いちばん古い紫式部の肖像画は、室町期だそうで、
なんだか鼻がね、やたら目立って、もしかしたら末摘花に似ていたのでは、なんて思っちゃいました。
石山寺ですので「紫式部石山寺観月図」が数多く揃っていて、
絵師によっていろいろにえがかれて、とても面白かった。
土佐光起のが、いちばんよかったかな。
唐絵(水墨)の岩壁に、遠景のやわらかい山々や、寺の一室で構想を練る式部の極彩色の大和絵、
湖水に満月がうつって、美しい一幅の絵です。
石山寺に伝わる、この情景に「源氏物語」の構想を得たというのもうなずけるような、題材です。
わかっているのは、式部が石山寺に参詣、あるいは何日か籠った、ということだけ。
それでも、源氏物語のなかでの、式部の月への想いはまた格別、
月をみて思いにしずむ源氏の、須磨での情景を思い浮かべます。
源氏物語かるたや、源氏物語図屏風も楽しい。
1帖1場面を、というと、そこをとるでしょうね、と思いながら見ていくと、時間を忘れます。
絵師はちがっても、とる場面は一致する、ということは、
式部は巻名となる和歌とともに、1帖に必ず絵になる情景をえがいている、そうことなんですね。
色彩感覚といい、薫りの嗅覚といい、想像力の豊かさといい、
とにかく完璧なのです。
石山寺の伝承は、一条帝から彰子への贈り物として執筆を依頼された式部が、
源氏の着想を得て、急ぎ手元にあった写経の裏に書き留めたという、
(須磨の巻が最初に出来たということになっている)
その式部の姿に観音さまをかさね、観音信仰も生まれた、そうなので、
物語を生む創造力に、人間を越えた神のような存在を見たのだろうと思います。
ただ、源氏物語の成立時期は、事実はだいぶ違うようです。
パネルの解説はわかっていることと、推定とをきちんと書かれていて、
宣孝と死別して失意にくれたあと、2,3年執筆にとりかかっており、
道長邸に出仕したころにはすでに知られていて、女房兼家庭教師としてつかえた
彰子の手元にすでにその写しがあった(これは日記に記されている)。
宮中に仕えているあいだに源氏を完成させた、これがもっとも納得できる、時期でしょうね。
なぜなら、
正編を終えてからの物語は、明らかに、女房たちを主な読者として意識している、
と思わせるところが多々あります。
そして、書きながら作者自身の大きな成長(などと私ごときが口はばったいですが)
を感じさせ、またテーマの重さが増していく、時代を超え、人間本質に迫る永遠のテーマ、
そういうものに到達していくように思います。
2007/1/4,7
なんだか鼻がね、やたら目立って、もしかしたら末摘花に似ていたのでは、なんて思っちゃいました。
石山寺ですので「紫式部石山寺観月図」が数多く揃っていて、
絵師によっていろいろにえがかれて、とても面白かった。
土佐光起のが、いちばんよかったかな。
唐絵(水墨)の岩壁に、遠景のやわらかい山々や、寺の一室で構想を練る式部の極彩色の大和絵、
湖水に満月がうつって、美しい一幅の絵です。
石山寺に伝わる、この情景に「源氏物語」の構想を得たというのもうなずけるような、題材です。
わかっているのは、式部が石山寺に参詣、あるいは何日か籠った、ということだけ。
それでも、源氏物語のなかでの、式部の月への想いはまた格別、
月をみて思いにしずむ源氏の、須磨での情景を思い浮かべます。
源氏物語かるたや、源氏物語図屏風も楽しい。
1帖1場面を、というと、そこをとるでしょうね、と思いながら見ていくと、時間を忘れます。
絵師はちがっても、とる場面は一致する、ということは、
式部は巻名となる和歌とともに、1帖に必ず絵になる情景をえがいている、そうことなんですね。
色彩感覚といい、薫りの嗅覚といい、想像力の豊かさといい、
とにかく完璧なのです。
石山寺の伝承は、一条帝から彰子への贈り物として執筆を依頼された式部が、
源氏の着想を得て、急ぎ手元にあった写経の裏に書き留めたという、
(須磨の巻が最初に出来たということになっている)
その式部の姿に観音さまをかさね、観音信仰も生まれた、そうなので、
物語を生む創造力に、人間を越えた神のような存在を見たのだろうと思います。
ただ、源氏物語の成立時期は、事実はだいぶ違うようです。
パネルの解説はわかっていることと、推定とをきちんと書かれていて、
宣孝と死別して失意にくれたあと、2,3年執筆にとりかかっており、
道長邸に出仕したころにはすでに知られていて、女房兼家庭教師としてつかえた
彰子の手元にすでにその写しがあった(これは日記に記されている)。
宮中に仕えているあいだに源氏を完成させた、これがもっとも納得できる、時期でしょうね。
なぜなら、
正編を終えてからの物語は、明らかに、女房たちを主な読者として意識している、
と思わせるところが多々あります。
そして、書きながら作者自身の大きな成長(などと私ごときが口はばったいですが)
を感じさせ、またテーマの重さが増していく、時代を超え、人間本質に迫る永遠のテーマ、
そういうものに到達していくように思います。
2007/1/4,7
私は暮れの歌舞伎観劇のとき
配置の美しさにみとれていました。
どの一部を切り取っても絵になるように
研究しつくされた計算された美・・・とでも言ったらいいでしょうか。
源氏物語の絵巻をじっくり見てみたいです。
どんなに色あせていても、最古の源氏絵巻がいいですよね。
何年かに1度、五島と徳川美術館のを一同に介して見せてくれるのですが、通常はレプリカしか見せないんですよね。
お姫様たちが手に取ってながめたのでしょう、そのくらいの小さな絵巻でね、といっても、切り離してしまってありますが、
よくぞ残ってくれたと思いますよね。
源氏のこと、ぼちぼち書きながら、貴女とお話、楽しみにしてます。