここにはルートはない…はず。大型の動物が歩いた跡だろうか。
ここから三嶺山頂まではどう見積もっても1時間半はかかる。それにまだ昼食をとっていないし、本日の行動はここまで、潔く撤退しよう。




元へ引き返し、西方面をパチリ。




林の中で上を見上げて、梢に雪が残っていないところを選んで休憩。シートを広げ、ガスに火を点ける。今日もサンドイッチとチキンラーメン。冬の定番、このまま定着かな。




コーヒーを沸かして、30分ほど辺りの景色を楽しんだあと、再び往路を忠実に引き返し、造林小屋に。




モノレールの上部に到着し、ここからは、夏道を下る。冬山で一つ気になっている装備がある。スノーシューだが、ワカンとの違いはどうなんだろう?重量はワカンの方が軽い、アルミワカンは特に軽くて扱い易い。スノーシューは重いが浮力があって、登り斜面では後ろへ滑りにくく威力を発揮しそうだ。やはり、スノーシューがこれからの主力になるのかな~。値段を考えると頭痛の種だが…。ワカンで押し通すか、それとも時代の革命に乗るか、思案のしどころ。ワカンだけにいくら思案してもわかんな~い(殴)




麓に近づくにつれ、鹿の警戒音が連発して聞こえてくる。遠くでふわふわの白いお尻がちらちらと男の目を誘う。警戒音のした辺りでは地面がボコボコに掘り返されていた。




こえぐろのある畠地を通り、小菜家を眺めながら、午後3時42分駐車場に降り立つ。




帰路、車の中で、冬の山はやはり、努力を惜しまず、鍛えられた特別な人だけが、白銀の頂と思いどおりのバリエーションルートを楽しむことが出来るんだなと、つくづく思うことでした。





いやしの温泉郷8:37-造林小屋跡10:33-1791m峰13:00-13:25林の中での休憩13:53-造林小屋跡14:40-15:42いやしの温泉郷


(注)GPSログではなく、概念図です。
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