紫苑の部屋      

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映画「私の、息子」

2014-07-08 15:51:13 | 映画
見終わって、何だか 時間をさき早朝より並んで見るまでもない、
と思ってしまいました。
最後に流れたテロップも意味不明だし、
金熊賞って
ある種の共感というものがなくても、
映像的な芸術性、を見るんですかねー
それとも、母親と息子の、永遠のテーマがあると見るのでしょうか?
そうなんですね、きっと。

娘を持つ母親としては、まったく、しょうもない息子、としか映らない、
どうもこれで化学者として優秀、 という設定のようで、アホらし!
この家族でまともなのは、嫁一人。
義理の母親によく付き合って、冷静に物事を見れる自立した女性、
離婚を決意しているものの、
連れ子が懐いているのが踏み切れずいる要因。

ともかく息子が交通事故で、人一人少年をはねて殺しているという事実にやっと向きあうまでの数日間の映画、なんですね。

この映画、見たかいがあるとすれば、
ルーマニアという国がどこに位置して
この映画の背景には、どんなことが
どんな歴史的なことがあるのか
改めて考えてみた、ことでしょうか。

黒海に面して、北はウクライナ、東欧でも東に位置し、黒海を挟んで中東とも隣り合わせ、
東欧革命といえば、唯一武力で共産党の独裁者を倒したことで世界に知らしめた国、
しかし、自由化を経てEU加盟も果たし、いまどんな状況なんでしょうね、
少なくとも、
映画冒頭の主人公の母親が知識人であり富裕層に属していること、
被害者の住む地域は普段全く足を踏み入れない貧しい階層とがあること、
その現実も、背景にあるようです。

歴史的にみれば、ルーマニアに限らないことですが、
近代まで長ーいオスマントルコの領域であった歴史、
ルーマニア人のアイデンティティ、はどのようであったのでしょう。
被害者の家族の住む地域、人々、中東系に近いように見受けられます。
また、息子の妻は黒髪の彫の深い瞳、その名が“カルメン”というし、
オスマン帝国がスペインまで及んでいたことを思うと、
民族的にも東と西が融合した、独特のアイデンティティを有している、のでしょう。

映画の意図とは違っているのでしょうが、
私たちは映画を通じて知ることができるもの、それが貴重ですね。
(2014/7/5鑑賞)

ル・シネマで上映

©Parada Film in co-production with Hai-Hui Entertainment All rights reserved.

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