紫苑の部屋      

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乱歩の歌舞伎-染五郎の挑戦

2008-11-14 12:48:29 | 観劇
当初背広姿の高麗屋親子のチラシだったので、行く気はなかったのですが、
国立の棚には染五郎の和事風のやつし姿が写っていて
江戸川乱歩の歌舞伎化と知ったのでした。

江戸宵闇妖鉤爪(えどのやみあやしのかぎづめ)
――明智小五郎と人間豹  副題ついてます
10年温めてきた構想とか、染五郎が独自の新たな歌舞伎を模索している、
その挑戦の心意気に好感がもてます。
でも、演出は九代琴松こと、幸四郎なのね。

さて幕開け、新内に文楽のように語らせての二役、
こういう新しい試みが嬉しいですね。
さらに2幕目もスッポンから登場するのが主人公ではなく、
新内流し、という粋な趣向、もうわたしはこれだけで大満足!!

しかし肝心なところは、乱歩の猟奇的妖しい世界を再現させる、ことでしょうね。
大掛かりな国立の舞台装置をうまく使って、
美術サン、大変だったでしょうが、ちょっと点は辛いかなー。
明智*幸四郎、後姿でじーっと聞いている、
この存在感、はさすがです。
原作は読んでないのでわかりませんが、明智の女房が登場するんですね。
そして、人間豹がねらう美女たちって結局明智の女房に似ていたということよね。
それがどういう因果で結びつくのか、そこが弱いですよね。
物語の展開として少し粗野なところ、あったのでしょう、
芳之助があっけなく二度目の身投げしたり、恩田がいつすり替わったのかとか、
明智と人間豹こと恩田との宿命的な対決というのがあまり感じられない、とか、
作品としての練り直しはこれからということでしょうか。
それでも、着想もキャスティングもよかった、、
劇中に織り込まれた染五郎の鼓、春猿の舞(ウズメ舞というそうです)も楽しめ、
わたしは、この作品面白いと思いました。
 2008.11.09観劇 国立大劇場


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